2025年8月27日
2040年における「エネルギー需給見通し」に誰が責任を持つのか
連日、福井新聞の1面は、関西電力(以下、関電)に関する記事。
昨日は、関電が福井県内の原子力発電所立地地域の振興や課題解決に向けた新たな資金拠出の仕組みを公表し、本年度に総額207億円、来年度以降も当面の間、毎年50億円を基準に原子力発電所の稼働実績に応じて拠出する方針とのこと。
また、今日は、関電が保有する福井県内の原子力発電所3地点すべての敷地内で計画する使用済み燃料の乾式貯蔵施設の運用を巡り、遅くとも2035年末までに、同施設から県外の中間貯蔵施設へ搬出を開始すると県に説明することで調整していることが分かったとありました。
2件ともに、原子力行政を進めるうえで、福井県が重要視してきたものであることは認識するものの、とりわけ昨日の資金拠出に関しては、規模感も含め、1民間企業が負う役割としてどうなのか、個人的に疑問に感じた次第です。
一方、こうして地域振興に貢献する企業に対し、例えば関電では、美浜で進めようと計画するリプレースがありますが、これら新規電源立地や技術開発に、国はもちろん、十分な資金投資をしてくれるんですよねと大いに問い掛けたいところであります。
さて、福井新聞はこのような原子力に関する記事でしたが、全国版で気になるニュースはこちらもエネルギーに関するもの。
ひとつは、政府肝入りで進めてきた「再エネの切り札」と称する「洋上風力発電」について、三菱商事や中部電力などが、秋田県と千葉県沖の3海域で進める洋上風力発電所の建設計画から撤退する方向で調整に入ったことが26日、分かったとの記事。
3区域は「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」と「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」で、三菱商事や中部電力子会社の電気設備大手シーテック(名古屋市)などでつくる企業連合が受注し、千葉では2025年、秋田では2026年にそれぞれ建設を始め、風車計134基の設置を予定。
2028~2030年に順次運転を開始し、2052年まで操業する計画を掲げていたものの、資材や人件費などが上昇し、事業を取り巻く環境が厳しくなったことから、採算を確保できないと判断した。
なお、国が再生可能エネルギーの普及に向けた重点的な整備計画の第1弾として事業者を公募し、三菱商事を中心とする共同体が2021年に受注していたもの。
ふたつ目の記事は、太陽光発電に関して。
北海道の釧路湿原周辺で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を進める「日本エコロジー」(大阪市)に対し、有志の市議21人が15日付で、国の特別天然記念物タンチョウとひなの生息地付近で進めている事業の中止を要請したのに対し、同社は中止しない旨の見解書を釧路市長や市議、環境省に提出していたことが25日、市側への取材で分かったとの記事。
市議によると、同社は見解書で、事業は市と協議を重ねたもので、正当な手続きを踏んでいると主張。中止の要請には応じられないことに加え、環境への配慮は惜しまないと記していたとのこと。
なお、別の資料によれば、釧路市は本年6月19日、10kW以上の事業用太陽光発電設備の設置を許可制とする条例案を市議会民生福祉常任委員会に示しており、タンチョウやオジロワシなどの希少な野生生物の生息に重大な影響を及ぼすおそれがある場合は、太陽光発電設備の設置を許可しない方針とし、9月定例市議会に条例案を提出のうえ、来年1月1日の施行を目指すとしています。

【釧路高原で工事を進めるメガソーラー(産経新聞より引用)】
こうして同じ「再生可能エネルギー」でも、頓挫する洋上風力発電と、意に介さず拡大する太陽光発電。
特に、住民トラブルや山肌に設置したソーラーパネルにより治水量が低下し、災害にもつながっている太陽光発電がこの先も無秩序に開発され、さらには釧路高原や阿蘇山(熊本)のメガソーラのように、美しき日本の自然が次々に破壊される状況を看過していては決してなりません。
結びに、「第7次エネルギー基本計画」における、「2040年におけるエネルギー需給の見通し」は下表のとおり。
文中にある“複数シナリオ”の考え方については、「既存の再エネ技術に加え、ペロブスカイト太陽電池・浮体式洋上風力等の大幅なコスト低減が実現し、国内の再エネ導入量が拡大。」としています。
つまりは、大幅なコスト低減が実現すれば、こういった見通しになるとの希望的観測ともとれる訳です。
加えて、「様々な不確実性が存在」と、私には、達成できなかった場合の予防線を張りに張りまくっているとしか思えませんが、一体この見通しに誰が責任を持つのでしょうか。






