大幅な電力消費量「増加」予測に対し「現実的」な電力供給力を

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昨日は、週初めの街宣活動からスタートした後、お昼休みは、日本原電敦賀発電所の協力企業棟にて活動報告会を開催。
 
やや遅くなりましたが、3月定例会の内容や市政のトピックスなどに加え、原子力産業を取り巻く状況について説明いたしました。
 

【協力企業棟での報告会の様子】
 
今月は、原電総連以外の労組からもいくつか報告会の機会をいただいており嬉しい限り。
 
自身の報告のみならず、ひとつでも多く、職場からのご意見を頂戴できるよう進めてまいります。
 
さて、同じく昨日は、脱炭素社会の実現に向けた施策を検討する、政府の「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」(議長:岸田首相)が開催されました。
 
この会議では、2040年に向けた新たな国家産業戦略の策定に着手。
 
長期の産業政策の見通しを示すことで企業の投資を後押しし、脱炭素と同時にエネルギーの安定供給、経済成長を目指すとのこと。
 
政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする目標を掲げており、首相は会議で「経済、社会全体の大変革と脱炭素への取り組みを一体的に検討し、脱炭素への現実的なルートを示したい」と述べました。
 
ここで異なるのは、菅元首相が「2050カーボンニュートラル」を掲げた際、達成に向けては「野心的」との言葉を用いたのに対し、岸田首相が使ったのは「現実的」の言葉。
 
その点は大いに評価するところですが、CO2の削減目標と産業成長の同時達成が求められるなか、以前と環境が大きく変わってきているのが、予想される電力消費量。
 
膨大なデータ計算が必要な生成AI(人工知能)の利用拡大で電力の消費量が急増しており、データの計算や保存を行うデータセンターを新設する企業が相次いでいることによって、日本では2050年に電力消費量が4割弱増えるとの予測もあるとのこと。
 
関連して、NTT東日本の記事には、「AIが奪うのは仕事ではなく電力?生成AIのエネルギー事情」といったタイトルのものもあり、AIを使ったチャットサービス「ChatGPT」など、自動で文章や画像を生成するには大量の電力が必要になるとあります。
 
例えて言うなら、人間の脳がエネルギーを沢山消費するのと同じですね。
 
なお、3年前に策定された「エネルギー基本計画」では、2030年度に向けて電力需要が「※減る」見通しでしたが、世界の変化は劇的に早く、まさに「安定した電力供給」が、今後の国家の生命線になると改めて認識するところです。
 
※この時でさえ、電気自動車(EV)の普及などにより、電力消費量は「増える」と見込むべきところ、「減る」としたことに、私は懐疑的でしたが…。
 
こうして、急速な技術革新に伴い、想定以上に電力消費が進むなか、脱炭素化を進める政府のエネルギー戦略は極めて「現実的」でなければなりません。
 
その鍵を握るのはやはり「原子力発電」。
 
2,000万kw以上の電力供給力を持ちながら、未だ停止したままの既設原子力発電所の再稼働はもとより、リプレースのみならず、新増設として進めなければ、その先に待っているのは、「電力不足」或いは、そのために成長できない「日本」の姿。
 
岸田首相におかれては、そんなことは百も承知と思いますので、今後は強いリーダーシップのもと、実効性ある議論、取組みを進めていただくことを切に期待する次第です。