エネルギー政策と外交防衛は冷静且つ現実的に

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全国で初めてテロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)が完成し、起動した九州電力川内原子力発電所1号機(鹿児島県薩摩川内市)は、その後順調に工程を進め、18日には核分裂反応が安定的に続く「臨界」に到達、昨日19日に発電を再開しました。
 
文章で書くと、さも当たり前のように思えるかもしれませんが、全ての新規制基準に対応するために費やした人的資源、物的資源、そして時間は膨大であり、数々の試練や苦労を関係者の皆さんが一丸となって乗り越え、ここに至ったことに対し、心より敬意を表します。
 
川内1号機は、この後調整運転を行い、12月中旬には営業運転に入る予定となっていますが、現在、国内で稼働している原子力発電所はこの川内1号機と同じく九州電力の玄海4号機(佐賀県玄海町)の2基のみ。
 
菅総理が掲げる「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」は挑戦的、野心的目標と言われており、様々な革新的技術開発や再生可能エネルギーの比率をどう高めていくかは勿論のこと、コスト面や信頼性を考えた場合、この原子力発電の存在は欠くことの出来ない電源であることから、昨日のまちづくりではありませんが、「今あるものを生かす」という視点を持って、目標達成に向けた現実的施策の議論がされるよう期待するところです。
 
さて、現実的施策と言えば、コロナの陰に隠れてなのか敢えてなのか、あまり報道されていないように感じる憲法改正論議。
 
昨日は衆議院の憲法審査会が開催され、各党委員からの自由党論が行われましたが、菅総理を真似してか、鬼滅の刃のセリフを用い『「全呼吸の集中」で取り組むべきだ』と述べた自民党(船田元議員)を始め、野党においても国民投票法改正案を含め積極的に議論すべきとする維新、国民民主党。
 
とりわけ国民民主党の山尾志桜里議員は、極めて開催頻度が少ない同審査会の状況に対し、「木曜日の定例会は原則として毎回開催すべき」と課題提起したほか、「公人としての責務感を持って憲法改正の議論を進め、誠実且つ公正に国民投票に進んでいくことが何よりも肝要」と維新の足立康史議員らが意見するなど足並みが揃った形。
 
これに対し、消極的なのは立憲民主党に共産党。
 
立憲民主党の山花郁夫議員からは、憲法審査会の積極的開催や国民投票法改正案の採決に向けた発言はなかったほか、共産党の赤嶺政賢議員は「憲法審査会は動かすべきでない立場」とまで述べられたところ。
 
「安倍政権の間は議論しない」とは仰ってましたが、今は菅政権であり、いつになったら議論するつもりなのでしょうか。
 
旧民主党時代の党内不一致課題のひとつであった改憲に関して、立憲民主党になってもまだ意見が分かれていることを表しているのか、はてさて共産党と次の衆議院選挙で協力しようと考えているからなのか。
 
いずれにしても、国家の幹であり、最重要課題とも言える憲法改正について、論議すらしないというのでは何のための国政政党なのかと憤りすら感じるところであり、限られた国会会期を有効に使って審議を進めていただきたいと切に願うところです。
 
エネルギー政策と外交防衛は「現実的」なものでなければならないと言われる通り、先の原子力発電の扱いやこの改憲に関しても、夢物語でなく地に足のついた冷静な議論のもと、最適解を導き出していく。
 
そうした姿勢と判断こそ、今の我が国にとって必要なことであり、政治が国民からの信頼を得ることにつながると考える次第です。
 

【以前に撮影した西福寺の銀杏。派手な花は咲かねども映える姿は政治姿勢とも重なるのかと。】