保守は名乗るものではなく条文

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国民民主党や自民、日本維新の会の委員らが憲法改正原案を協議する「起草委員会」の早期設置を重ねて要求するものの、立憲民主党は改憲に否定的な主張に終始。
 
立憲民主抜きの起草委設置には踏み切らない自民の姿勢(委員の意見と反して)も背景にあり、実現は見通せていない。
 
注目してウォッチしている衆院憲法審査会。
 
昨日行われた同審査会をインターネット録画で視聴しましたが、改憲しないことが目的化しているかの立憲民主党の姿勢はさることながら、「岸田総理の任期中に」という日程上の目安がありつつも、遅々として具体的な起草作業に入らない自民の本気度に、私も疑問符がつくところです。
 
審査会では、大規模災害など選挙困難時に国会議員の任期延長を可能にする、いわゆる緊急事態条項の見直しに国民民主党、自民や公明党、日本維新の会も理解を示している状況にありますが、一方、9条(1項で「戦争の放棄」を、2項で「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を定める)を巡っても様々な自由討議がありました。
 
ここでは、主に自衛隊の位置付けにおける自民党の改憲案を「労多くして益なし」と例えた、同審査会委員でもある国民民主党 玉木雄一郎代表の考えを紹介いたします。
 
以下、分かりやすく解説されていた玉木代表のXポストを引用掲載。
 

【衆院憲法審査会で発言する国民民主党 玉木代表(写真は、衆議院インターネット審議中継画面をスクショ)】
 
「保守は名乗るものではなく行動」という名言を最近目にしましたが、本日の憲法審査会で私が感じたのは、「保守は名乗るものではなく条文」ということです。
 
たぶん、多くの「保守派」の方は、現在の(自民党)9条改憲が実現すれば、
①自衛隊違憲論が解消される
 (9条2項が否定する「戦力」と位置付けられるようになる)
②自衛隊の権限が拡大する
 (ポジティブリストがネガティブリスト化する)
③「国際法上は軍隊だが国内法上は軍隊ではない」という積年の矛盾が解消する
 (国際法上の位置付けと国内法上の位置付けが一致する)
 
と誤解されておられると思いますが、本日の審議で、①も②も③も実現しないことが明確になりました。
 
この点はずっと指摘してきましたが、本日、議事録に残る形で整理されてよかったです。
 
①や②や③を実現したいのであれば、自民党は、印象論に頼るのではなく、それに相応しい条文案を考え直すべきです。
 
「9条1項・2項の条文及びその解釈を維持」する改憲案では、何も変わらないどころか、矛盾を固定化する「労多くして益なし」の改憲となります。
 
9条の改正をやるなら、
(ア)9条2項の削除や改正、あるいは、
(イ)9条2項を残す場合であっても、9条2項の「例外として」自衛隊及び自衛権の行使を位置付ける(自民党案も維新案も9条2項の「解釈の範囲内」としている。)
 
ことをしなければ、長年続いた違憲論に終止符を打つものにはなりません。ちなみに、国民主党の改憲案は、(ア)と(イ)の両案を示しています。
 
ただ、9条改憲については、安倍政権の下、解釈で一部集団的自衛権の行使まで認めてしまったので、実務上の障害は生じていませんし、そもそも改憲の必要性が低下しています。実際、総理も日米グローバル・パートナーシップの推進に憲法改正は不要だと明言しています。
 
だからこそ、まずは緊要性の高い「緊急時において国会機能を維持するための改憲」に項目を絞って条文化作業を進めていくべきです。
 
本日の審査会の議論を通じて、概ねそうした方向になったと理解しています。
 
必要な条文化作業を速やかに進めていきます。
 
以上が国民民主党の考えとなります。
 
 →2024年4月25日 衆院憲法審査会の録画版はこちら(衆議院インターネット審議中継)
 
国民民主党においては、ここでも党の基本理念に基づき、「対決より解決」そして「現実的な」改憲論を主張しているところ。
 
なお、申し上げるまでもありませんが、憲法改正は国民投票により行われるもの。
 
最終判断者は国民ひとり一人にあることを念頭に、こうした議論経過、各政党の考えを少しでも把握いただくことをお願いするとともに、ブログの中でこうしてご紹介することが、今後、皆様が判断する際の一助になればと思う次第です。
 
 →(参考)国民民主党の「憲法改正に向けた論点整理」はこちらをご覧ください(第9条関係はP35〜)