文教厚生常任委員会 行政視察(最終日)

ブログ まちづくり 敦賀市議会

視察最終日の昨日は三重県伊賀市へ。
 
白鵬城と呼ばれる伊賀上野城、忍者発祥の地、松尾芭蕉のふるさとなど、豊富な歴史と文化資源を有する伊賀市は、「住みたい田舎ベストランキング」でも5年連続三重県内1位を獲得するなど、豊かな自然の中にありながら、程よく便利な生活ができることが魅力とご自身でも謳っておられるまち。
 
また、「地域共生社会」推進に関しては、厚労省のポータルサイトにも事例として紹介されるなど、先進的に取り組まれており、今回「重層的支援体制整備事業」をテーマに、この地を視察先として選んだもの。
 
「重層的支援体制整備事業」については、視察1日目に奈良県生駒市でも調査しましたが、生駒市が行政と地域総ぐるみで取り組むのに対し、伊賀市の場合は行政主体、これに社会福祉協議会(以下、社協)が一緒になって取り組んでおり、双方のスタイルを把握する意味からも有効と考え、視察に参った次第です。
 
伊賀市役所での視察においてはまず、「重層的支援体制整備事業」の取組み概要や伊賀市の特徴について説明いただいた後、同席いただいた伊賀市社会福祉協議会さんからも「参加支援」、「地域支援」等に関わる具体例をご教授いただきました。
 

【視察の冒頭には、伊賀市議会 近森政利議長より、歓迎のご挨拶をいただきました。】
 
事前に把握していたよう、「相談支援」については市直営であり、市内の中部(市役所)、東部と西部(サテライト)を中心に、とにかく庁内連携を良くすることが重要とし、「自分のテリトリーを超えて皆で解決する」などの考えのもと、地域包括支援センターや障害者相談センター、こども未来課などに「相談支援包括化推進委員」を配置し、庁内各課のつなぎ役を担うほか、困っている方が狭間に落ちることのないよう「地域ケア会議」を随時開催し、きめ細かく連携を図っているとありました。
 
また、「自立相談支援」に関しては、他市が、「市か社協」どちらかで対応しているのに対し、伊賀市の場合は「市と社協」両者で対応していることが特徴的であること、間口を広げ、どの部署に来られても一旦受け止め(ウチの課じゃないと言わない)、相談の取りこぼしがないよう取り組んでいるとの言葉が印象に残りました。
 
「自立支援」に関しては、25年間ひきこもっておられた中年男性が、アルバイトに出られるまでつなげた実例を始め、「参加支援」や「地域づくり支援」においては、ひきこもりの情報を共有する「ネットワークミーティング」に20機関が参加していること、社会のほうも変わっていかなくてはならないとの思いのもと、ひきこもりの方が社会に出たいとした時の「居場所づくり」にも取りんでいると伺いました。
 
さらに、伊賀市社協さんからは、「重層的支援体制とは人がつながること」、「福祉部門と行政だけで対応する時代ではない」との認識のもと、献身的に取り組みを進めており、CWS(コミュニティ・ソーシャルワーカー)の実践と展開として、「わたせい」という企業と出会ったことをきっかけに、困窮家庭で学校にも通えていなかった一人の少女が、定時制高校に通い、同社でアルバイトをするまでにつながった例などをご紹介いただきましたが、まるでドラマのようなお話しに思わず涙が出た次第です。
 
「わたせい」との出会いから、社長の人柄を知り、お互い楽しいこと(前向きという意味)をやろうとしている、つまりは「福祉以外の分野と何かするのは楽しい!」が「私たちの合言葉」とあったことには、正直感銘を受けましたが、とにかく「困っている人を助ける」との強い思いのもと、あらゆる人や民間をつないでいくこと、ひいては「社会全体」で取り組まねばならないことと認識を新たにしたところです。
 
なお、社協の方から「皆さんへの宿題は、『わたせい』のホームページをご覧いただくこと」とありましたので、皆様とも共有したいと思います。
 
 →「堀出工房わたせい」ホームページはこちら
 
こうして、様々な「リアル」も伺うことができた訳ですが、先進的に課題解決に向かう原動力は、行政並びに社協の「熱量」にありと感じた次第です。
 
「熱量」の一言で表現してはいけないのかもしれませんが、「思い無くして事は進まず」、「思いなきところに人は寄らず」ということで、「人をつなぐ」重層的支援体制構築には欠かせないものとご理解いただければ幸いに存じます。
 
こうして、伊賀市での調査を終え、すべての視察が終了。
 
今回は、敦賀市の今ある課題に対応するための視察先を選定し、奈良県生駒市→兵庫県芦屋市→奈良県葛城氏→三重県伊賀市と4市を訪問した訳ですが、大変充実した調査となりました。
 
視察で得た多くの知見は、委員の皆さんとともに持ち帰り、敦賀市政に生かしてまいります。
 
結びになりますが、この3日間を通じ、ご丁寧に対応いただきました、視察先の各行政並びに議会の皆様に心より感謝申し上げます。
 
そしてまた、敦賀にお越しいただけることお待ちしております。