2026年2月13日
Google社がデュアン・アーノルド原子力発電所と「25年間の電力購入契約」
2月9日に原子炉を起動した東京電力ホールディングス(以下、東京電力HD)の柏崎刈羽原子力発電所6号機(以下、柏崎刈羽6号機)。
現在、起動工程における各種試験を順調に進め、今週末の15日には、発電機を試験的に送電系統へ接続する「発電機仮併入」により20%出力まで上昇、一旦切り離した後、発電機を送電系統へ接続する「発電機本並列」を16日に行う予定となっています。
50%出力まで上昇させた後は、段階的に出力を降下し、タービンおよび原子炉を計画停止。
20日には「中間停止」をし、各部の点検を行うなど、慎重には慎重を重ねた工程となっており、引き続き状況を見守るところです。
なお、東京電力においては「柏崎刈羽原子力発電所 情報ポータル」を立ち上げ、リアルデータや詳細工程などをお知らせしたいますので、関心のある方は以下リンクよりご覧ください。
→東京電力HD「柏崎刈羽原子力発電所 情報ポータル」サイトはこちら
さて、既設原子力発電所の再稼働に喜ぶ一方、柏崎刈羽6号機に至ってはここまで14年の時間を要したほか、今なお停止したままの発電所が複数あることに忸怩たる思いがあるところ。
そうした思いが込み上げてくる理由の一つとしてあるのが、諸外国の原子力利用、開発スピードの速さであり、とりわけその先頭を行くのが米国。
12日付の電気新聞には『米NRC、再編に着手/許認可・検査効率化へ、9月末めど』のタイトルのもと、米原子力規制委員会(NRC)は、昨年5月の大統領令に基づき組織再編に着手したとあり、新型原子炉、稼働中の原子炉、核物質・廃棄物の中核事業分野を中心に再編するとのこと。
また、許認可と検査機能を各事業分野に統合、説明責任を一元化し、プロジェクト開始時点から許認可と検査のチーム間連携を強化するとともに、企業支援事業分野の機能を統合し、効率化を図るとあった上で、NRCは今後60日以内に新しい組織図と変更管理計画を策定、9月末までに再編計画を実施する見通しとありました。
日本と同じ原子力規制組織にあって、NRCはもちろん厳格な審査体制はあった上で、経済性や効率性も踏まえた合理的な運営をしていると言え、日本もこうした考えや手法を取り込むべきではないかということは以前から申し上げているところ。
さらに、民間の動きも速く、これまでもいくつかご紹介してきましたが、こちらは原子力産業新聞を見ると『米ネクストエラがSMR最大600万kW配備を検討 Google向けPPAで既設炉の運転再開へ前進』のタイトル。
読めば、米大手電力会社でフロリダ州に本拠地のあるネクストエラ・エナジー社は1月27日、AIやクラウドサービスの拡大に伴い急増する電力需要を背景に、同社が所有する複数の既存サイトや新規サイトを開発し、最大600万kWeの小型モジュール炉(SMR)の追加配備を検討していることを明らかにした。
ネクストエラ社は現在、フロリダ州以外に所有する既存・新規サイトについて、先進原子力導入に適した状態にあるとし、様々なSMR炉型の詳細評価を実施。2025年10月に発表した米IT大手のGoogle社との25年間の電力購入契約(PPA)により実現した、アイオワ州デュアン・アーノルド原子力発電所(BWR、62.4万kWe)の運転再開に向けた作業も進めている

【デュアン・アーノルド原子力発電所(原子力産業新聞より引用)】
同PPAにより、Google社が25年間にわたり電力を固定価格で購入するため、ネクストエラ社は運転再開に必要な巨額投資を長期収益で回収できる見通しを得た。今回のGoogle社とのPPAは、政府補助に依存しない事例として注目を集めており、今後同社とは全米で原子力発電の展開についても検討することで合意しているとありました。
なお、デュアン・アーノルド発電所は、1975年に運転開始し、45年以上にわたり稼働したのち、経済性の悪化を理由に2020年に閉鎖された発電所。
2025年1月にNRCへの運転再開を申請しており、2029年第1四半期を目処に送電を開始したい考えとあります。
このように、法規制上、次世代革新炉とは何かさえ定まっていない日本に対し、既に実用領域に入っている米国。
予見性ある事業環境をどう整備するかと検討中の日本に対し、既に大手IT企業など民間が原子力発電所から直接電気を購入契約する時代に入っている米国。
遅れをとっているのが、もはや一歩や二歩でないことは察知いただけるかと思いますが、このことが先の「忸怩たる思い」が込み上げてくる理由であります。
こうして世界から大きく遅れる日本が急ピッチで追いつくためにまず必要なのは、政府の積極的かつ具体的な投資。
「知って行なわざれば 知らぬことと同じなり」
口だけで「原子力の最大限活用」と言っている場合ではないと、強く思う次第です。






