「観光」の視点から「まちづくり、人づくり」を考える一日

ブログ まちづくり

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、森喜朗の辞任表明を受け、新たな会長の人選のための「候補者検討委員会」の設置を決めました。
 
問題発言とされた時点からこれまでの経過に関し、今さら意見を述べることは控えますが、「そもそも論」として持つべき課題認識について、熊谷俊人千葉市長が以下のように述べています。
 
私は、これを読んで、日本人・日本の風土からの視点として全くもって共感しましたので紹介だけさせていただきます。
 
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【オリパラと多様性の関係などについて】2月12日の熊谷市長facebook投稿より抜粋
 
「私はオリンピック・パラリンピックは単なる一過性のイベントではなく、日本社会をどのようにアップデートするかが鍵だと考えてきました。今回の件で改めて考えることは多様性の尊重です。」などとの前置きがあったうえで、
 
【森さんと発言の根底にある意識】
 
そうした中での森さんの発言です。私は全文を読んでいます。
森さんは私の大学の大先輩であり、国体で森さんにお会いした際もいかにスポーツ界において重要な存在として貢献してこられたのかをよく知っています。森さんに女性を差別する「意識」は無かったと思います。
 
しかし、森さんの発言のように何か異分子の存在を「女はこう」と決めつけるのは典型的な「無意識の偏見」です。
意識的に差別する人はまれで、皆「私は差別するつもりはない」と答えますが、「その人がこう」を「そういう属性の人はこう」と一括りに考える、その思考回路が既に多様性の欠如であり、今回に限らず、過去にも同様の女性の括り発言をしていることから、森さんの根底意識の中に女性を「理解できないもの」「自分たちと(どちらかといえばネガティブな意味で)違う存在」という意識があることがうかがえます。
 
様々な審議会等において女性比率を向上させるため、外部委員を女性にする手法が往々にして行われます。
これまで専門的にその分野について考えてきた人達からすれば「何をいまさら」という発言があるかもしれませんが、外部からの新鮮な発言から今まで抜けていた視点を得ることもあるでしょうし、仮にそれが意味のない発言だったとしてもそれは「女性が」ではなく「その人は」と考えなければいけません。
 
私も常に反省していますが、人は異分子に対して、違和感を感じ、その違和感を自分の中で解消するために、「こういう属性の人だから」と一括りにして自分の埒外に置くことで心の平安を保とうとします。
特に日本は忖度という言葉に代表されるように同質化することをよしとしてきましたので、多様性の尊重は私たち一人ひとりが常に意識して今までの習慣や常識に囚われないようにする必要があります。
 
違いを興味深いと考え、もっと知ろうと考える思考、違いが力に変わる、そうした時代を作っていきたいですね。
 
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また結びには、「そして森さんにはこれまで日本のスポーツ行政にご尽力頂いたことに深く感謝します。」と締めくくっています。
 
誤解なきよう、全文をご紹介させていただきましたが、私は自分自身の中にこうした考えを軸として持っておきたいと思います。
 
決して皆さんに押し付けることはしませんが、こうした考え、見方があることをご参考までお知りいただければ幸いに存じます。
 
さて、話しは変わり、昨日は休暇をいただき、「観光」についてスキルアップのための学びと気付きの場に参加してまいりました。
 
ひとつめは、以前に個人的に申し込みをしました「日本遺産ガイド養成講座(未経験者コース)」。
 
これは、昨年日本遺産に登録された「海を超えた鉄道 〜世界へつながる鉄路のキセキ〜」、いわゆる鉄道遺産とエピソードをより発信、活用していくべく長浜市・敦賀市・南越前町観光連携協議会さんが近畿日本ツーリストと協力(委託)し企画されたもの。
 
3回コースの第1回目は、ニューサンピア敦賀の会議室で行われ、ざっと20名を超える程度の参加者が集うなか開催されました。
 
いざ会場に行ってみると、あれよあれよと知ったお顔が4、5名いらっしゃりビックリ。
 
参加のきっかけは様々でしたが、こうして敦賀の鉄道遺産を自分でも広めていきたいとの思いを共有していることを大変嬉しく感じました。
 
この日は、近畿日本ツーリストの全国通訳案内士の女性ガイドさんを講師とし、観光ガイドの魅力や活動の意義、接遇マナー研修など、ガイドとしての基礎知識を約2時間に亘り学習し、非常に細やかな準備・配慮なくば成り立たないものであることを学びました。
 

 
また、「日本遺産ガイド」となるためには、文化庁の考える「日本遺産」を理解し、紹介することができるなどの4項目の条件があり、つまりは、旅行者と直接接する「プレーヤー」(実技者)であるとのこと。
 
観光ボランティアガイドは、「社会的意義と自分事としての意義を掛け合わす」こと、「郷土の良さを知らせる=地域活性化=次世代のために×自分の心も体も健康に→ゆたかな人生」につながること、さらには、高まるガイドのニーズは「地域活性化、ひいては日本の未来」までの魅力と活動の意義があるともありましたので、是非その意義に沿う形となるよう、他の参加者の皆さんとともに研修に励みたいと思います。
 

 
ふたつ目は、福井市の宝永庁舎にある「(公社)福井県観光連盟」へのヒヤリングと意見交換。
 
以前より活動を続けています「嶺南未来構想会議」の取り組みとして依頼をさせていただいたところ、先方様にはふたつ返事でお引き受けいただき、こちらも大変ありがたい限り。
 
この日は、本構想会議の考える現時点での嶺南未来構想をプレゼンさせていただいた後、福井県観光連盟さんからの事業概要説明、今後の取り組みなどをお聞きしました。
 
連盟としては、北陸新幹線敦賀開業が1年遅れることとなったが、「倍返し」(良い意味です)する気持ちでいることや、「民間からの発想、全国目線、顧客目線」を意識して取り組みにあたっているとのこと。
 
昨年からは、「観光地域づくり推進事業本部」を設置し、稼ぐ感覚、地域で稼ぐ力を興していこうとしていることや、具体的な事業実績として、コロナ禍で行った「ふくいdeお泊まりキャンペーン」は、県民の皆さんが福井県内を観光することにより、今まで知らなかった福井の良さをさらに知ることができたとの多くの声を受けていること、インスタフォトコンテストでは、第1弾が6,600件、第2弾が7,600件と多くの方が参加され、県民皆で情報発信していく機運にもつながったとのことで、これら以外にも他種の事業展開を図る中で、その成果や評価まで知ることができたことは大変有意義でした。
 
嶺南地域の活性化に向けては、構想会議が掲げる「海・自然」を活用していく点にご賛同いただいたうえで、「その価値を行動に変えていく」、「受け入れる側が前向きなコンセプトをもって、この自然を守るためにこんなことをやっているという事実があること」が大事な視点ともアドバイスいただきました。
 
つまりは、地域の人にとっては、大切なものを守るために貢献できる場所、そうした大事にしている場所だから外の方も共感してもらえる。
 
そんなふうに理解をしたところであります。
 
意見交換の場は、双方からの建設的質疑で大変盛り上がり、予定時間を大幅に超過してしまい、連盟の皆さまにはご迷惑をお掛けしてしまいましたが、昨日生まれたつながりとパイプを大切に、今後とも連携いただけますようお願いいたします。
 
こうして「観光」の視点から「まちづくり、人づくり」を考える1日となりましたが、私にとっては気付き、ヒント満載の日となりました。
 
「観光」の語源は、中国の儒教の経典である四書五経のひとつ「易経」にある言葉から成り、「国の光を観る」、つまりは、国や地方の良いところや良いものを見せる、見てもらうとの意。
 
そうした「観光」も時代の変遷に合わせ様々に変化・進化をし、今日的な視点としては次のようになっています。
 
〜観光3つの意義〜
①平和をもたらす意義【観光と平和の深い縁】
②産業としての意義 【観光は大きな産業】
③まちづくり、人づくりの意義【住んでよし、訪れて良しの地域づくり】
 
私の中で最も大きな意義は③。
 
昨日学んだことも糧とし、自ら行動することで役割を果たしていきます。