2040年における「エネルギー需給見通し」に誰が責任を持つのか

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連日、福井新聞の1面は、関西電力(以下、関電)に関する記事。
 
昨日は、関電が福井県内の原子力発電所立地地域の振興や課題解決に向けた新たな資金拠出の仕組みを公表し、本年度に総額207億円、来年度以降も当面の間、毎年50億円を基準に原子力発電所の稼働実績に応じて拠出する方針とのこと。
 
また、今日は、関電が保有する福井県内の原子力発電所3地点すべての敷地内で計画する使用済み燃料の乾式貯蔵施設の運用を巡り、遅くとも2035年末までに、同施設から県外の中間貯蔵施設へ搬出を開始すると県に説明することで調整していることが分かったとありました。
 
2件ともに、原子力行政を進めるうえで、福井県が重要視してきたものであることは認識するものの、とりわけ昨日の資金拠出に関しては、規模感も含め、1民間企業が負う役割としてどうなのか、個人的に疑問に感じた次第です。
 
一方、こうして地域振興に貢献する企業に対し、例えば関電では、美浜で進めようと計画するリプレースがありますが、これら新規電源立地や技術開発に、国はもちろん、十分な資金投資をしてくれるんですよねと大いに問い掛けたいところであります。
 
さて、福井新聞はこのような原子力に関する記事でしたが、全国版で気になるニュースはこちらもエネルギーに関するもの。
 
ひとつは、政府肝入りで進めてきた「再エネの切り札」と称する「洋上風力発電」について、三菱商事や中部電力などが、秋田県と千葉県沖の3海域で進める洋上風力発電所の建設計画から撤退する方向で調整に入ったことが26日、分かったとの記事。
 
3区域は「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」と「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」で、三菱商事や中部電力子会社の電気設備大手シーテック(名古屋市)などでつくる企業連合が受注し、千葉では2025年、秋田では2026年にそれぞれ建設を始め、風車計134基の設置を予定。
 
2028~2030年に順次運転を開始し、2052年まで操業する計画を掲げていたものの、資材や人件費などが上昇し、事業を取り巻く環境が厳しくなったことから、採算を確保できないと判断した。
 
なお、国が再生可能エネルギーの普及に向けた重点的な整備計画の第1弾として事業者を公募し、三菱商事を中心とする共同体が2021年に受注していたもの。
 
ふたつ目の記事は、太陽光発電に関して。
 
北海道の釧路湿原周辺で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を進める「日本エコロジー」(大阪市)に対し、有志の市議21人が15日付で、国の特別天然記念物タンチョウとひなの生息地付近で進めている事業の中止を要請したのに対し、同社は中止しない旨の見解書を釧路市長や市議、環境省に提出していたことが25日、市側への取材で分かったとの記事。
 
市議によると、同社は見解書で、事業は市と協議を重ねたもので、正当な手続きを踏んでいると主張。中止の要請には応じられないことに加え、環境への配慮は惜しまないと記していたとのこと。
 
なお、別の資料によれば、釧路市は本年6月19日、10kW以上の事業用太陽光発電設備の設置を許可制とする条例案を市議会民生福祉常任委員会に示しており、タンチョウやオジロワシなどの希少な野生生物の生息に重大な影響を及ぼすおそれがある場合は、太陽光発電設備の設置を許可しない方針とし、9月定例市議会に条例案を提出のうえ、来年1月1日の施行を目指すとしています。
 

【釧路高原で工事を進めるメガソーラー(産経新聞より引用)】
 
こうして同じ「再生可能エネルギー」でも、頓挫する洋上風力発電と、意に介さず拡大する太陽光発電。
 
特に、住民トラブルや山肌に設置したソーラーパネルにより治水量が低下し、災害にもつながっている太陽光発電がこの先も無秩序に開発され、さらには釧路高原や阿蘇山(熊本)のメガソーラのように、美しき日本の自然が次々に破壊される状況を看過していては決してなりません。
 
結びに、「第7次エネルギー基本計画」における、「2040年におけるエネルギー需給の見通し」は下表のとおり。
 
文中にある“複数シナリオ”の考え方については、「既存の再エネ技術に加え、ペロブスカイト太陽電池・浮体式洋上風力等の大幅なコスト低減が実現し、国内の再エネ導入量が拡大。」としています。
 
つまりは、大幅なコスト低減が実現すれば、こういった見通しになるとの希望的観測ともとれる訳です。
 
加えて、「様々な不確実性が存在」と、私には、達成できなかった場合の予防線を張りに張りまくっているとしか思えませんが、一体この見通しに誰が責任を持つのでしょうか。

米国では「原子力」の電気を「直接購入」する時代

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早いもので、8月も最終週となりました。
 
敦賀市内の小学校の1学期後半開始は、明後日27日(水)のようで、夏休みの宿題も終わって余裕の子も、ラストスパートとばかり宿題に追われている子も、元気に登校日を迎えて欲しいと思うところ。
 
夏休みが終わると、敦賀の次のイベントは、9月2日(火)から始まる「敦賀まつり」。
 
ニュースにも取り上げられていた「山車」の組み立て、準備にあたる様子などを見るにつれ、この歳になってもワクワクするのは「敦賀っ子」の所以といったところでしょうか。
 
ただし、その前の9月1日(月)には、令和7年第3回(9月)敦賀市議会定例会 1週間前の、いわゆる「告示日議運」(議会運営委員会)が開催され、同時に議案も配布されます。
 
翌週8日(月)には定例会開会となりますので、こちらは気を引き締めて、準備にあたる所存です。
 
さて、この猛暑続き、電力需要が極めて高い夏季ピークも「電力の安定供給」にご尽力いただいている、電力関連産業の方々にあらためて感謝するところですが、一方、心配が募るのは、この先の電力不足。
 
第7次エネルギー基本計画でも明らかとなったよう、生成AIの急速な普及に伴うデータセンターや半導体工場に必要な分を見込むと、従前低下傾向にあった電力需要は増加に転じ、これをどう非化石エネルギーで賄っていけるかが、日本における大きな課題となっています。
 
これに対しては、既設原子力発電所をフルに活用するほか、次世代革新炉によるリプレース、新増設を速やかに進めていくことが鍵であり、日本が成長するための生命線と考えることは、これまでも述べているとおり。
 
と同時に、「原子力発電の最大限活用」を謳いながら、これらが遅々として進まない現状に忸怩たる思いを抱く訳ですが、この思いが一層募るのは、世界各国の原子力政策が極めて革新的かつスピード感をもって行われていることに他なりません。
 
例えて言うなら、先日の原子力産業新聞にも掲載されていた米国。
 
GoogleやAmazon、メタ社(Facebookを運営)など、膨大な電力を必要とする米大手IT企業は、自社データセンターへの電力供給を「原子力」で賄うため、開発協力、資金援助を行っているところ、米原子力新興企業のケイロス・パワー社は8月18日、米国の拡大するエネルギー需要に対応し、先進原子力分野における同国のリーダーシップを強化するため、IT大手のGoogle社および米テネシー峡谷開発公社(TVA)と新たな協力関係を発表したとありました。
 
Google社は2024年10月、自社のデータセンターへの電力供給を目的にケイロス社と2035年までにケイロス社が開発する先進炉のフッ化物塩冷却高温炉を複数基、合計出力にして最大50万kWeの導入による電力購入契約(PPA)を締結。
 
ケイロス社の実証プラント「ヘルメス2」は、Google社との同契約の下で最初に建設される発電所となり、さらにケイロス社はGoogle社のテネシー州モンゴメリー郡ならびにアラバマ州ジャクソン郡にあるデータセンターへの電力供給を加速するために、ヘルメス2の出力を2.8万kWから5万kWeに増強し、1基の原子炉で発電を行う予定で、2030年の運転開始を見込むなど、Google社は事業の脱炭素化をさらに推進していく考えとのこと。
 

【ケイロス・パワー「ヘルメス2」のイメージ(原子力産業新聞より引用)】
 
また、ヘルメスは2023年12月に、米原子力規制委員会(NRC)が半世紀ぶりに建設を許可した非水冷却炉。
 
つまりは、規制側も国策である新たな技術導入に対して、極めて迅速かつ合理的な対応をしていることが背景にあることも認識しておく必要があります。
 
これは世界で起こっていることの一例に過ぎず、欧米各国はもとより、中露、途上国を含め、先進的な原子力開発を進める中において、日本はどうか。
 
新規プラントを建設する期間を考慮すると、今に「電気が足りなくなる」状況に陥るのではないか。
 
そうなれば、もはや日本は先進国どころではなく二流国。
 
さらに言えば、「エネルギー資源獲得戦争」であった先の歴史すら思い浮かべる次第。
 
品質の高い、安定した電力供給は、生活と経済活動の血液であり、日本の生命線。
 
残暑厳しきこの夏にあって、一層の危機感を覚える次第です。

ホルムズ海峡封鎖とわが国のエネルギー危機

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米国がイランの核施設を攻撃した。報復へ、イランは世界のエネルギー供給の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖するとの観測が消えない。日本は燃料のほとんどを輸入に頼る。原油は一定量の備蓄があるものの、事態が長期化すれば原油価格の高騰が電気代などに波及する。経済活動全体の下押し圧力となる恐れもある。
 
これは、23日にあった日本経済新聞の記事。
 
こうした状況を受け、武藤経済産業大臣は24日の閣議後の会見で、ホルムズ海峡が封鎖された場合の対応について「安定供給に支障が生じるおそれがある場合には、IEA=国際エネルギー機関やその加盟国と緊密に連携しつつ、必要があれば、石油備蓄の活用を検討することも含めて、適時・適切に対応していく」と述べました。
 

スペースシャトル「コロンビア」から見たホルムズ海峡(1991年6月撮影)。ペルシア湾(上)とオマーン湾(下)の間の狭い海峡で、世界の原油の約20%が通過する。右はイラン国土、左はアラビア半島(NATIONAL GEOGRAPHICより引用)
 
備蓄放出といえば最近は「米」ですが、今度は石油かと、食料そしてエネルギーの自給率の低さにあらためて危機感を抱くところ。
 
なお、石油の備蓄に関しては、2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵略に起因する国際エネルギー市場の深刻な需給ひっ迫に対応するため、国際エネルギー機関(IEA)が、2022年3月と4月に二度の閣僚会合を開催し、石油備蓄放出の協調行動について合意。
 
これを受けて、日本は、民間備蓄石油の放出(1,350万バレル)に加えて、「石油の備蓄の確保等に関する法律(昭和50年法律第96号)」(以下「石油備蓄法」という。)第31条に基づき、国家備蓄石油の放出(900万バレル)を行った経験があります。
 
石油備蓄法に基づく国家備蓄石油の放出は、1978年の国家備蓄制度の創設以来、初めてのことでした。
 
6月13日に閣議決定した、2024年度版のエネルギーに関する年次報告(通称:エネルギー白書)を見ると、第2部『第1章 安定的な資源確保のための総合的な政策の推進』の冒頭には以下の記載があります。
 
日本では、一次エネルギー供給の多くを、海外から輸入する石油・石炭・天然ガス等の化石燃料が占めており、また省エネ機器や再エネ発電機器等に必要不可欠な原材料である鉱物資源についても、その供給の大宗を海外に頼っています。
 
このような脆弱性を抱える中、近年では、資源確保を取り巻く環境は大きく変化しています。具体的には、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化、世界的な脱炭素化の潮流に伴う上流投資の減少等が挙げられ、日本として、エネルギー安定供給に向けた継続的な取組が不可欠となっています。
 
〈引用終わり〉
 
日本は原油の約9割、天然ガスの1割弱を中東地域から輸入していることを踏まえれば、チョークポイントであるホルムズ海峡を通らない輸入先の確保等、供給源の多角化を進めることや、中東の産油国をはじめとする資源供給国との良好な関係を深化させることが重要です。
 
また、同白書の第4章『原子力政策の展開』では、同じくロシアによるウクライナ侵略、中東情勢の緊迫化等を受け、エネルギー安全保障への対応が急務となっているとし、加えて、DXやGXの進展により電力需要増加が見込まれる中、脱炭素電源の確保が国力を左右する状況にあること。
 
こうした背景を受け、2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとともに、脱炭素電源を確保するため、再エネか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、再エネと原子力を共に最大限活用していく方針が示されました
 
縷々述べましたが、ホルムズ海峡封鎖が現実に起きた場合、国内の備蓄が底をついても海外から輸入する(根本的な問題は置き)という米と違い、原油はそれができない。
 
ただでさえ「電力需給ひっ迫の夏」を迎える中、さらなる危機に直面していると言っても過言ではありません。
 
エネルギー資源のないわが国が、いかに自給率を高めていくかは先の大戦後からの課題であり、夢物語や理想(再エネ100%で賄うとか)ではなく、「極めて現実的」(原子力の最大限活用)な政策でなければならないことをご理解いただきたく存じます。

東京の電力想定予備率(最小)が「マイナス0.7%」

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【梅雨空のもと咲く紫陽花(あじさい)】
 
以前のブログで、忙しい中にも、この時期の主役「紫陽花」の姿を愉しむ余裕をと書きましたが、昨日はまさにそう。
 
夕刻、きゅう(我が家のわんちゃん)との散歩でのひと時に出会ったシーンがこちらで、曇天に咲く紫陽花が何とも良き雰囲気を出していました。
 
普段、夕方の散歩コースはこちらではないことを考えると、きゅうが察して、私を連れてきてくれたのかも?(そんなことはない訳ですが…)などと思いながら、しばし主役の姿を眺めた次第です。
 
こうして、梅雨は梅雨で愉しみ方がありますが、何と今週は、太平洋高気圧の勢力が強まり、梅雨は「中休み」となるとのこと。
 
お休みだけなら良いのですが、この先1週間の敦賀の天気予報を見ると、軒並み30℃以上の真夏日続き。
 
さらに詳しく見ると、日本列島の上空に真夏のような暖気が流れ込んで全国的に蒸し暑くなり、都市部では35℃以上の猛暑日となるところがある見込みとあり、熱中症に警戒が必要としています。
 
なお、東京都心では明日17日(火)の最高気温が35℃の予想で、今週もし東京都心で35℃以上になれば、2022年の記録(6月25日)を更新して、観測史上最も早い猛暑日となるとのことであり、こうなると、「中休み」のまま「梅雨明け」するのではと、逆に季節感のなさを寂しく思ったりする訳ですが、この気温上昇で心配なことは首都圏の電力需給。
 
電力広域的運営推進機関(OCCTO)が、毎週金曜日を目途に、翌週の追加起動可能な電源等の供給力を加えて発信する「想定予備率」によれば、6月16日〜6月20日までの需給見通しは下表のとおり。
 

【OCCTOが6月13日に発表した、各エリアの想定予備率】
 
ご覧のとおり、表1では、東京エリアで明日17日(火)がマイナス0.4%、18日(水)がマイナス0.7%と、需要に対して電気が足りないことを表しています。
 
いわゆる「予備率」の危険水域が「3%」であることを考えれば、18日(水)はこれをも割り込んでいる状況となる訳ですが、元々の電力供給体制から、本格的な夏を迎える前の今はこれに備えるため、各火力発電所などで定期検査などが行われており、これにより供給力が低下しているところにもってきて、前倒しの暑さによる「需要増」が重なり、この数字になっているものと認識するところです。
 
これに東京電力ホールディングスHPの「でんき予報」では、“6月17日の最小予備率が低い値となっております。当該の最小予備率については、追加的な供給力対策を考慮していない値であり、追加対策を講じることで、現時点では安定供給可能な見通しです。引き続き需給状況を注視し安定供給に努めてまいります。”とありました。
 
この意味は、下段の表2となりますが、それでも明後日は予備率3%を割り込む状況になっており、はや「電力需給ひっ迫の夏」がやってきたと、大変な危機感を抱くところであります。
 
なお、例えばの話ですが、「でんき予報」による、本日の東京エリアの最大電力予想「4,383万kW」の3%は「131.5万kw」。
 
ちょうど柏崎刈羽原子力発電所6、7号の1基あたりの電気出力「135.6万kw」と同じ規模となります。
 
これ以上申し上げる必要はないかと思いますが、いつまで、電力の安定供給を必死で守る現場頼みの状況を続けるのか。
 
毎年の夏冬、需給ひっ迫に怯え、国民や企業への節電要請で凌がねばならない状況に「またか」と、忸怩たる思いが込み上げるとともに、この状態を招いているのは「政治責任」以外の何者でもないと考えるところ。
 
国民生活と経済活動を守り、エネルギー安全保障が重要で、原子力の最大限活用を進めると仰るのであれば、真に国が前面に出て、一刻も早くこの状況から脱するよう対策を講ずるのが政治の役割であり責任であると、年を追うにつれ、思いが強まる次第であります。

原子力分野の”世界の潮流”は「事業環境整備」と「規制改革」

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昨日の福井新聞1面には、関西電力高浜発電所の敷地内で使用済燃料を一時保管する乾式キャスク貯蔵施設について、原子力規制委員会が5月28日に設置を許可(2ヶ所中の1ヶ所目)したとの記事。
 
いわゆる「ドライキャスク」と呼ばれる乾式キャスク貯蔵施設に関しては、既に日本原子力発電の東海第二発電所をはじめ、国内でも複数のプラントで設置されていることも踏まえ、今後、円滑に計画が進むことを期待するところです。
 
原子力に関しては、このように日々、何かしらのニュースが掲載される訳ですが、国内はもとより、世界各国の動向をまとめて読めるのが「原子力産業新聞(以下「原産新聞)」。
 
ネットで、会員登録なくともほぼ全文が読めるため、私も常日頃から勉強のため利用している訳ですが、「世界の潮流」は、原子力開発を着実に、かつスピード感をもって進めるための「事業環境整備」や「規制改革」を具現化しているということ。
 
 →「原子力産業新聞」HPはこちら
 
ここ数日の原産新聞を見ても、例えば、「事業環境整備」に関してはスウェーデン。
 
スウェーデンおいては現在、家庭や企業向けの不安定な電力価格と電力システムの不均衡という大きな問題に直面しており、これに対処し、化石燃料を使わないベースロードを拡大する必要から、2023年11月には、原子力発電の大規模な拡大をめざすロードマップを発表。
 
これには、カーボンフリーの電力を競争力のある価格で安定して供給することを目的に、社会の電化にともない総発電量を25年以内に倍増させるため、2035年までに少なくとも大型炉2基分、さらに2045年までに大型炉で最大10基分の原子力発電所を新設することなどが盛り込まれています。
 
また、スウェーデン議会(リクスダーゲン)は5月21日、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案を採択し、新規建設への投資が収益を生み出すまでの長いリードタイムを勘案し、政府の低い借入コストにより、信用リスクを政府に転嫁することで、資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減につなげるとしています。
 
また、大統領令により「新設の促進」や「原子力規制委員会(NRC)改革」を指示したのは米国。
 
米トランプ大統領は5月23日、原子力エネルギー政策に対する連邦政府のアプローチの再構築を目的とした一連の大統領令に署名し、人工知能(AI)産業、製造業、量子コンピューティングなどの最先端のエネルギー集約型産業での電力需要増に対し、豊富で信頼性のある電力を供給するため、エネルギー安全保障を確保するとともに、米国の原子力業界の世界的な競争力維持と国家安全保障の強化のため、2050年までに原子力発電設備容量を現在の約1億kWeから4倍の4億kWeとし、このために必要となる原子力の規制緩和を迅速に行う方針を示したとのこと。
 
なお、一連の大統領令は以下の4つ。
 
① 原子力産業基盤の再活性化
② エネルギー省(DOE)における原子炉試験の改革
③ 原子力規制委員会の改革
④ 国家安全保障強化のための先進的原子炉技術の導入
 
DOEに対しては、原子燃料の海外依存を回避するため、国内のウラン採掘と転換・濃縮能力の拡大計画や国内燃料サイクルの強化にむけた勧告を指示するほか、原子力拡大政策を支える労働力の拡大、NRCの改革の必要性を示しています。
 
特にNRCに対しては、許認可申請の迅速な処理と革新的な技術の採用を促進するため、政府効率化省との協業によるNRCの再編成、さらに民生用原子力発電の認可と規制に際し、安全性、健康、環境要因に関する従来の懸念のみならず、原子力発電が米国の経済と国家安全保障にもたらす利益を考慮するよう指示
 

【先進試験炉炉心 Ⓒ Idaho National Laboratory(原産新聞より引用)】
 
NRCにタイムリーな許認可を出すように要求することで規制上の障壁を取り除くとともに、新規炉は原子炉の種類に関わらず、建設と運転の認可プロセスの簡素化により、数年かかる審査プロセスを18か月に短縮、既設炉の運転期間延長の最終決定は1年以内と期限を定めるなど、許認可の迅速化を指示しています。
 
実際、先に施行されたADVANCE法は、原子力規制委員会(NRC)に対して、安全性を確保しつつ、審査プロセスの効率性も重視するよう求めており、NRCが昨年、2021年以来初となる第2回目の運転認可更新(subsequent license renewals)を承認したエクセル・エナジー社のモンティセロ原子力発電所(BWR, 69.1万kW)は、当初24,000時間を要すると予想されていた審査時間を、最終的に16,000時間で完了。
 
審査時間は3分の1に短縮されましたが、このような効率性は「例外」ではなく「ルール」とする必要があるとしています。
 
翻って日本。
 
原子力発電の最大限活用を掲げたものの、早期の再稼働が期待される既設炉の審査期間は10年を裕に超え、次世代革新炉の開発スピード、あるいは新設する際の事業環境整備はどこまで進んでいるのか。
 
第7次エネルギー基本計画にもある「国が前面に出て」との言葉が虚しく響くばかりと思うところですが、上記のスウェーデンや米国の例をはじめ欧州各国のように、国家経済や安全保障などの国益を踏まえた原子力規制や新設に対する国の資金支援など、そうした実が伴ってこそ、国の本気度が示されるのではないかと強く思う次第。
 
先の大戦がそうであったよう、世界は昔も今も「エネルギー獲得競争」であり、ロシアのウクライナ侵略以降、いわば「エネルギー戦争」状態にあるいま。
 
世界が自国の確実な電力供給、エネルギー自給率を上げるため「猛スピード」で原子力開発を進める一方、「掛け声だけ」のままでは、日本は遅れどころか、取り残されることになることは火を見るより明らかなこと。
 
日々、原産新聞を見る中で、こんな悠長にやっていて良いのかと、焦りは募るばかりです。

期待高まる三菱重工の「革新軽水炉」開発

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「手取りを増やす」を掲げる国民民主党ですが、このうち、高止まりの「電気代」を引き下げる方策として主張するのが「再生可能エネルギー賦課金(以下、再エネ賦課金)」の徴収停止。
 
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーなどによる発電事業者(以下、再エネ事業者)が発電した電気の買取価格を政府が保証する「固定価格買取制度(以下、FIT)」に基づき、国民ひとり一人が電気代に併せて徴収されているもので、今や各家庭の電気代の約15%を占める額になっていることは、これまでもお伝えしてきたとおり。
 
これに関連し、帝国データバンクが6日に発表したレポートによると、再エネ事業者の倒産と休廃業・解散件数が2024年度に過去最多の52件に達したことが分かったとあり、再エネ事業者の淘汰は、今後も進む可能性が高いとのこと。
 
2023年度も過去最多の45件であり、2020年度以降の5年間では、倒産した発電事業者19件のうち太陽光が7件と最多。
 
次いで木質バイオマスの4件で、天然ガスなどの火力発電(3件)、風力発電(2件)が続いており、要因としては、発電設備などの投資に対して維持管理コストや、発電に使用する燃料価格が当初計画を上回り、再エネ発電事業者の採算性が低下していることとあります。
 
加えて、FITの水準が引き下げられたことで利益が見込めなくなり、事業継続が困難となるケースが目立ったとあるものの、再エネ事業者の経営環境について、帝国データでは「減収や設備コストの増加が課題だ」と指摘しています。
 
なお、FITによる事業用太陽光発電の買い取り期間は、2032年以降に順次終了することを思えば、年間4兆円近くに及ぶ国民負担(再エネ賦課金)無くして成り立たないエネルギー源を「主力」に置くのかと、沸々と疑問が湧いてくる次第です。
 
一方、原子力発電においては、早期の再稼働が待たれる東京電力柏崎刈羽原子力発電所7号機に関し、経済産業省・資源エネルギー庁は2日、新潟県内で行ったエネルギーや原子力に関する広報事業の調査結果を発表。
 
アンケート調査で同発電所を「再稼働すべき」との回答は18.2%、「規制許可と避難対応があれば容認」は31.4%で、合計49.6%が再稼働を認める立場の回答。
 
なお、「規制許可と避難対応があっても容認できない」は8.2%、「再稼働すべきでない」は22.7%で合計30.9%。
 
「わからない」と答えた19.4%を除くと、容認が反対を大きく上回っている結果となっています。
 
また、既設原子力発電所再稼働の先にある話題として、三菱重工業が原子力発電所の「建て替え(リプレース)」に向けて200社以上の部品メーカーと調達協議を進めていることがわかったとの日経新聞記事。
 
新型の「革新軽水炉(SRZ-1200)」の安全弁などについて約150品目で調達可能と判断したとあり、国内で原子力発電所建造が滞る中で、今後のリプレースに備えて部品調達網を維持すること。
 
三菱重工では2030年代の実用化を目指して、開発中の革新軽水炉の仕様の概略をサプライヤー企業に示したとあり、こちらはリプレースの具現化に加え、日本の原子力技術、サプライチェーンの底力を見せる時と士気高まるところです。
 

【「SRZ-1200」のイメージ図(三菱重工HPより)】
 
この革新軽水炉。
 
決定した事項はないものの、建設候補として最も可能性が高いのは、関西電力美浜発電所4号機としてか…(あくまで私見です)。
 
いずれにしても、日本原電の敦賀発電所1号機(BWR:沸騰水型軽水炉)、関西電力美浜発電所1号機(PWR:加圧水型軽水炉)が発電を開始してから、今年で55年。
 
半世紀以上を経て、安全性をさらに高めた新たな型式の原子力発電所により、ここ福井県から日本の電力供給に貢献されることを期待し、応援する次第です。

2026年度の電力供給力500万キロワット不足

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4月18日に開催された新潟県議会において、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を県民投票で決める条例案が否決されたことは既に報道のとおり。
 
「賛成、反対の二者択一では多様な意見を把握できない」「原子力は専門分野であり県民投票には適さない」などの理由で、最大会派の自民党が反対に回ったことから「否決」となったとあります。
 
この結果を受け、花角英世知事は県民に「信を問う」と繰り返すものの、23日の記者会見では、自身が再稼働の是非を判断するにあたり、県民の受け止めを確認する方法について、今、手元にあるわけではないとしたうえで、公聴会などを例示し、「できるだけ早く開催場所や方法、時期を示したい」と述べています。
 
なんとも悠長な対応に忸怩たる思いは募るばかりですが、まさか、任期満了に伴う来年6月の知事選まで引っ張ることを考えてはいないか。
 
電力需給ひっ迫の夏は目の前であり、時間軸と国家観をもった早期の判断を求める次第です。
 
さて、そうしたなか、電気新聞の4月24日の記事では、『2026年度、供給力500万キロワット不足/エネ庁、容量市場で追加入札へ』とのタイトルで、経済産業省・資源エネルギー庁が23日開いた有識者会合で、容量市場の2025年度追加オークション(実需給26年度)を全国で実施する方針を示した。
 
22年度メインオークション時点から目標調達量が増える一方、市場退出する電源が一定数生じたことなどで、供給力が500万キロワット程度不足した。追加オークションの開催は2年連続。6月上旬に入札を実施する。
 
とありました。
 
聞き慣れない「容量市場」の言葉に何のことか分からないかと思いますが、まず、ここで言う「容量」というのは「必要な時に発電することができる能力(kW)」のことを意味しています。
 
例えば火力発電のような、電力が必要となった時すぐに発電できる設備を持っている発電事業者は、その能力があるといえるでしょう。
 
こうした発電所の設備を維持するためには、人件費や修繕費など、さまざまなコストがかかることや、新設もしくはリプレース(建替)する場合には長い期間が必要となりますが、電力の市場価格が低下する傾向にあると、卸電力取引市場などでの電力(kWh)の取引や相対契約では、新設やリプレースにかかったコストを将来的に回収できるという予測が立てづらくなるため、新たな投資が進まなくなってしまいます(いわゆる投資回収の予見性)。
 
出力を調整できる発電所の設備が維持できなければ、電力需要に見合った供給ができなくなるおそれが生じ、その結果、再エネの出力が下がったときや需給がひっ迫したときに電力が不足したり、需要に対して供給力が不足することで電気料金の上昇につながったり、最悪の場合、停電するおそれがあります。
 
こうした課題を解決し、電力供給の長期的な安定をはかるために、導入が検討されてきたのが「容量メカニズム」。
 
「容量メカニズム」とは、そのような「容量」に応じて対価が支払われるしくみで、日本では、海外の制度を参考に、2020年に「容量市場」が導入されました。
 
電力に関する市場としては、「電力量(kWh)」を取引する「卸電力取引市場」がありますが、容量市場で取引されるのは、「将来にわたって見込める供給力(kW)」です。
 
つまり、容量市場とは、発電事業者が持っている「容量」に対して、小売電気事業者が、市場メカニズムで決まった額を支払うものであり、具体的には、「4年後の電力の供給力」を取引きすることとなります。
 
さらに具体的に言えば、まず、「電力広域的運営推進機関(広域機関)」が、4年後に使われる見込みの電気の最大量(最大需要)を試算のうえ、その需要を満たすために必要な「4年後の電力の供給力」を算定。
 
その際、「気象や災害によるリスク」も含めながら「調達すべき電力」の目標容量を算定したうえで、次に、その調達量をまかなうために、「4年後に供給が可能な状態にできる電源」を募集。
 

【容量市場のしくみ(資源エネルギー庁HP「くわしく知りたい!4年後の未来の電力を取引する『容量市場』より引用)
 
これはオークション方式でおこなわれ、価格が安い順に落札されるというのが、一連の「容量市場」の説明となります。
 
こうしたしくみの中にあって、今回、資源エネ庁が示したのは、来年度の供給力の話。
 
電力需要に見合った供給ができなくなった際のリスク、しかも不足分は「500万キロワット」。
 
なお、再稼働を今かと待つ、柏崎刈羽原子力発電所7号機の電気出力は135.6万キロワット。
 
すぐに使える、大きな供給力を使わずして、電力の供給力不足や需給ひっ迫への対応を議論している日本。
 
先に「国家観」と申し上げましたが、こうした状況も踏まえ判断していくのが政治家の役割であり責任と、なお強く思う次第です。

茨城の同志お二方が敦賀へ

エネルギー ブログ

ここ最近、頻発している山林火災。
 
発生から6日目となる愛媛県今治市を中心とした山林火災では、焼損面積(27日午後2時半時点)およそ442ヘクタール、住宅や倉庫などあわせて21棟が焼け、現在も今治市と西条市のあわせて3848世帯、7494人に避難指示が出ているとのこと。
 
まずもって、山林火災の被害を受けた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
 
必死の消火活動に加え、昨晩から降る雨によって鎮火することを願うところですが、加えて心配されるのが停電(火災範囲に鉄塔あり)。
 
北陸電力送配電(株)からは、火災による広範囲の停電に備え、社員44名、高圧発電機車等の車両計22台を派遣し、迅速な応急送電要請への対応準備が行われましたが、四国電力送配電(株)によれば、一昨日以降、​他電力会社からの応援を含め、発電機車約100台を周辺エリアに​受け入れており、このうち3台は消火活動用に必要な個所へ配備を​行っているとのこと。
 

【全国から集結した発電機車(四国電力送配電のXより引用)】
 ​
また、これらの運転に必要な燃料も十分に確保するとともに、停電が発生した場合に、各発電機車によって速やかに送電できるよう事前の確認・準備を徹底するなど、万一の場合に鋭意備えているとあり、何かあった時は「お互いさま」と、電力供給を守る誇りをもって全電力で支え合う体制を心強く思う次第です。
 
さて、遠方から集結いただいたという点でいえば、一昨日からは茨城県より、労組役員時代からお付き合いのある東京電力労働組合組織内議員の佐藤昭雄・水戸市議会議員、当選同期で日頃から連携いただいているUAゼンセンの奥谷崇・土浦市議会議員のご両名に、敦賀発電所及び美浜原子力緊急事態支援センターをご視察いただきました。
 
以前から、旧知のお二人にお越しいただくことを懇願していただけに、今回の来敦を心から嬉しく思うところであり、行程の一部ではありましたが、私も同行させていただいたところです。
 
視察に関しては、一昨日は敦賀発電所1号機の廃止措置、敦賀発電所2号機構内や破砕帯調査現場に加え、敦賀3,4号機建設予定地まで。
 

【3月26日 敦賀原子力館前にて(左から2人目が奥谷議員、中央が佐藤議員)】
 
昨日は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ設立された美浜原子力緊急事態支援センターにて、その役割の説明、原子力災害発災時に遠隔で支援するロボットや重機等をご覧いただきました。
 


【3月27日 美浜原子力緊急事態支援センターでの視察の様子(上は遠隔操作ロボット、下はドローン訓練)】
 
また、移動の道中には、茨城県で課題となっている原子力発電所事故時の避難計画や原子力防災に関して意見交換もでき、私にとっても大変貴重な機会となりました。
 
なお、本件を紹介した私のXポスト(投稿)に奥谷議員からは、「皆さんのご説明を聞き、現場の最前線で電力産業に関わる誇りや、安全に対する意識の高さに感動しました。これからも日本の産業や、私たちの暮らしを支えてください。よろしくお願いします!」とのコメント。
 
視察を通じ、このように感じていただけたことは大変嬉しいことであり、対応いただいた方々をはじめ、現場の皆さんにこのお言葉を届けたいと思うところです。
 
改めて、お二方におかれては公務多忙のなか、目的意識をもってここ敦賀までお越しいただいたことに心から感謝申し上げます。
 
ありがとうございました。
 

【まさに「わが同志」のお二人。引き続いての連携をお願いいたします。】

経済産業省より「エネルギー政策」について説明を受ける

エネルギー ブログ 原子力 敦賀市議会

「第7次エネルギー基本計画」が2月18日、早朝の閣議にて決定。
 
2021年10月以来となるエネルギー基本計画の改定は、現行計画の策定以降、海外では、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など、エネルギー安全保障に係る地政学的リスクも高まる中において、総合資源エネルギー調査会では、2024年5月より計画の改定に向け検討に着手。
 
同年12月に原案を提示、その後1ヶ月間のパブリックコメントに付せたうえで昨日決定したもの。
 
新たなエネルギー基本計画では、「福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じ取り組む」ことを改めて原点に据えた上で、「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性)を基本的視点として掲げ、原子力に関しては、「優れた安定供給性、技術自給率を有し、他電源とそん色ないコスト水準で変動も少なく、一定の出力で安定的に発電可能」とのメリットを強調。
 
立地地域との共生、国民各層とのコミュニケーションの深化・充実、バックエンドプロセスの加速化、再稼働の加速に官民挙げて取り組むとしたほか、東日本大震災以降策定の基本計画で記載されてきた「原子力依存度を可能な限り低減」との文言は削除。新増設・リプレースについては、「廃炉を決定した原子力を有する事業者の原子力発電所サイト内での、次世代革新炉への建て替えを対象」に具体化していくとされました。
 
また、今回のエネルギー基本計画の裏付けとして、2040年のエネルギー需給見通しが「関連資料」として示され、発電電力量は1.1~1.2兆kWh程度、電源構成は、再生可能エネルギーが4~5割程度、原子力が2割程度、火力が3~4割程度などとなっています。
 
なお、「第7次エネルギー基本計画」の原文など詳細は、以下リンクより、経済産業省のホームページをご覧ください。
 
 →経済産業省HP「第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました」はこちら
 
そうして閣議決定のあった昨日、敦賀市議会では午前10時30分より議員説明会を開催。
 
経済産業省 原子力立地政策室(資源エネルギー庁 原子力広報室長)の前田博貴室長より、「エネルギー政策」について説明を受けました(経済産業省 原子力立地政策室 銀澤室長代理、若狭地域担当官事務所 山本所長も同席)。
 
室長からは約30分、①エネルギーを巡る状況、②近年のエネルギー政策の歩み、③第7次エネルギー基本計画(案)について資料に沿ってポイントを説明。
 
説明のあった時点では(案)が取れ成案となっています。
 
説明後、質疑の場においてはまず、議員お二方から、敦賀3、4号機などリプレースに向けたファイナンスについて、使用済み燃料の保管や電力消費地での広報などに関する意見がありました。
 

【議員説明会が開催された全員協議会室の自席より】
 
続いて私からは、原子力基本法改正により国の責務を明確にした上で、第7次エネルギー基本計画では「原子力依存度を可能な限り低減」の文言削除、S+3Eの原則のもと原子力を最大限活用するとした原案全体に対し評価する旨申し上げた後、以下について意見。
 
①既設原子力発電所の最大限活用と原子力規制について
毎年の夏・冬と電力間融通により何とか安定供給している需給ひっ迫の状況にあって、足下の需給逼迫改善に向けては、既設原子力発電所の最大限活用が急務。電力事業者も早期再稼働に向け取組む一方、課題の大きくは審査の長期化によるものであることは周知のとおり。エネルギー基本計画では、産業界や事業者に指導する旨の記載はあるが、規制に対する文言はない。アメリカでは、原子力3倍宣言と同時に規制側の体制も3倍にすると言っている。日本においても、規制サイドの体制強化や審査の効率化、確率論的評価(RPA)の手法も取り入れるべきと考えるため、敦賀からそういう意見があった旨、国においても共有いただきたい。
 
②今後の電力需要を見据えた時間軸を持った電源容量について
基本計画では、2040年の電力需要を最大1.2兆KWh程度と想定している。日本においては、生成AIの急激な進展による電力需要を2035年までに約600万KW増加想定とあるが、TSMC(熊本)やラピダス(北海道)など、半導体工場やデータセンター進出をはじめ、別の計画なども鑑みるに、既に先の予想を上回ることが明らかなのではないか。この電力需要にどう対応していくのかとの観点から、昨年敦賀市議会が意見書で求めたよう、将来的な時間軸と電源の必要容量を示すべきと考える。
 
③事業環境整備について
今後の事業環境整備に関し、基本計画原案24頁(成案では25頁)では、我が国においても、電力分野における必要な投資資金を安定的に確保していくためのファイナンス環境の整備に取り組む必要があるとし、具体的には、民間金融機関等が取り切れないリスクについて、公的な信用補完の活用をしていくとある。一方、こうした公的支援に関しては、とかく原子力発電に対して適用するとなると様々なハレーションが起こるのではと考える。ついては、そうした状況においても、確実に予見性ある事業環境整備が図られるよう検討・実施をお願いする。
 
なお、説明会終了後、前田室長とは立ち話でしたが、敦賀発電所2号機の審査の件に鑑み、確率論的評価がベースの米NRCやIAEAの地盤審査の考え方、AmazonやGoogle、メタ社(Facenookなど運営)がSMR等の次世代原子炉開発や原子力発電との直接契約をしている意味を考えれば、原子力の優位性がより分かりやすくなるのではなどお伝えした次第です(一方的に話したのみですが)。
 
正直、閣議決定された段階で意見することにどれだけの意義があるかと言われればそうかもしれませんが、日本のエネルギーを支えてきた原子力立地地域、議会の立場から、こうした機会を捉え国に意見することは責務であると考えるところ。
 
今後は、決定した「第7次エネルギー基本計画」を基に、いかに各電源ごとの課題を改善し具現化していくか。
 
冒頭述べたよう、我が国を取り巻くエネルギー安全保障に係る地政学的リスクは一層高まっていることを念頭に、引き続き「“超”現実的なエネルギー政策」実現に向け、微力ながら尽力してまいる所存です。

Googleなど名だたるIT企業が原子力発電と直接契約 〜その意味とは?〜

エネルギー ブログ 原子力

1月26日までを提出期限としていた、現在策定中の次期『エネルギー基本計画』(原案)に対するパブリックコメント。
 
電気事業連合会(電事連)や全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)なども提出したとあるなか、24日には日本原子力産業協会(原産協会)も同じく付したことが原子力産業新聞(原産新聞)に掲載されていました。
 
なお、原産協会の意見としては、原子力産業の意思決定となる明確な指針を求め、主には以下のとおり。
 
(1)原子力の価値と必要性を明記し「原子力依存度低減」の記載を削除
(2)既設炉の早期再稼働、長期サイクル運転、運転中保全の拡大、出力向上など、既設炉の最大限活用に適切な支援を行うこと
(3)原子力発電の新規建設を前提に新増設・リプレースの必要な容量と時間軸を示し、同一敷地内に限られた建設制限を解除
(4)原子力発電所の追加安全対策や新規建設の投資回収の予見性を回復し、投資家が投資でき、事業者が資金を調達できる事業環境整備を早急に整備
(5)革新軽水炉にかかる規制整備の早期進展の必要性に鑑み、規制整備のスケジュールを示すこと
(6)原子力事業者が無過失・無限の賠償責任を集中して負うこととされている原子力損害賠償制度の見直しについて方向性を示すこと
 
いずれの項目も「原子力の最大限活用」を現実的に進めていくうえで必要なことであり、自身の考えと合致するもの。
 
こうした意見が反映され、より具体性のある計画となることを切に期待する次第です。
 
さて、日本がようやく原子力発電を将来に亘り活用していくとの意思を明確に示すなか、世界は原子力発電所の新増設や革新炉開発を急速に進めており、その状況は原産新聞の海外NEWSから実感するところ。
 
こちらはぜひ、ご覧いただいた方が早いので、以下のリンクから記事のタイトルだけでもご覧いただきたいのですが、欧米のみならず、中国、ロシア、アジア、豪州、アフリカに至る世界各国で、今後を見据えた「新規電源」を求め、原子力開発が展開されていることが分かります。
 
 →原子力産業新聞『海外NEWS』はこちら
 
とりわけ、長い間、原子力の新設がなかったアメリカが猛烈な勢いで開発しており、特徴的なのは、名だたるIT企業が、必要とする莫大な電力を原子力発電で、しかも発電事業者への直接出資や契約により、独占的かつ安定的に供給されることを確実なものにしようとしていること。
 
誰もが知っているGoogle、Amazon、メタ社(Facebookなどを運用)だけでも、取り上げたタイトルは以下のとおり。
 
◉Googleと米ケイロス・パワー社が先進炉導入で提携(2024年10月17日)
◉Amazon SMRプロジェクトを支援(2024年10月18日)
◉米IT大手メタ社 原子力から電力調達へ(2024年12月5日)
 

【Amazonが出資するX-エナジー社製SMR「Xe-100」中央制御室の想像図(原産新聞より引用)】
 
こうしたニュースを見るに、既に1周も2周も遅れをとっている日本の原子力開発に危機感すら覚える訳ですが、次期エネルギー基本計画の背景にもあるよう、電力安定供給がままならないことは=生成AIなどのIT分野(半導体やデータセンター等)でも遅れをとるということ。
 
なお、ここでいう「電力安定供給」とは、超精密製品を生むうえで、単に電気を受電するのみならず、極めて「周波数変動の小さい」電源供給を求めていることを補足しておきます。
 
日本においては、熊本のTSMCに続き、現在、北海道でラピダスが工場建設を進めていますが、北海道電力泊原子力発電所の再稼働なくして成り立つのかと、電力安定供給に対し懸念を呼んでいるところ。
 
こうしたことからも、必要な電源容量と時間軸を示し、原子力開発を進めていくことが極めて重要と考える次第です。
 
最後に参考まで、原産新聞によると、アメリカに関しては、自国での開発のみならず、視点は月にまで。
 
『米国 WE社が月面マイクロ炉開発を継続へ』
 
米ウェスチングハウス(WE)社は1月7日、米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)から月面に原子炉を設置する「月面原子力発電(FSP)」プロジェクト向けのマイクロ炉の概念設計開発を継続する契約を獲得したことを明らかにしたとのこと。
 

【NASA 月面原子力発電(FSP)プロジェクトのイメージ図(原産新聞より引用)】
 
世界の「熾烈な電源(資源)獲得競争」はここまで来ているのかと、驚愕する次第です。

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