原子力開発における「世界の潮流」と日本

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「世界の潮流」とは、世界が向かっている大きな方向性や、時代を動かす主な出来事や変化を指しますが(AI解説による)、まさに原子力の世界がそう。
 
原子力産業新聞に掲載される、原子力に関わる国内外のトピックスを見るに、昨日も米ウェスチングハウス(WE)社が、英国企業6社と了解覚書(MOU)を締結し、英国における、同社のAP1000ならびに小型モジュール炉(SMR)のAP300を採用する新規原子力発電プロジェクトの実施を目指すとあり、2050年までに国内で合計2,400万kWeの新規原子力発電所を稼働させ、国内電力需要の4分の1を原子力でまかなうという英国の野心的な目標を支援するために、同社は英国でのサプライチェーンを強化する考えとありました。
 
また、同新聞の最近のニュースだけでも、フランス、ポーランド、スイス、スェーデンの欧州諸国にインドや韓国などでの新型炉建設、加えて原子力を導入していないシンガポールにおいても、先進原子力技術の導入を視野に調査を開始するとあるなど、世界各国が、増大する電力需要や安全保障の観点から、原子力発電が切り札と、スピードを上げて開発を進める状況を把握するところです。
 

【世界の原子力発電設備容量の見通し(第41回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会「原子力に関する動向と課題・論点」令和6年10月16日 資源エネルギー庁より引用)】
 
翻って日本。
 
今朝の新聞を見ると、中国電力が山口県上関町で検討している使用済み燃料の中間貯蔵施設を巡り、同町議会が中国電力を招き、説明会を開催した件。
 
また、北海道では、道内の経済8団体が11日、北海道電力泊発電所3号機の早期再稼働を求める要望書を鈴木直道知事や道議会に提出したとあり、鈴木知事は「総合的に判断したい」と述べた件が掲載されており、原子力規制員会の審査に合格していることを踏まえ、速やかに判断いただきたいと思う次第。
 
こうして日々、原子力の話題に事欠かない訳ですが、地元福井においては、関西電力が再開を計画する美浜発電所での次世代型へのリプレース(建て替え)検討に向けた現地調査を巡り、早ければ11月にも調査を開始し、2030年ごろまで約5年かけて同発電所北側と南側の二つのエリアで地質調査を行うとのニュース。
 
昨日行われた福井県議会の一般質問に対する答弁において、杉本知事は、「社内での検討にとどまっているということで、県が何か意見を申し上げる段階にはない」と述べたとあり、まぁそういう答えになるであろうと受け止めるところ。
 
一方、この質問をされた三田村輝士議員(立憲民主党)が、「原子力発電所の新増設や建て替えの是非は県民投票を行った上で判断すべきではないか」と問うたのに対し、県の防災安全部長は「県民の代表として地域の声を聞かれている県議会の議論を伺うことが重要であり、県民投票では賛成か反対かなど限られた選択肢しかなく、多様な県民の意見を集約することは難しいのではないか」と答弁したことに、こちらは「その通り!」と受け止めた次第です。
 
いずれにしましても、第7次エネルギー基本計画において、「原子力の最大限活用」を掲げ、既設原子力発電所の早期再稼働はもとより、次世代革新炉開発によるリプレース(新増設までは言っていない)を2030年半ばまでに進めるとのロードマップに既に遅れをとっていると認識するところ。
 
冒頭述べた、世界各国の開発スピード、政策としての実行力と比較するに、掛け声だけで、遅々として進んでいるように見えない日本は既に、「世界の潮流」に乗り遅れているものと、忸怩たる思い、強い危機感を抱く次第です。
 
※ブログ中に記載の、新聞掲載記事などにある「原発」はすべて、「原子力発電所」に置き換えています。