2026年4月7日
官公需が率先して価格転嫁を進める「加速化プラン」を歓迎
毎月ウォッチしている内閣府の月例経済報告。
直近の3月度では、総論を「景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。」とし、先行きの基調判断としては、「雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響を注視する必要がある。また、金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などに注意する必要がある。」と報告されていました。
これを受けての政策態度は、「政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行って いく。日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を 持続的・安定的に実現することを期待する。」と2月度と一言一句変わっていませんでしたが、中東情勢はあれど、現状としてドラスティックな変化と捉える必要はなく、冷静に対応といった感が伺えるところ。
また、各論において注視する「企業活動と雇用情勢」に関しては、企業収益は、米国の通商政策の影響が残るものの、改善の動きがみられ、企業の業況判断は、おおむね横ばい。
雇用情勢は、1月の完全失業率が前月から0.1%ポイント上昇し、2.7%となるなど、改善の動きがみられるものの、労働力人口、就業者数は減少しており、人手不足感が高い水準となっていること。
そして、気になる「賃金」をみると、「定期給与及び現金給与総額は、増加している。 実質総雇用者所得は、緩やかに持ち直している。また、製造業の残業時間は増加した。」とありました。
直近と言いながら、期ズレのデータを用いている場合があることを認識しておく必要がありますが、「このところ緩やかに上昇している」とある消費者物価の基調(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)など、全体情勢を一次情報で把握しておくことは大事なことであり、興味深いもの。
そうした状況において、経済動向で懸念するのは、以前にブログにも書きました、米国・イスラエルとイランの軍事衝突以降、よく耳にするようになった「スタグフレーション(Stagflation)」。
再掲となりますが、これは景気停滞(Stagnation)と物価上昇(Inflation)が同時に進行する状態を言い、原材料価格の高騰などでモノのコストが上昇する反面、賃金が上がらない中で生活コストだけが増える、生活者にとって最悪の経済状況を言います。
別の“横文字”で、日本においては、所得の上昇率以上に税負担が増え、給料の手取りが実質的に減ってしまう現象「ブラケット・クリープ」状態から抜け出すべく、国民民主党からは『もっと手取りを増やす』施策を提案しているところですが、ここで「スタグフレーション」に陥ることは何としても防ぐ必要があり、そのための政策が求められています。
なお、こちらは昨日のブログで書いた、故岸本周平さん(元国民民主党幹事長代行、和歌山県知事在任中の2025年4月15日に死去)の「ふつうの人から豊かになろう」と通ずるものがありますが、私も本年3月定例会の代表質問において、人口減少対策のひとつとして、そもそもの子育て世代の「持続的な賃上げ」が重要とし、「とりわけ大手の影響を受ける地場の中小企業・小規模事業の適切な価格転嫁・適正取引の円滑化に向けては、『パートナーシップ構築宣言』及び『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』の実効性強化、引き続き県や経済団体など関係団体と連携した行政支援が必要」と意見したところ。

【春季労使交渉による賃上げ率の推移。2024年の賃上げの状況は、全規模の賃上げ率「5.10%」に対し、中小は「4.45%」と開きがある状況。(「2025年度版 中小企業白書」より抜粋引用)】
そうしたなか、政府は6日、首相官邸で開いた中小企業の賃上げに関する会合で、国や自治体の公共事業や物品調達など「官公需」において価格転嫁や取引の適正化を徹底する「官公需における価格転嫁・取引適正化加速化プラン(以下、加速化プラン)」を示しました。
「『とにかく安ければよい』という従来の常識を変えてほしい」
これは、会合で関係省庁に取り組みを指示した佐藤啓官房副長官の言葉ですが、中東情勢の緊迫化などで原材料価格やエネルギーコストが上昇する中、官公需が率先して価格転嫁を進め、中小企業や小規模事業者が賃上げできる環境の整備につなげるのが狙い。
先に意見した自身の考えと合致するため、もちろんこの「加速化プラン」を歓迎するところです。
加速化プランは、発注時に作成する予定価格に、人件費やエネルギーコストなどの最新の実勢価格を反映させると明記のうえ、契約後にコストが上昇した場合は、契約内容の変更などへの誠実な対応を求めています。
取り組みが進んでいない自治体に対しては、総務省が改善を指導するとあるものの、敦賀市においては先の質問への答弁でこう述べています。
<産業経済部長の答弁>
持続的な賃上げを行うためには、価格転嫁や生産性向上により、賃上げの原資を獲得することが重要であると考えている。価格転嫁については、市としてできることは限られているが、商工会議所が行う経営相談への支援を行うとともに多くの支援策を講じている。また、生産性向上のための設備投資を支援する市のチャレンジ企業応援補助金については、今年度は予算額の約2倍となる申請があり、事業者の生産性向上に対する関心の高さを感じているところ。この他にも、金融機関と連携した融資や保証料の補填、補給。製造業や飲食業対象とした補助制度など、中小企業の経営安定のために幅広い施策を実施している。今後も敦賀商工会議所をはじめとした関係団体と連携し、その時々に応じた必要な施策を進め、持続的な賃上げが可能となる環境整備に努めていきたいと考えている。
「市としてできることは限られているが・・・」とあり、市が主体的にできることはそうだと理解をしつつ、「じゃあできることとは?」との問いに対してはまさに、上記プランにあることではないかと考えるもの。
ついては、こうした地場の企業への対応と関係が、持続的な地元経済や産業振興、ひいては自身が述べた人口減少対策にも通ずるものと捉えていただき、敦賀市におかれては、「スライド条項」の適用など、既に対応されていることもあるものの、今後は加速化プランに沿った対応が図られるものと考える次第です。

【「加速化プラン」案で100%の実施を掲げる目標(2026年4月4日 読売新聞オンラインより抜粋引用)】






