行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張

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言わば日本の顔を決めることにつながる自民党総裁選。
 
党員でなくとも、民主主義の世界において、このプロセスを注視しておかなくてはならないと思う訳ですが、既に3人の候補者が名乗りを挙げ、残るは石破茂氏の判断に注目が集まるところです。
 
その石破氏、10日のご自身のブログにて、「菅総理の辞任から総裁選への報道に思うこと」のタイトルで現在の心境を述べられたうえで「岸田氏、高市氏、河野氏の主張をよく拝聴しながら、私の出馬も含めて、採るべき道を決断するつもりです。多くのご意見、ご指摘を賜り、心より感謝しております。『行蔵我に存す。毀誉は人の主張』」の言葉で結んでおられました。
 
恥ずかしながら、締めに引用された「行蔵我に存す・・・」の言葉を知らなかったため、調べてみると、何でも勝海舟が福沢諭吉に宛てた手紙の一節の言葉だそう。
 
正確には、「行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張、我に与からず我に関せず存じ候。各人へ御示し御座候とも毛頭異存無き之候」で一文となっており、行蔵とは出所進退のことで、平たくいうと「我が行いは自らの信念によるもの。批判は人の勝手であり、知ったことではない。どなたにお示しいただいても全く依存はない」との意味となるとのこと。
 
なるほど、歴史のターニングポイントとなる江戸城を無血開城させた勝海舟らしい言葉だと受け止めた訳ですが、やはりここには絶対に曲げられない自身の信念があって言えること。
 
こうした考えを持って出処進退を決めようとする、石破氏の判断は総裁選の行方にも大きく影響することから、引き続き注視しておきたいと思います。
 
一方、野党においては、先般、市民連合とやらの呼び掛けで、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新撰組の4党が政策協定を締結しました。
 
締結した内容は、憲法の改悪阻止、脱原子力で脱炭素社会、森友・加計・桜調査などと、触れるに及ばない内容ですが、やはり立憲民主党がこうして共産党と手を組んだというのは非常に大きいこと(問題だという意味です)。
 

【しんぶん赤旗(9月12日版)1面に掲載された写真】
 
なお、同じ野党でも国民民主党や維新の会は当然これに加わることなく、国民民主党の玉木代表はその理由をこう述べています。
 
「我々は現実的な政策アプローチが必要だと思っていますし、もともと改革中道を掲げて結党した政党ですので、政策面においてもあくまでも我々はリアリズム、現実主義を貫いていきたい。(中略)という中から、今回の内容については必ずしも相容れないところがありましたので、今回の署名には乗らないという判断になったものです。」
 
現実主義の政策でなければ、政権を奪る責任政党とは言えないことから、この判断は至極当然のことと理解するところであり、国民民主党は、これではっきり他の4党と一線を画す野党になったことを評価する次第です。
 
そして問題は、国民民主党、立憲民主党両党の支持組織をまとめる連合がこれをどう考えているのかということ。
 
これに関しては、外交評論家の加藤成一氏が、6月23日付け時事ドットコムニュースにて次のように述べています。
 
「今回、立憲民主党及び国民民主党と政策協定を結んだ『連合』の『共産党アレルギー』は根深いものがある。『連合』は共産党系労働組合『全労連』と激しく対立してきた長い歴史があるからである。『連合』の神津会長は6月23日東京都内での講演で、『共産党は民主主義のルールにのっとって物事を運営する組織とは言えず、そういう政党と連立するなどは意味不明だ。安全保障や日米同盟、天皇制など国のあり方の根幹の考え方も違う。共産党との連立政権はたとえ閣外協力であってもあり得ない。』」
 
この連合会長の考えに沿って考えれば、赤旗にまで仲良く写真掲載する今の4党連携の状況というのは許されるはずがない訳であり、そうなれば来る衆議院選挙に向けて、立憲民主党支持に対する何らかの判断があって然りかと思うところであります。
 
なお、参考まで、連合が7月15日に立憲民主党、国民民主党と締結した「第49回衆議院選挙に向けた政策協定」を以下にリンクしますので、特に関係する第5項についてご覧いただければと思います。
 →→→「第49回衆議院選挙に向けた政策協定」(令和3年7月15日 連合HPより)
 
ここ福井県では、1区も2区も立憲民主党候補者が立つ予定となっていることから、連合本部の見解、各地方連合の対応如何を待ちたいと思います。
 
なお、私見に過ぎませんが、もし連合が毅然とした態度を示さないまま、これを許容し、なし崩し的にこのまま選挙戦に入っていくとすれば、今度は加盟労働組合、職場組合員からの連合に対する求心力低下は必至かと思う次第です。
 
冒頭の『行蔵我に存す。毀誉は人の主張』に話しを戻せば、他人からの批判を恐れ、先回りして、自分の考えを曲げたり妥協したりしては、特に政治の世界においては信用されるはずがありません。
 
せっかく知った勝海舟の言葉ですので、私自身もこれに習い、「信念をもって、自分を信じて行動を起こす」という気概と覚悟をもって、引き続き活動にあたる所存です。