東京電力PG「でんき予報」は電力需要・使用率ピークともに「98%」

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汗が滴る昨朝の街頭では、この厳しい暑さを踏まえ、熱中症対策の徹底を呼び掛けるとともに、対策にとっても大事な電気に関しては、令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた北陸電力の七尾太田火力1・2号(合わせて120万kw)が、夏季の電力高需要期前に復旧、運転再開いただいていること。
 
また、地元の敦賀火力発電所1・2号(同120万kw)等の順調な運転があって、北陸管内の安定供給が成り立っている旨ご紹介しました。
 
なお、北陸地方はまだ梅雨明けしていないものの、既に夏本番の様相を呈しています。
 
自身の発電所勤務時代、敦賀2号タービン建屋の瞬時に汗が噴き出すような高温の場所で点検や保守作業の立会いにあたったことを懐かしくも感じましたが、いずれにしても、汗して働く現場の方々を思えば何のその。
 
この程度の暑さには負けていられないと、ネジを巻いた次第です。
 
さて、冒頭、電力需要のことをお話ししましたが、厳しい状況が続いているのが関東エリア。
 
昨日、栃木県の佐野では何と午後2時に41.0℃を観測し、全国を通じて今年の最高気温を更新しましたが、こうなると、クーラーの使用などにより増加するのが電力需要。
 
溜めて置けない電気には「同時同量」の原則、つまりは「需要と供給のバランス」を常に取る必要がある訳ですが、昨日は需要に対し、供給が不足することも予想されたところ。
 
こうした状況から、広域で電力の需給調整を行う「電力広域的運営推進機関(OCCTO)」では、“需給状況改善のための発電設備焚き増しへのご協力のお願い(依頼)”を発出。
 
29日の東京電力パワーグリッド(以下、東京電力PG)管内の電力需給は、高気温影響による冷房需要等の需要の増加が予想され、広域予備率が5%を下回る厳しい見通しとなっていることを踏まえ、同機関会員に対し、下記の事項について、電気の需給状況の改善への協力をお願いしています。
 
<OCCTOからの協力依頼事項>
 
1.ご協力いただきたい事項
(1)東京電力PG管内において、各会員が所有している又は他者から電力買取契約により電力を調達している発電設備等について、可能な範囲で出力を上げた焚き増し運転をすること。ただし、当該発電設備等が他の小売電気事業者等と電力買取契約を締結している場合は、当該契約に従うことを優先し、その上で可能な範囲で出力を上げた焚き増し運転をすること。
(2)発電設備等の焚き増しによって生じた余剰電力は、卸電力市場(時間前市場)への供出を行うこと。小売電気事業者等との相対契約を持つ場合には、当該契約に従い電力の受け渡しを行うこと。なお、精算については、卸電力市場での取引又は相対契約に基づき行うこと。
 
2.ご協力いただきたい期間
 2024年7月29日(月曜日)11時~21時半
 
また、同機関の会員以外の電気供給事業者に対しても、本依頼の直接の対象ではありませんが、こうした状況をご理解いただき、上記の依頼内容に準じて、電気の需給状況の改善への協力をお願いしています。
 
なお、以下は、本日の東京電力パワーグリッドの「でんき予報」ですが、東京エリアの使用率では、需要・使用率ピークともに「98%」(5時20分現在)となっています。
 

【7月30日5時20分現在の東京電力PG「でんき予報」】
 
使用率は、電気の使用量(総需要)を電気の使用可能量(総供給力)で割って算出していますので、この数字からも昨日と同様、大変厳しい状況であることが分かります。
 
足りない供給力にあって、東京電力と中部電力が折半出資する発電会社JERA(ジェラ)は26日、五井火力発電所(千葉県市原市)で建て替えた1号機を8月1日に稼働させると明らかにしました。
 
猛暑で電力需要が高まる中、当初予定より約1ヶ月早めて稼働する五井火力1号機の出力は78万キロワット。
 
新たな設備は液化天然ガス(LNG)を燃料とする世界最高水準、高効率の最新鋭発電設備で、二酸化炭素(CO2)の排出削減にも貢献するとのこと。
 
このような状況に鑑みれば、東京電力PG管内にある、柏崎刈羽6・7号(ともに135.6万キロワット)や東海第二など、100万キロワットを超える原子力発電所が使えればと、忸怩たる思いが立ち上がってきますが、これまでも、そして今もなお、日本はこうした火力発電所に助けられて成り立っていることを忘れてはなりません。
 
今日も電力の安定供給を果たすとの思い一心で現場でご奮闘いただいている皆様、そしてトラブルなく運転する発電所各設備・機器に心より敬意を表するとともに、綱渡りの電力需給を一日でも早く改善せねばとの思いが一層募る次第です。