「いつの日かきっと帰っておいで」

ブログ 人生観

3月は希望への旅立ちと別れの月。
 
意味するところはやはり卒業式で、とりわけ進学や就職へと、それぞれの道に進む高校のそれには胸を打たれるもの。
 
福井県内の県立高校では1日から卒業式が行われ、卒業生たちが慣れ親しんだ学び舎を後にするニュースがありましたが、このうち、わが母校でもある敦賀高校では、211人の卒業生が卒業証書を受け取り、山本泰弘校長からは「3月16日には北陸新幹線が敦賀まで開業しますが、古くから交通の要衝だった敦賀から志を持って旅立った人たちのように、自分自身を輝かせる冒険に出発して欲しい」とはなむけのことばが贈られました。
 
また、お隣の石川県に目を移すと、能登半島地震で被害を受けた県立輪島高校では、地震で体育館の一部が壊れ、3年生のおよそ3分の2が市外に避難していることなどから、会場を金沢市の県立音楽堂に変更し、同じく1日に卒業式が行われたとのこと。
 
全日制と定時制合わせて107人の生徒達は、避難先などから集まって久しぶりの再会。
 
式の前には全員で黙とうをした後、卒業証書を受け取り、祝辞では平野敏校長より「コロナ禍ではみんなで工夫して乗り越えることを学び、地震も起きて、みんなにこれ以上『頑張れ』とは言えませんが、前を向いていくしかありません。輪島に残るみんな、新しい街をつくろう。いったん輪島を離れるみんな、いつの日かきっと帰っておいで。みんながびっくりするような街をつくって待っています」とメッセージが送られました。
 

【NHK NEWS WEB版より】
 
生徒に語りかけるように、優しくも力強い、こんなメッセージを送る校長先生に只々感激。
 
記事を見ただけで涙が浮かんできた次第ですが、これに卒業生代表の女子生徒からは「友人や先生たちと歩いた当たり前にあった景色を今となってはしっかりと目に焼き付けておけばよかったと心残りに思います。先の見えない大変な状況で不安も多いかもしれませんが、それを乗り越えるのが負けん気のある私たちです。高校で得た多くの思い出や学びを糧に、ともに力強く歩んでいきましょう」と答辞を読み上げたとあり、これにも感激。
 
学校によれば、卒業生のうち就職などで地元に残るのは1割ほどで、およそ9割が進学や就職などで輪島市を離れる見込みだそう。
 
未曾有の災害のなか卒業するシーンは、コロナ禍で卒業した長男の時を思い出しますが、困難をともに経験したからこそ、友や先生方との結びつきや絆はより深いものがあると思います。
 
敦賀と輪島で環境は違えど、見送る立場から言えば、平野校長の「いつか帰っておいで」の言葉に込められた思いは同じ。
 

 
写真は昨朝、近くを散歩している時に出会った「つくしんぼ」。
 
夜に薄っすら積もった雪のなか、野坂山をバックにまっすぐ上に伸びる姿は凛々しく、生きる力を感じたところであり、まさにこれから人生という大海原に旅立つ卒業生の姿と重なった次第です。
 
この春卒業される皆さんにおかれましては、自身の夢や希望に向かって、このつくしんぼのように、とにかく上を向いて頑張ってください。
 
皆さんの健やかな成長と飛躍を心から応援するとともに、一旦敦賀を離れる皆さんにおかれては、生まれ育った敦賀をより一層素晴らしいまちにして、また帰ってくることを待っています。