佐賀県鳥栖市の「企業誘致戦略」を学ぶ

ブログ 敦賀市議会

昨日から今日にかけて、敦賀市議会 産経建設常任委員会の行政視察に出席。
 
1日目の昨日は、佐賀県鳥栖市にて「企業誘致戦略」について学んでまいりました。
 
私自身は、初めて鳥栖市を訪れましたが、事前の調べによれば、佐賀県の東端に位置し、昭和29年4月に鳥栖町、田代町、基里村、麓村、旭村の2町3村が合併して発足。
 
九州陸路交通の要衝であり、人口74,394人(令和7年7月末)ながら、人口はこれまで減少を経験することなく微増し続けているほか、サガン鳥栖(サッカーJリーグ)、SAGA久光スプリングス(女子バレーボール)と2つのプロスポーツチームを有する都市であり、人口密度は県内1位を誇っていることを知りました。
 
視察は、3年前に新築移転した鳥栖市役所にて行われ、松隈議長をはじめ、経済部商工観光課 企業立地係兼産業団地推進係のお三方に対応をいただき、様々なお話をお伺いしてまいりました。
 

【配布いただいた説明資料の表紙】
 
以下は、お伺いしたポイントをご紹介いたします。
 
<鳥栖市の強みについて>
 
◉抜群の交通アクセスを有しており、鉄道では博多まで新鳥栖駅(新幹線)から最速12分、道路では九州縦貫・横断道路が交差するクローバー型ジャンクションや国道3号、34号、500号と3路線があり、九州の主要都市へ車で3時間以内にアクセスできる。
◉労働力人口が充実しており、交通アクセスの利便性を生かして、県内外(福岡は隣接)から豊富な人材の確保が可能(半径20kmの人口は約150万人)。
◉年少(0-14歳)人口割合が全国2位、生産年齢(15-64歳)人口比率も59.1%で大都市と同水準にあり、将来を担う世代から、現役世代までが数多く居住する「若い人が集まる住環境」を有する。東洋経済「住みやすさランキング2025」の九州沖縄版では21位、佐賀県内では1位。
◉九州における交通の結節点として多くの企業が立地しており、市政施行からの進出協定締結企業数は「217社」(製造業88社、流通業116社、IT企業6社、その他7社)となっている。
 
<企業誘致戦略について>
 
◉企業誘致に関しては、昭和29年の市制施行と同時に「工場誘致条例」を制定し、積極的な企業誘致施策を展開したことが契機となっている。
◉企業誘致が進んだ主な理由は「交通アクセスの良さ」。鉄道輸送上の利便性や国道3号と34号の分岐点であることなどの地の利が影響していると考える。
◉これまで企業誘致した企業は、久光製薬、ブリヂストン、コカ・コーラ、キューピー、アイリスオーヤマ等の工場(製造業)、アマゾン、大和ハウス工業等の物流施設(物流業)、IT企業など217社。
◉企業誘致を行うための環境整備に関しては、ハード面、ソフト面で以下の状況。
(ハード面)
鳥栖市には現在造成中の新産業集積エリア他、6か所の工業団地が整備されているほか、新たに8つ目の産業団地として、官民連携型の「サザン鳥栖クロスパーク開発事業」(3/4は情報通信、製造業を条件)に取り組んでいる。
(ソフト面)
製造業、ビジネス支援サービス業、本社機能移転等で進出いただいた企業を対象として、投資した資産にかかる固定資産税相当額を交付する等、奨励制度や事業の用に供する設備、機械及び装置を取得した場合、取得費用の1/10を初年度に交付(限度額:1,500万円)する「企業立地奨励金」。
市内新規従業者数✕20万円を3ヵ年度交付(限度額:2,500万円)する「※雇用奨励金」などがある。
 ※市内新規従業者数が5人以上で1人目から対象
◉企業誘致における人材確保や就職率の向上については、令和4年3月より、鳥栖市内外の学校と人材採用に関する連携をし、企業の採用担当者と学校の意見交換の場を設けるほか、企業による学生向けのキャリア授業の実施など、学生に企業を知る機会を持ってもらうことで採用に結び付く可能性を高める取り組みを行っている。また企業の多くが新たなビジネス、人材採用をテーマに地方進出を考える傾向があると考えており、人材の採用に寄与するこの連携は誘致力の向上に結び付いていると考える。
◉最近では、IT企業の誘致に力を入れており、令和3年度から本格的な誘致活動に着手(令和4年3月に制度を改正)。それ以降、福岡市や静岡県三島市に本社を置く5社のIT企業が進出。地域と進出企業の発展が両立できる関係性を大切にしている。
◉IT人材の安定確保と育成を目的として、地元の商業高校や近隣のコンピューター関係専門学校など、既に6校と連携協定を締結。今後も連携協定校を増加させていく予定。
 

【視察の様子。中央奥は挨拶する河瀬太治委員長。】
 
一部とはなりますが、以上がお伺いした主な内容。
 
敷地の広さや人口の多い都市(福岡市など)と接していることから、敦賀市とは、企業誘致規模や労働力人口の観点で違いがあるとはいえ、同じ「交通の要衝」という地の利を生かし、継続して企業誘致活動を実施、施策として大きな実績を上げていることを学ぶことができました。
 
質疑を含め、最後までお付き合いいただいた松隈議長をはじめ、担当部署ならびに議会事務局には大変丁寧にご対応いただき、心より感謝申し上げます。
 
今日は、2日目。
 
この後は福岡県北九州市に移動し、「門司港レトロ地区」について学んでまいります。