早く脱すべき「原子力」か「再エネ」かの不毛な二項対立議論    

ブログ 原子力

本日は天皇誕生日。
 
62歳の誕生日を迎えられるに先立ち、昨日は皇居で記者会見され、新型コロナウイルス禍の影響が続く現状に、「心に希望の火を絶やさずに灯し続け」、国や地域を越えて「人々や社会がつながり、お互いを認め合い、支え合える年になってほしい」との願いを明かされました。
 
また、人々が努力を続けることで「この厳しい現状を忍耐強く乗り越えていくことができる」とも述べられており、こうした陛下のお気持ちを思えば、とりわけ日本の舵をとる政治の世界においては、批判し合うのではなく、叡智を結集する方向に力を使うべきと、改めて認識する次第です。
 
さて、「お互いを認め合い」との言葉を聞いて浮かぶのは、私の場合どうしてもエネルギーのことになってしまうのですが、依然対立構図が続いているのが「原子力」と「再エネ」。
 
以前に拝聴した東京大学の有馬先生の講演であった、「日本は、原子力か再エネかの不毛な二項対立議論から早く脱しなければならない」との言葉が印象に残っていることもあるのかと思いますが、奇しくも昨日の新聞では「原子力発電活用か再エネ重視か 自民で議論活発化」との見出しがありました。
 
記事では、「政府が6月に取りまとめるクリーンエネルギー戦略は、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の実現と経済成長を両立する具体策が焦点だが、再生可能エネルギーを重視し、原子力の活用に慎重だった菅前政権の方針が修正されるとの見方が強く、今後、エネルギー政策をめぐり、党内の駆け引きが激しくなりそうだ。」とありました。
 
記事ではさらに、岸田首相は以前の会見で「再エネ一本足打法では安定供給や価格の問題に十分対応できない」と発言し、エネルギーを賄う手段として「原子力も一つの選択肢」とも述べていて、菅政権からの変化を印象付けるものとだとあるほか、原子力活用を求める議員らは巻き返しに躍起だとし、党総合エネルギー戦略調査会の会合で、会長の額賀福志郎元財務相は「(脱炭素の)目標は立てられたが、地に足のついた形で進展させるかが問われる」とも述べ、再エネへの傾斜にくぎを刺した。
 
一方、議連では、菅政権で再エネ政策を取り仕切ってきた小泉進次郎前環境相を会長代理に迎え、存在感をアピールするとし、小泉氏の起用には、菅氏の退陣で政策そのものが後退しかねないとの危機感もあるとみられるとしています。
 
政権与党である自民党内においては、これまでもこうした議論のやり取りがあったかとも思いますが、再エネ偏重でエネルギー危機に直面している欧州や制度破綻が明らかな電力自由化、ウクライナ情勢なども踏まえたエネルギー安全保障の観点から、「二項対立」ではなく、バランスの取れた「現実的なベストミックス」に向けた議論を期待する次第です。
 
こうした議論の結果、生み出される国のエネルギー政策。
 
これまでその政策に大きく貢献してきた敦賀市ですが、ちょうど昨日ホームページを見ると「原子力広報誌」に関する掲載がありました。
 
毎年の情勢などを反映し作成されている「敦賀と原子力」の令和3年度版の発行を紹介するものでしたが、その趣旨には「敦賀市では、原子力に関する知識の普及のため、広報パンフレットを作成しています。」とありました。
 

 →→→敦賀市「原子力広報パンフレット」のページはこちらから
 
脈々と継続して取組んでおられることに敬意を表するとともに、原子力立地地域のみならず、こうした広報は電力消費地でこそ展開されるべきと感じたところです。
 
くどいようですが、「不毛な二項対立議論から脱するため」には、世代を問わず、国民の皆さんに広く、日本のエネルギー事情を知ってもらうことが不可欠であり、エネルギー基本計画にもあるよう、国は真に「国民理解」に向け、本腰を入れて取り組んでいただきたいと考える次第です。