AI向けの電力需要増に求められる政策対応(原子力など脱炭素電源導入)の加速

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日本では、熊本県に2つの工場(第2工場は建設中)が進出している半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(以下、TSMC)。
 
そのTSMCが、人工知能(以下、AI)向けの需要増を見込み、台湾の生産拠点で回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)相当の最先端半導体の量産を始めたとのこと。
 
TSMCが今後完成させる熊本第2工場でも2ナノ相当の半導体生産を視野に入れていると報じていますが、日本企業では、先端半導体の国産化を目指すラピダス(北海道に工場建設中)が2ナノ相当の量産を目指しているところ。
 
なお、半導体は微細化が進むほど性能が向上することから、最新のスマートフォンなどにも使われるなど、世界ではAI向けに高性能な半導体の需要が急激に伸びており、これに対応すべくTSMCは対応を急いでいる訳ですが、一方、これに必要なのが電力供給。
 
微細化により生産の難度が増すため、なおのこと莫大な、しかも品質が安定(周波数が安定している)した電力が必要不可欠であり、台湾はもとより世界が、その需要を賄う電源として「原子力発電」の最大限活用に進んでいることはこれまでも述べてきたことであります。
 
そうした中にあって、ちょうど25日に開催された経済産業省・資源エネルギー庁の「※総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」では、エネルギー政策の課題と方向性について議論がされ、第7次エネルギー基本計画で最大限活用すると定めた脱炭素電源の導入ペースが足元で鈍る中、政策対応の加速を訴える意見が相次いだとのこと。
※経産相の諮問機関
 
また、国産エネルギー技術を社会実装していくことの重要性も指摘されたとあり、言い換えれば、ようやく判断がされた泊発電所や柏崎刈羽の如く、“眠ったままの宝”とも言える、長期化する審査などで停止中の既設原子力発電所を早期再稼働させることが必要不可欠であると、あらためて考える次第です。
 
加えて、新たな電源開発に時間を要することは言うまでもなく、安全性を高めた次世代革新炉に関しては、既に世界に大きく遅れていることは周知の事実。
 
政治の世界では、国民民主党が国政選挙において明確にその点を公約に掲げ戦いましたが、現実路線、経済安全保障を最重要視する高市政権であれば、考えをともに、政策実現へのスピードを加速できると確信するものであり、日本が原子力をはじめ、科学技術の分野で再び「世界をリード」することを期待する次第です。
 

【夏の参院選における国民民主党公約】
 
さて、本日は大晦日。
 
本来であれば、一年を振り返るような内容が相応しいと思いつつ、今一度、エネルギーの重要性を述べた訳ですが、皆様方におかれましては今年も一年、思うがまま書きつづった、拙いこのブログをご覧いただき誠にありがとうございました。
 
市議会議員に初当選して以降、読んでくれている方がいることを励みに続けた「やまたけブログ」も本日の投稿で2,491日目。
 
三日坊主の私が、一日も休むことなく続けられていることが自分でも信じられませんが、これも皆様のおかげ。
 
また来年もご愛読賜りますようよろしくお願いいたします。
 
それでは、本年も大変お世話になりました、
 
皆様、良いお年をお迎えくださいませ。

「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」が閣議決定

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振り返れば、令和3年第4回定例会において私は、その年の10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」(現在は第7次)において、2030年度の電源構成では22~24%から36~38%程度まで引き上げることとなった再生可能エネルギー(以下、再エネ)のうち、太陽光発電について一般質問。
 
質問では、2012年7月の再エネ固定価格買取制度(以下、FIT制度)の開始以降、太陽光発電の急速な導入拡大が進められてきたものの、これに伴い様々な事業者の参入が拡大した結果、景観や環境への影響、将来のパネルの破棄の問題、安全面、防災面等の面で深刻な問題が顕著化している状況にあるとし、敦賀市においても、再エネ特措法で可能としている、地域の実情に応じて条例を制定すべきではないかと意見しました。
 
結果、「新たに規制をする条例を設けるということは現在のところ考えておりません」との答弁だった訳ですが、これ以前からこのような点に関しては問題意識を持ってきたところです。
 
その後、敦賀市においては特段の問題発生はないものの、全国では急傾斜地のメガソーラー設置によって吸水量が低下し、大雨の際に山崩れが発生したり、また阿蘇山など有数の景観地での開発、さらに最近では、日本最大のラムサール条約登録湿地である釧路湿原国立公園周辺で太陽光発電施設の進出が続き、絶滅危惧種で天然記念物のタンチョウやキタサンショウウオが住む湿原の乾燥化に拍車がかかるとの懸念が高まるなど、問題がさらに顕著化しています。
 

【釧路湿原国立公園周辺に建設されたメガソーラー(東洋経済オンラインより引用)】
 
冒頭に記載しましたよう、そもそもこうした問題は、国のエネルギー政策で再エネの導入拡大を進めるとしたことが起因し、生じていることを考えれば、対策に関しても自治体任せにせず、国が責任を持って行うべきと常々思ってきた訳ですが、そうした中、昨日開催された「大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議」において、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」が閣議決定されました。
 
対策パッケージでは、今後、DX・GXの進展によって電力需要の増加が見込まれる中で、産業の競争力強化の観点から、脱炭素電源の確保が求められており、こうした中で、再エネや原子力などを最大限活用していくことが重要であるとしつつ、再生可能エネルギーについて、2012年のFIT制度開始以降、特に太陽光発電の導入が急速に拡大した一方で、自然環境、安全、景観などの面から地域において様々な懸念が生じる事例がみられており、再エネの導入にあたっては、地域との共生や環境への配慮が大前提である。地域との共生が図られた望ましい事業は促進する一方で、不適切な事業に対しては厳格に対応する必要があること。
 
太陽光発電事業について、土地造成及び電気設備の安全性確保、生活環境及び自然環境・景観の保全など、各種の公益との調整を行う関係法令を遵守する必要がある。政府において、関係省庁の連携の下、太陽光発電に係る様々な地域の懸念や課題を踏まえて、 これらの関係法令について総点検を実施した。 その結果、制度改正により法的規制を一層強化する必要があると判断されたものや、各種の法的規制が自治体において実効的かつ円滑に行われるような環境整備を行う必要があると判断されたものが存在したとし、政府としては、この総点検の結果に基づき、順次、速やかに法的な規制措置を実施していくとともに、国と自治体との更なる連携を行っていくこととするとありました。
 
具体的には、政府として、①不適切事案に対する法的規制の強化、②地域の取組との連携強化、③地域共生型への支援の重点化の3つの柱からなり、様々な対策が講じられることを「英断」と評価するものであります。
 
とりわけ、先ほど例に挙げた釧路湿原国立公園に関しては、上記①の項目の中で、湿原環境等の保全強化を図るため、自然公園法に基づく釧路湿原国立公園の区域拡張(環境省)し、公園区域内の開発を適切に規制する(令和8年度中に区域拡張を目指す)としたことに安堵するほか、何といっても最も大きいのは、③項で「FIT制度」を抜本的に見直すこと。
 
再エネ賦課金を用いた「FIT/※FIP制度」による支援(経済産業省)に関し、2027年度以降の事業用太陽光(地上設置)については、技術の進展によるコスト低減の状況や、太陽光発電に係る課題や特性を踏まえた支援策の重点化の方向性を念頭に、支援の廃止を含めて検討する(令和7年度中に方針を決定予定)としています。
 
※FIP制度(Feed-in Premium)は、FITからの移行制度。再エネ発電事業者への支援制度で、発電した電気を市場で売電した際の収入に、あらかじめ定められた「プレミアム(補助額)」を上乗せする仕組み。
 

【「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ概要版(内閣官房HPより引用)】
 
 →政策パッケージ(全文)はこちら
 
これにより、無秩序な開発の抑止につながるものと大いに評価するとともに、この制度の財源を生み出しているのは、国民民主党が徴収停止を求めている(主に物価高騰対策として)、各世帯が電気料金と合わせて収めている「再エネ賦課金」。
 
「FIT/FIP制度」が廃止される=再エネ賦課金も廃止になるのかまでは分からないものの、賦課金徴収額は400kWhの需要家モデルで月額1,592円、年額19,104円(2025年ベース:経済産業省)、国全体では約2兆7千億円(2024実績)となっています。
 
あらゆる電源には、リスクとコストがあります。
 
再エネの活用はもちろん重要なことであるとした上で、導入拡大のためにこれだけの国民負担を強いてきたことについても一旦立ち止まり考え直す。
 
昨日の閣議決定には大きな意義があると受け止める次第です。

泊発電所3号機の再稼働により家庭用電気料金を11%値下げ

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秋晴れ広がる、三連休明け。
 
昨日は、母と一緒に市役所などでの各種手続きに回りつつ、議会での打ち合わせなど、活動も通常モードに切り替え。
 
市役所内や関係各所を歩くと、お会いする方皆から、父の急逝を惜しむ声や感謝の言葉をお掛けいただき、本当にありがたい限りですが、先般も述べたよう、私自身、父からの教えを胸に精進する所存であります。
 
また、昨日の夜は、以前から予定していた「エネルギーを真剣に考える仲間によるオンライン意見交換会」に出席。
 
記憶によれば、元々は東海村議会議員の吉田充宏(みちひろ)議員の声掛けで始まったこの意見交換会。
 
今回で5回目を迎え、私にとって大変貴重な機会となっているもの。
 
意見交換のメンバーは、前述の吉田議員、同じく東海村議会議員の寺門定範議員、水戸市議会議員の佐藤昭雄議員に私の4名の組織内議員と原子力ユニオン(日本原子力研究開発労組の略称)、東京電力労働組合、日本原子力発電労働組合の本店、茨城、敦賀など各支部役員の皆さん。
 
18時30分の開始時には、Zoomの画面に参加者がびっしりと埋まり、関心の高さが伺えたところです。
 
意見交換ではまず、①既設発電所等の再稼働に向けた取り組みの現状や②各発電所等における労働災害への対応に関し、各労組から説明があった上で、それぞれの議員から、説明の内容に対する質問や各議会における取り組みについて紹介。
 
詳細を申し上げることは差し控えますが、今回も課題を共有し、前に進むための意識合わせができたことは大変有意義であったと感じたところであり、以降はぜひ「リアル意見交換会」の開催をと、再会を期してお別れした次第です。
 
さて、こうして意見交換を重ねる中で思うのは、なぜ我々はエネルギー問題を真剣に考えるのか、とりわけ原子力発電を活用する意味合いについて、原点に立ち返って考える訳ですが、ちょうど10月31日に北海道電力が次のようなプレスをしていました。
 
<以下、北海道電力のプレス文引用>
 
当社は、泊発電所の再稼働に向けた取り組みを進めています。
本年7月30日には、泊発電所3号機の原子炉設置変更許可をいただき、再稼働に向けた大きな節目を迎えました。
 
当社は、泊発電所の再稼働後には電気料金を値下げすることをお約束しており、この度、一定の前提を設定し、泊発電所3号機の再稼働後の電気料金の値下げ見通しを取りまとめましたので、お知らせします。
 
泊発電所3号機の再稼働に伴う費用の低減効果を反映したうえで、今後の物価や金利の上昇による影響を緩和するためにカイゼン活動やDX推進等の経営効率化のさらなる深掘りによる費用の削減効果を最大限織り込んだ結果、規制料金では、ご家庭向け電気料金で11%程度の値下げ、自由料金全体では、平均7%(低圧自由料金:平均11%、高圧・特別高圧料金:平均6%)程度の値下げとなる見通しです。
 
エネルギー資源に乏しい日本において「S+3E」の観点を踏まえた泊発電所の必要性について、道民の皆さまにご理解をいただけるよう、安全対策の取り組みに加え、今回お示しした電気料金の値下げ水準についても説明を尽くしていくとともに、早期再稼働に向け総力を挙げて取り組んでまいります。
 
<引用は以上>
 
また、電気料金の引き下げを示す添付資料抜粋は以下。
 


【泊発電所3号機再稼働後の電気料金の値下げ見通しについて(2025年10月31日 北海道電力株式会社)より抜粋】
 
ご覧いただくよう、泊発電所3号機が再稼働した後の電気料金は、泊全基停止に伴う2013年9月の料金値上げ前からは1.2倍となるものの、2023年6月の料金改定(値上げ後)からは上述のとおり、大きく値下げとなることが分かります。
 
なお、2013年9月に「83円」であった再生可能エネルギー発電促進賦課金等(再エネ賦課金)は現在「915円」となっており、これは政府の政策経費として、重く国民負担を強いていることを注視いただかなくてはなりません(ちなみに、電気料金引き下げのため、国民民主党は、この再エネ賦課金の徴収停止を求めています)。
 
話を「なぜエネルギー問題を真剣に考えるのか」に戻せば、北海道電力が答えを述べているよう、エネルギー資源に乏しい日本において「S+3E」の考えを第一義に置いたうえで、特に「低廉な電気の安定供給」のためには、原子力発電を最大限活用していくことが必要不可欠と思うから。
 
九州や関西など、原子力比率の高いエリアは電気料金が相対的に安価であること、今回の北海道の試算を見てもそのことは明らかであり、皆様方におかれましてはあらためて、こうした現実的観点をご理解いただければ幸いに存じます。

世界の潮流は「原子力への投資支援」

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「秋分の日」の昨日は、あいあいプラザで開催された、関西電力労働組合 第56回美浜支部定期大会に出席。
 
休日にも関わらず、多くの代議員が出席のところ、挨拶では、大会のご盛会をお慶び申し上げるとともに、美浜3号の安全・安定運転はもとより、1、2号の廃止措置を着実に進める職場の皆様に感謝の思いをお伝えしました。
 
また、原子力における「世界の潮流」をご紹介したうえで、現在そしてこの先の日本の電力需要増を考えれば、原子力発電による新規電源開発が必要不可欠であり、美浜でのリプレースや敦賀3、4号機を含めた次世代革新炉の建設にあたっては、規制サイドにおいて審査基準を明確にすること、事業者が予見性をもって投資できるような環境整備を「国が」率先して、早期に行うことが重要であること。
 
これらの進展に向けて、微力ながら、先の敦賀市議会6月定例会の一般質問でも意見したこと、職場の皆さんの思いを受け止めながら、引き続き取り組むことをお誓い申し上げた次第です。
 
なお、今大会で56回目を迎える、歴史と伝統ある美浜支部は、美浜1号が、1970大阪万博会場に「原子の灯」を届けてから55年。
 
じっとこちらを見つめる代議員の皆さんの表情から、わが国の原子力黎明期から続くスピリットを感じた次第です。
 
さて、挨拶でご紹介した「世界の潮流」に関しては、これまでも度々お伝えしてきているところ、以降も次々と進展が。
 
トランプ米大統領の訪英に先立つ9月15日には、「原子力の黄金時代」と称される両国企業間の複数の合意を発表。
 
そのうえで、両国は18日に調印した技術協定にて、原子力分野では、先進炉、先進燃料、核融合の分野での連携を深め、核分裂および核融合のイノベーションの最前線に留まり続けることを目指すとし、両国において原子力発電所の増設を推進し、クリーンエネルギー分野への数十億ポンドの民間投資を後押しすることになるとありました。
 

【米英政府による調印式の様子(原子力産業新聞より引用)】
 
続けて、世界の原子力産業を代表する9業界団体(※)も18日、エネルギー安全保障の強化とクリーンで豊富な電力供給に対する世界的な需要の高まりに対応するために、各国政府に対して原子力への投資支援を呼びかける共同声明を発出。
 
※9業界団体
日本原子力産業協会(JAIF)の他、カナダ原子力協会(CNA)、米国電力研究所(EPRI)、仏原子力産業協会(GIFEN)、韓国原子力産業協会(KAIF)、米原子力エネルギー協会(NEI)、英国原子力産業協会(NIA)、欧州原子力産業協会(Nucleareurope)、世界原子力協会(WNA)の計9団体。
 
原子力産業新聞によれば、2023年、2024年にも開催されたこの年次ハイレベル会議には、政府と産業界のリーダーが一堂に会し、原子力に対する世界的な期待の高まりに応えるべく、必要な規模とペースで新規原子力発電所を建設するために必要な喫緊の課題について協議。
 
今回の会議では、多国間開発銀行やここ数か月間に原子力融資を発表した主要な民間資本関係者も参加し、原子力発電の規模拡大に不可欠な政策と資金調達のほか、タイムリーな建設や熟練した労働力の育成、燃料供給の確保、原子力部門のサプライチェーンに焦点を当てた協議が行われたとありました。
 
同声明では、各国政府に対して、様々な分野で具体的な行動を起こすように提起した訳ですが、その中で、私がポイントと感じたのは以下3点。
 
<共同声明抜粋>
 
◉クリーンエネルギー源に対して技術中立性を適用し、エネルギー部門の拡大を成功させる。これはエネルギーの最終消費者にとって不可欠であり、原子力部門への投資に対して明確なシグナルを送るためにも必要。さらに、原子力が国際的な炭素削減メカニズムにおける正当な取引手段として認められるようにする。
◉世界銀行が原子力プロジェクトへの資金提供に前向きな姿勢を示していることを踏まえ、民間の資金調達も促進するため、国内および多国間レベルでの公的資金へのアクセスを可能にする
規制当局間の連携強化により、設計のさらなる標準化を可能にし、コストの削減、フリートの展開を促進する。
 
美浜支部の大会で述べたことが、さながら世界規模で協議されているものですが、ふと、他国の民間企業が日本のメーカーやサプライチェーンに投資をし、「技術を金で買われる」ことになりやしないかと不安がよぎったところ。
 
東日本大震災以降、原子力比率が極端に低くなった(火力の比率増)日本においては、エネルギー源の海外依存によって「国益をたれ流し」続けていることに加え、今度は「技術まで他国に奪われる」ことは言語道断。
 
先の大戦がエネルギー争奪戦争であったことを忘るることなく、そうしたことに強い危機感をもって「政治が」早急に対応せねばと、重ねて思う次第です。

2040年における「エネルギー需給見通し」に誰が責任を持つのか

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連日、福井新聞の1面は、関西電力(以下、関電)に関する記事。
 
昨日は、関電が福井県内の原子力発電所立地地域の振興や課題解決に向けた新たな資金拠出の仕組みを公表し、本年度に総額207億円、来年度以降も当面の間、毎年50億円を基準に原子力発電所の稼働実績に応じて拠出する方針とのこと。
 
また、今日は、関電が保有する福井県内の原子力発電所3地点すべての敷地内で計画する使用済み燃料の乾式貯蔵施設の運用を巡り、遅くとも2035年末までに、同施設から県外の中間貯蔵施設へ搬出を開始すると県に説明することで調整していることが分かったとありました。
 
2件ともに、原子力行政を進めるうえで、福井県が重要視してきたものであることは認識するものの、とりわけ昨日の資金拠出に関しては、規模感も含め、1民間企業が負う役割としてどうなのか、個人的に疑問に感じた次第です。
 
一方、こうして地域振興に貢献する企業に対し、例えば関電では、美浜で進めようと計画するリプレースがありますが、これら新規電源立地や技術開発に、国はもちろん、十分な資金投資をしてくれるんですよねと大いに問い掛けたいところであります。
 
さて、福井新聞はこのような原子力に関する記事でしたが、全国版で気になるニュースはこちらもエネルギーに関するもの。
 
ひとつは、政府肝入りで進めてきた「再エネの切り札」と称する「洋上風力発電」について、三菱商事や中部電力などが、秋田県と千葉県沖の3海域で進める洋上風力発電所の建設計画から撤退する方向で調整に入ったことが26日、分かったとの記事。
 
3区域は「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」と「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」で、三菱商事や中部電力子会社の電気設備大手シーテック(名古屋市)などでつくる企業連合が受注し、千葉では2025年、秋田では2026年にそれぞれ建設を始め、風車計134基の設置を予定。
 
2028~2030年に順次運転を開始し、2052年まで操業する計画を掲げていたものの、資材や人件費などが上昇し、事業を取り巻く環境が厳しくなったことから、採算を確保できないと判断した。
 
なお、国が再生可能エネルギーの普及に向けた重点的な整備計画の第1弾として事業者を公募し、三菱商事を中心とする共同体が2021年に受注していたもの。
 
ふたつ目の記事は、太陽光発電に関して。
 
北海道の釧路湿原周辺で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を進める「日本エコロジー」(大阪市)に対し、有志の市議21人が15日付で、国の特別天然記念物タンチョウとひなの生息地付近で進めている事業の中止を要請したのに対し、同社は中止しない旨の見解書を釧路市長や市議、環境省に提出していたことが25日、市側への取材で分かったとの記事。
 
市議によると、同社は見解書で、事業は市と協議を重ねたもので、正当な手続きを踏んでいると主張。中止の要請には応じられないことに加え、環境への配慮は惜しまないと記していたとのこと。
 
なお、別の資料によれば、釧路市は本年6月19日、10kW以上の事業用太陽光発電設備の設置を許可制とする条例案を市議会民生福祉常任委員会に示しており、タンチョウやオジロワシなどの希少な野生生物の生息に重大な影響を及ぼすおそれがある場合は、太陽光発電設備の設置を許可しない方針とし、9月定例市議会に条例案を提出のうえ、来年1月1日の施行を目指すとしています。
 

【釧路高原で工事を進めるメガソーラー(産経新聞より引用)】
 
こうして同じ「再生可能エネルギー」でも、頓挫する洋上風力発電と、意に介さず拡大する太陽光発電。
 
特に、住民トラブルや山肌に設置したソーラーパネルにより治水量が低下し、災害にもつながっている太陽光発電がこの先も無秩序に開発され、さらには釧路高原や阿蘇山(熊本)のメガソーラのように、美しき日本の自然が次々に破壊される状況を看過していては決してなりません。
 
結びに、「第7次エネルギー基本計画」における、「2040年におけるエネルギー需給の見通し」は下表のとおり。
 
文中にある“複数シナリオ”の考え方については、「既存の再エネ技術に加え、ペロブスカイト太陽電池・浮体式洋上風力等の大幅なコスト低減が実現し、国内の再エネ導入量が拡大。」としています。
 
つまりは、大幅なコスト低減が実現すれば、こういった見通しになるとの希望的観測ともとれる訳です。
 
加えて、「様々な不確実性が存在」と、私には、達成できなかった場合の予防線を張りに張りまくっているとしか思えませんが、一体この見通しに誰が責任を持つのでしょうか。

米国では「原子力」の電気を「直接購入」する時代

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早いもので、8月も最終週となりました。
 
敦賀市内の小学校の1学期後半開始は、明後日27日(水)のようで、夏休みの宿題も終わって余裕の子も、ラストスパートとばかり宿題に追われている子も、元気に登校日を迎えて欲しいと思うところ。
 
夏休みが終わると、敦賀の次のイベントは、9月2日(火)から始まる「敦賀まつり」。
 
ニュースにも取り上げられていた「山車」の組み立て、準備にあたる様子などを見るにつれ、この歳になってもワクワクするのは「敦賀っ子」の所以といったところでしょうか。
 
ただし、その前の9月1日(月)には、令和7年第3回(9月)敦賀市議会定例会 1週間前の、いわゆる「告示日議運」(議会運営委員会)が開催され、同時に議案も配布されます。
 
翌週8日(月)には定例会開会となりますので、こちらは気を引き締めて、準備にあたる所存です。
 
さて、この猛暑続き、電力需要が極めて高い夏季ピークも「電力の安定供給」にご尽力いただいている、電力関連産業の方々にあらためて感謝するところですが、一方、心配が募るのは、この先の電力不足。
 
第7次エネルギー基本計画でも明らかとなったよう、生成AIの急速な普及に伴うデータセンターや半導体工場に必要な分を見込むと、従前低下傾向にあった電力需要は増加に転じ、これをどう非化石エネルギーで賄っていけるかが、日本における大きな課題となっています。
 
これに対しては、既設原子力発電所をフルに活用するほか、次世代革新炉によるリプレース、新増設を速やかに進めていくことが鍵であり、日本が成長するための生命線と考えることは、これまでも述べているとおり。
 
と同時に、「原子力発電の最大限活用」を謳いながら、これらが遅々として進まない現状に忸怩たる思いを抱く訳ですが、この思いが一層募るのは、世界各国の原子力政策が極めて革新的かつスピード感をもって行われていることに他なりません。
 
例えて言うなら、先日の原子力産業新聞にも掲載されていた米国。
 
GoogleやAmazon、メタ社(Facebookを運営)など、膨大な電力を必要とする米大手IT企業は、自社データセンターへの電力供給を「原子力」で賄うため、開発協力、資金援助を行っているところ、米原子力新興企業のケイロス・パワー社は8月18日、米国の拡大するエネルギー需要に対応し、先進原子力分野における同国のリーダーシップを強化するため、IT大手のGoogle社および米テネシー峡谷開発公社(TVA)と新たな協力関係を発表したとありました。
 
Google社は2024年10月、自社のデータセンターへの電力供給を目的にケイロス社と2035年までにケイロス社が開発する先進炉のフッ化物塩冷却高温炉を複数基、合計出力にして最大50万kWeの導入による電力購入契約(PPA)を締結。
 
ケイロス社の実証プラント「ヘルメス2」は、Google社との同契約の下で最初に建設される発電所となり、さらにケイロス社はGoogle社のテネシー州モンゴメリー郡ならびにアラバマ州ジャクソン郡にあるデータセンターへの電力供給を加速するために、ヘルメス2の出力を2.8万kWから5万kWeに増強し、1基の原子炉で発電を行う予定で、2030年の運転開始を見込むなど、Google社は事業の脱炭素化をさらに推進していく考えとのこと。
 

【ケイロス・パワー「ヘルメス2」のイメージ(原子力産業新聞より引用)】
 
また、ヘルメスは2023年12月に、米原子力規制委員会(NRC)が半世紀ぶりに建設を許可した非水冷却炉。
 
つまりは、規制側も国策である新たな技術導入に対して、極めて迅速かつ合理的な対応をしていることが背景にあることも認識しておく必要があります。
 
これは世界で起こっていることの一例に過ぎず、欧米各国はもとより、中露、途上国を含め、先進的な原子力開発を進める中において、日本はどうか。
 
新規プラントを建設する期間を考慮すると、今に「電気が足りなくなる」状況に陥るのではないか。
 
そうなれば、もはや日本は先進国どころではなく二流国。
 
さらに言えば、「エネルギー資源獲得戦争」であった先の歴史すら思い浮かべる次第。
 
品質の高い、安定した電力供給は、生活と経済活動の血液であり、日本の生命線。
 
残暑厳しきこの夏にあって、一層の危機感を覚える次第です。

ホルムズ海峡封鎖とわが国のエネルギー危機

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米国がイランの核施設を攻撃した。報復へ、イランは世界のエネルギー供給の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖するとの観測が消えない。日本は燃料のほとんどを輸入に頼る。原油は一定量の備蓄があるものの、事態が長期化すれば原油価格の高騰が電気代などに波及する。経済活動全体の下押し圧力となる恐れもある。
 
これは、23日にあった日本経済新聞の記事。
 
こうした状況を受け、武藤経済産業大臣は24日の閣議後の会見で、ホルムズ海峡が封鎖された場合の対応について「安定供給に支障が生じるおそれがある場合には、IEA=国際エネルギー機関やその加盟国と緊密に連携しつつ、必要があれば、石油備蓄の活用を検討することも含めて、適時・適切に対応していく」と述べました。
 

スペースシャトル「コロンビア」から見たホルムズ海峡(1991年6月撮影)。ペルシア湾(上)とオマーン湾(下)の間の狭い海峡で、世界の原油の約20%が通過する。右はイラン国土、左はアラビア半島(NATIONAL GEOGRAPHICより引用)
 
備蓄放出といえば最近は「米」ですが、今度は石油かと、食料そしてエネルギーの自給率の低さにあらためて危機感を抱くところ。
 
なお、石油の備蓄に関しては、2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵略に起因する国際エネルギー市場の深刻な需給ひっ迫に対応するため、国際エネルギー機関(IEA)が、2022年3月と4月に二度の閣僚会合を開催し、石油備蓄放出の協調行動について合意。
 
これを受けて、日本は、民間備蓄石油の放出(1,350万バレル)に加えて、「石油の備蓄の確保等に関する法律(昭和50年法律第96号)」(以下「石油備蓄法」という。)第31条に基づき、国家備蓄石油の放出(900万バレル)を行った経験があります。
 
石油備蓄法に基づく国家備蓄石油の放出は、1978年の国家備蓄制度の創設以来、初めてのことでした。
 
6月13日に閣議決定した、2024年度版のエネルギーに関する年次報告(通称:エネルギー白書)を見ると、第2部『第1章 安定的な資源確保のための総合的な政策の推進』の冒頭には以下の記載があります。
 
日本では、一次エネルギー供給の多くを、海外から輸入する石油・石炭・天然ガス等の化石燃料が占めており、また省エネ機器や再エネ発電機器等に必要不可欠な原材料である鉱物資源についても、その供給の大宗を海外に頼っています。
 
このような脆弱性を抱える中、近年では、資源確保を取り巻く環境は大きく変化しています。具体的には、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化、世界的な脱炭素化の潮流に伴う上流投資の減少等が挙げられ、日本として、エネルギー安定供給に向けた継続的な取組が不可欠となっています。
 
〈引用終わり〉
 
日本は原油の約9割、天然ガスの1割弱を中東地域から輸入していることを踏まえれば、チョークポイントであるホルムズ海峡を通らない輸入先の確保等、供給源の多角化を進めることや、中東の産油国をはじめとする資源供給国との良好な関係を深化させることが重要です。
 
また、同白書の第4章『原子力政策の展開』では、同じくロシアによるウクライナ侵略、中東情勢の緊迫化等を受け、エネルギー安全保障への対応が急務となっているとし、加えて、DXやGXの進展により電力需要増加が見込まれる中、脱炭素電源の確保が国力を左右する状況にあること。
 
こうした背景を受け、2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとともに、脱炭素電源を確保するため、再エネか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、再エネと原子力を共に最大限活用していく方針が示されました
 
縷々述べましたが、ホルムズ海峡封鎖が現実に起きた場合、国内の備蓄が底をついても海外から輸入する(根本的な問題は置き)という米と違い、原油はそれができない。
 
ただでさえ「電力需給ひっ迫の夏」を迎える中、さらなる危機に直面していると言っても過言ではありません。
 
エネルギー資源のないわが国が、いかに自給率を高めていくかは先の大戦後からの課題であり、夢物語や理想(再エネ100%で賄うとか)ではなく、「極めて現実的」(原子力の最大限活用)な政策でなければならないことをご理解いただきたく存じます。

東京の電力想定予備率(最小)が「マイナス0.7%」

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【梅雨空のもと咲く紫陽花(あじさい)】
 
以前のブログで、忙しい中にも、この時期の主役「紫陽花」の姿を愉しむ余裕をと書きましたが、昨日はまさにそう。
 
夕刻、きゅう(我が家のわんちゃん)との散歩でのひと時に出会ったシーンがこちらで、曇天に咲く紫陽花が何とも良き雰囲気を出していました。
 
普段、夕方の散歩コースはこちらではないことを考えると、きゅうが察して、私を連れてきてくれたのかも?(そんなことはない訳ですが…)などと思いながら、しばし主役の姿を眺めた次第です。
 
こうして、梅雨は梅雨で愉しみ方がありますが、何と今週は、太平洋高気圧の勢力が強まり、梅雨は「中休み」となるとのこと。
 
お休みだけなら良いのですが、この先1週間の敦賀の天気予報を見ると、軒並み30℃以上の真夏日続き。
 
さらに詳しく見ると、日本列島の上空に真夏のような暖気が流れ込んで全国的に蒸し暑くなり、都市部では35℃以上の猛暑日となるところがある見込みとあり、熱中症に警戒が必要としています。
 
なお、東京都心では明日17日(火)の最高気温が35℃の予想で、今週もし東京都心で35℃以上になれば、2022年の記録(6月25日)を更新して、観測史上最も早い猛暑日となるとのことであり、こうなると、「中休み」のまま「梅雨明け」するのではと、逆に季節感のなさを寂しく思ったりする訳ですが、この気温上昇で心配なことは首都圏の電力需給。
 
電力広域的運営推進機関(OCCTO)が、毎週金曜日を目途に、翌週の追加起動可能な電源等の供給力を加えて発信する「想定予備率」によれば、6月16日〜6月20日までの需給見通しは下表のとおり。
 

【OCCTOが6月13日に発表した、各エリアの想定予備率】
 
ご覧のとおり、表1では、東京エリアで明日17日(火)がマイナス0.4%、18日(水)がマイナス0.7%と、需要に対して電気が足りないことを表しています。
 
いわゆる「予備率」の危険水域が「3%」であることを考えれば、18日(水)はこれをも割り込んでいる状況となる訳ですが、元々の電力供給体制から、本格的な夏を迎える前の今はこれに備えるため、各火力発電所などで定期検査などが行われており、これにより供給力が低下しているところにもってきて、前倒しの暑さによる「需要増」が重なり、この数字になっているものと認識するところです。
 
これに東京電力ホールディングスHPの「でんき予報」では、“6月17日の最小予備率が低い値となっております。当該の最小予備率については、追加的な供給力対策を考慮していない値であり、追加対策を講じることで、現時点では安定供給可能な見通しです。引き続き需給状況を注視し安定供給に努めてまいります。”とありました。
 
この意味は、下段の表2となりますが、それでも明後日は予備率3%を割り込む状況になっており、はや「電力需給ひっ迫の夏」がやってきたと、大変な危機感を抱くところであります。
 
なお、例えばの話ですが、「でんき予報」による、本日の東京エリアの最大電力予想「4,383万kW」の3%は「131.5万kw」。
 
ちょうど柏崎刈羽原子力発電所6、7号の1基あたりの電気出力「135.6万kw」と同じ規模となります。
 
これ以上申し上げる必要はないかと思いますが、いつまで、電力の安定供給を必死で守る現場頼みの状況を続けるのか。
 
毎年の夏冬、需給ひっ迫に怯え、国民や企業への節電要請で凌がねばならない状況に「またか」と、忸怩たる思いが込み上げるとともに、この状態を招いているのは「政治責任」以外の何者でもないと考えるところ。
 
国民生活と経済活動を守り、エネルギー安全保障が重要で、原子力の最大限活用を進めると仰るのであれば、真に国が前面に出て、一刻も早くこの状況から脱するよう対策を講ずるのが政治の役割であり責任であると、年を追うにつれ、思いが強まる次第であります。

原子力分野の”世界の潮流”は「事業環境整備」と「規制改革」

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昨日の福井新聞1面には、関西電力高浜発電所の敷地内で使用済燃料を一時保管する乾式キャスク貯蔵施設について、原子力規制委員会が5月28日に設置を許可(2ヶ所中の1ヶ所目)したとの記事。
 
いわゆる「ドライキャスク」と呼ばれる乾式キャスク貯蔵施設に関しては、既に日本原子力発電の東海第二発電所をはじめ、国内でも複数のプラントで設置されていることも踏まえ、今後、円滑に計画が進むことを期待するところです。
 
原子力に関しては、このように日々、何かしらのニュースが掲載される訳ですが、国内はもとより、世界各国の動向をまとめて読めるのが「原子力産業新聞(以下「原産新聞)」。
 
ネットで、会員登録なくともほぼ全文が読めるため、私も常日頃から勉強のため利用している訳ですが、「世界の潮流」は、原子力開発を着実に、かつスピード感をもって進めるための「事業環境整備」や「規制改革」を具現化しているということ。
 
 →「原子力産業新聞」HPはこちら
 
ここ数日の原産新聞を見ても、例えば、「事業環境整備」に関してはスウェーデン。
 
スウェーデンおいては現在、家庭や企業向けの不安定な電力価格と電力システムの不均衡という大きな問題に直面しており、これに対処し、化石燃料を使わないベースロードを拡大する必要から、2023年11月には、原子力発電の大規模な拡大をめざすロードマップを発表。
 
これには、カーボンフリーの電力を競争力のある価格で安定して供給することを目的に、社会の電化にともない総発電量を25年以内に倍増させるため、2035年までに少なくとも大型炉2基分、さらに2045年までに大型炉で最大10基分の原子力発電所を新設することなどが盛り込まれています。
 
また、スウェーデン議会(リクスダーゲン)は5月21日、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案を採択し、新規建設への投資が収益を生み出すまでの長いリードタイムを勘案し、政府の低い借入コストにより、信用リスクを政府に転嫁することで、資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減につなげるとしています。
 
また、大統領令により「新設の促進」や「原子力規制委員会(NRC)改革」を指示したのは米国。
 
米トランプ大統領は5月23日、原子力エネルギー政策に対する連邦政府のアプローチの再構築を目的とした一連の大統領令に署名し、人工知能(AI)産業、製造業、量子コンピューティングなどの最先端のエネルギー集約型産業での電力需要増に対し、豊富で信頼性のある電力を供給するため、エネルギー安全保障を確保するとともに、米国の原子力業界の世界的な競争力維持と国家安全保障の強化のため、2050年までに原子力発電設備容量を現在の約1億kWeから4倍の4億kWeとし、このために必要となる原子力の規制緩和を迅速に行う方針を示したとのこと。
 
なお、一連の大統領令は以下の4つ。
 
① 原子力産業基盤の再活性化
② エネルギー省(DOE)における原子炉試験の改革
③ 原子力規制委員会の改革
④ 国家安全保障強化のための先進的原子炉技術の導入
 
DOEに対しては、原子燃料の海外依存を回避するため、国内のウラン採掘と転換・濃縮能力の拡大計画や国内燃料サイクルの強化にむけた勧告を指示するほか、原子力拡大政策を支える労働力の拡大、NRCの改革の必要性を示しています。
 
特にNRCに対しては、許認可申請の迅速な処理と革新的な技術の採用を促進するため、政府効率化省との協業によるNRCの再編成、さらに民生用原子力発電の認可と規制に際し、安全性、健康、環境要因に関する従来の懸念のみならず、原子力発電が米国の経済と国家安全保障にもたらす利益を考慮するよう指示
 

【先進試験炉炉心 Ⓒ Idaho National Laboratory(原産新聞より引用)】
 
NRCにタイムリーな許認可を出すように要求することで規制上の障壁を取り除くとともに、新規炉は原子炉の種類に関わらず、建設と運転の認可プロセスの簡素化により、数年かかる審査プロセスを18か月に短縮、既設炉の運転期間延長の最終決定は1年以内と期限を定めるなど、許認可の迅速化を指示しています。
 
実際、先に施行されたADVANCE法は、原子力規制委員会(NRC)に対して、安全性を確保しつつ、審査プロセスの効率性も重視するよう求めており、NRCが昨年、2021年以来初となる第2回目の運転認可更新(subsequent license renewals)を承認したエクセル・エナジー社のモンティセロ原子力発電所(BWR, 69.1万kW)は、当初24,000時間を要すると予想されていた審査時間を、最終的に16,000時間で完了。
 
審査時間は3分の1に短縮されましたが、このような効率性は「例外」ではなく「ルール」とする必要があるとしています。
 
翻って日本。
 
原子力発電の最大限活用を掲げたものの、早期の再稼働が期待される既設炉の審査期間は10年を裕に超え、次世代革新炉の開発スピード、あるいは新設する際の事業環境整備はどこまで進んでいるのか。
 
第7次エネルギー基本計画にもある「国が前面に出て」との言葉が虚しく響くばかりと思うところですが、上記のスウェーデンや米国の例をはじめ欧州各国のように、国家経済や安全保障などの国益を踏まえた原子力規制や新設に対する国の資金支援など、そうした実が伴ってこそ、国の本気度が示されるのではないかと強く思う次第。
 
先の大戦がそうであったよう、世界は昔も今も「エネルギー獲得競争」であり、ロシアのウクライナ侵略以降、いわば「エネルギー戦争」状態にあるいま。
 
世界が自国の確実な電力供給、エネルギー自給率を上げるため「猛スピード」で原子力開発を進める一方、「掛け声だけ」のままでは、日本は遅れどころか、取り残されることになることは火を見るより明らかなこと。
 
日々、原産新聞を見る中で、こんな悠長にやっていて良いのかと、焦りは募るばかりです。

期待高まる三菱重工の「革新軽水炉」開発

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「手取りを増やす」を掲げる国民民主党ですが、このうち、高止まりの「電気代」を引き下げる方策として主張するのが「再生可能エネルギー賦課金(以下、再エネ賦課金)」の徴収停止。
 
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーなどによる発電事業者(以下、再エネ事業者)が発電した電気の買取価格を政府が保証する「固定価格買取制度(以下、FIT)」に基づき、国民ひとり一人が電気代に併せて徴収されているもので、今や各家庭の電気代の約15%を占める額になっていることは、これまでもお伝えしてきたとおり。
 
これに関連し、帝国データバンクが6日に発表したレポートによると、再エネ事業者の倒産と休廃業・解散件数が2024年度に過去最多の52件に達したことが分かったとあり、再エネ事業者の淘汰は、今後も進む可能性が高いとのこと。
 
2023年度も過去最多の45件であり、2020年度以降の5年間では、倒産した発電事業者19件のうち太陽光が7件と最多。
 
次いで木質バイオマスの4件で、天然ガスなどの火力発電(3件)、風力発電(2件)が続いており、要因としては、発電設備などの投資に対して維持管理コストや、発電に使用する燃料価格が当初計画を上回り、再エネ発電事業者の採算性が低下していることとあります。
 
加えて、FITの水準が引き下げられたことで利益が見込めなくなり、事業継続が困難となるケースが目立ったとあるものの、再エネ事業者の経営環境について、帝国データでは「減収や設備コストの増加が課題だ」と指摘しています。
 
なお、FITによる事業用太陽光発電の買い取り期間は、2032年以降に順次終了することを思えば、年間4兆円近くに及ぶ国民負担(再エネ賦課金)無くして成り立たないエネルギー源を「主力」に置くのかと、沸々と疑問が湧いてくる次第です。
 
一方、原子力発電においては、早期の再稼働が待たれる東京電力柏崎刈羽原子力発電所7号機に関し、経済産業省・資源エネルギー庁は2日、新潟県内で行ったエネルギーや原子力に関する広報事業の調査結果を発表。
 
アンケート調査で同発電所を「再稼働すべき」との回答は18.2%、「規制許可と避難対応があれば容認」は31.4%で、合計49.6%が再稼働を認める立場の回答。
 
なお、「規制許可と避難対応があっても容認できない」は8.2%、「再稼働すべきでない」は22.7%で合計30.9%。
 
「わからない」と答えた19.4%を除くと、容認が反対を大きく上回っている結果となっています。
 
また、既設原子力発電所再稼働の先にある話題として、三菱重工業が原子力発電所の「建て替え(リプレース)」に向けて200社以上の部品メーカーと調達協議を進めていることがわかったとの日経新聞記事。
 
新型の「革新軽水炉(SRZ-1200)」の安全弁などについて約150品目で調達可能と判断したとあり、国内で原子力発電所建造が滞る中で、今後のリプレースに備えて部品調達網を維持すること。
 
三菱重工では2030年代の実用化を目指して、開発中の革新軽水炉の仕様の概略をサプライヤー企業に示したとあり、こちらはリプレースの具現化に加え、日本の原子力技術、サプライチェーンの底力を見せる時と士気高まるところです。
 

【「SRZ-1200」のイメージ図(三菱重工HPより)】
 
この革新軽水炉。
 
決定した事項はないものの、建設候補として最も可能性が高いのは、関西電力美浜発電所4号機としてか…(あくまで私見です)。
 
いずれにしても、日本原電の敦賀発電所1号機(BWR:沸騰水型軽水炉)、関西電力美浜発電所1号機(PWR:加圧水型軽水炉)が発電を開始してから、今年で55年。
 
半世紀以上を経て、安全性をさらに高めた新たな型式の原子力発電所により、ここ福井県から日本の電力供給に貢献されることを期待し、応援する次第です。

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