岐阜県高山市にて「海外誘客の取り組み」を学ぶ

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嶺南広域行政組合議会の行政視察は2日目(最終日)。
 
初日と同じ岐阜県の高山市に進み、 「海外誘客(以下、インバウンド)の取組み」について視察してまいりました。
 
S61年に国際観光モデル地区に指定されて以降、継続的に取り組みをされ、H24年には観光庁長官表彰、H28年にはジャパンツーリズム・アワードを受賞した高山市は、全国でもトップクラスのインバウンド都市。
 
前日に高山入りしましたが、宿泊したホテルも、昨朝市内を散歩しても外国人の割合が大変高く、そのことを実感した次第です。、
 
視察は高山市役所にて行われ、観光課 海外戦略係のご担当より資料に沿って説明を受けました。
 
伺ったことは、目から鱗なことばかりでしたが、説明中にあった主な内容は以下のとおり。
 
<取組み経過と現状>
◉国際観光に係る歴史は長く、S61年に国際観光モデル地区に指定されたことを契機に、40年以上に亘る。
◉平成8年には外国語HP開設、平成23年には、海外戦略専門部署を設置し、本格的な海外戦略施策を展開してきた。
◉外国人宿泊者の推移では、平成4年で34,635人が令和元年では612,204人と爆発的に飛躍している。
◉国・地域別外国人宿泊者数(2019年)では、アジアが55.61%、欧米豪が36.26%と、全国平均に比べると欧米豪の割合が高い。
 
<インバウンドの効果>
◉H30年度の観光客全体の経済波及効果 約1,980億円のうち、外国人宿泊者は約406億円(20.5%)と推計。
◉訪問外国人による経済効果では、H17年に比べH30年では+354億円、約7倍となっている。
 
<インバウンド対策>
◉他言語にこだわり、ニーズにあった情報発信(11言語のホームページ、散策マップは12言語など)
◉無料公衆無線LANの整備。登録にメールアドレスを用いることにより、マーケティング(市場調査)にも活用している。
◉観光案内所、誘導案内の多言語化
◉地域通訳案内士の養成。飛騨3市1村にて、英語54人、中国語18人の有償通訳ガイドを養成。
◉北陸・飛騨・信州3つ星街道や杉原千畝ルートなどの広域連携により大きな流れをつくる。
日本を訪れる外国人旅行者が求めるものは、「ありのままの〝暮らし”に触れること」との考えから、地元食材を使った料理体験や地酒テイスティング、地元工芸職人体験など、数多くの体験コンテンツをラインアップ。
 
<新たな取組み>
◉観光庁の令和4年度 持続可能な観光推進モデル事業に選定され、旅行や観光における持続可能性の実践とその改善を行うために必要な知識と手法について学んでいる。
◉その中では、これまで十分でなかった「事業継続のための経済指標の把握」、「市民の満足度を定着化するなどの取組み」を行いつつ、インバウンドによる観光振興を市民の幸福度向上や地域の豊かさにつなげていくとしている。
 

【視察でいただいた資料】
 
このように、長い時間を掛けて、且つ多角的な視点のもと取組まれてきた内容は、大いに参考になった次第であり、とりわけ外国人と言えば「高付加価値(ラグジュアリー)」を思い浮かべるところ、「モダンラグジュアリー」と呼ばれるもう一方の層に焦点を当て、地域の体験に取り組んでいることを踏まえ、つまり、「どの地域でも、外国人を取り込めるチャンスとポテンシャルがある」との説明者の言葉が印象に残りました。
 
また、自身の質疑においては、観光客の受け皿となる「プレイヤー」(事業者、ボランティア)に関しては、自然派生的に生まれていること(需要か供給かどちらが先かと言えば、「需要」が先)、インバウンドに不可欠な「多文化共生」の考えに関しては、60年来の友好都市の歴史を持つアメリカ・デンバーとの国際交流などで草の根的に根付いているのではないかとのお答えに納得した次第です。
 
全国トップクラスのインバウンド都市は、何か特異なことを行っているのはなく、データ分析や戦略を練りつつ、地道にコツコツと取り組んできた結果が「今」であることを痛感したところですが、そうしたことを学べたこと自体、大変意義のある視察になりました。
 

【高山市役所は、最上階まで吹き抜け、モダンな内観でした。】
 
視察を終え、帰りは油坂越えで福井県へ。
 
ちょうど明日28日(土)は、中部縦貫自動車道 の勝原IC~九頭竜IC間(延長9.5km)が開通を迎えますが、九頭竜湖沿いでは、未開通区間の工事が行われていました。
 
長野県松本市までつながる同自動車道の全線開通予定は令和8年。
 
お隣岐阜県との利便性も格段と向上するこの道路整備に向け、安全第一での工事完遂を願いました。
 

【九頭竜水力発電所付近の工事現場の様子。山あいを縫う難工事が進んでいました。】