IAEA総会にて日本の正当性を主張

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終盤戦に入った敦賀市議会9月定例会ですが、本日、週明け月曜日と予算決算常任委員会を開催し、令和4年度の決算審査を行います。
 
本日10時からの全体会に向けては、27日に基本質疑の事前通告を終え、結果、81件の質問が挙げられています。
 
私も6件の質問を予定しておりますが、他の議員の質疑もしっかりと拝聴し、議会全体として、次に続く分科会での深掘り審査につなげねばと思う次第です。
 
さて、昨日は原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分について、長崎県対馬市長が文献調査に応募しない旨、表明したことを記載しましたが、市長の判断のひとつにあったのが「風評への懸念」。
 
これまで何度も述べてきました「科学が風評に負けてはならない」と照らせば、本当に残念としか言いようがありませんが、一方、毅然とした態度で反論を続けているのが日本政府。
 
福島第一原子力発電所のALPS処理水海洋放出に関し、とりわけ国際世論を巻き込んで、科学的に問題ないことを広めるべく取組みが続けられています。
 
その一例が、既に新聞記事にもなっている国際原子力機関(IAEA)の第67回通常総会における高市早苗内閣府特命担当大臣の発言。
※以下、主に「原子力産業新聞」の記事を引用
 
9月25日から29日までの日程でオーストリアのウィーン本部で開催されているIAEA総会においてはまず、開会の冒頭でR.M.グロッシー事務局長が演説し、8月から福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出が始まり、IAEAが独自に客観的かつ透明性のある方法でモニタリングと試料の採取、状況評価等を行っていると説明したうえで、この先何10年にもわたり、IAEAはこれらを継続していく覚悟であるとの考えが示されました。
 
これに続く各国代表からの一般討論演説では、日本から参加した高市大臣が登壇。
 
核不拡散体制の維持・強化や原子力の平和利用、ALPS処理水の海洋放出をめぐる日本の取組み等を説明し、とりわけALPS処理水の海洋放出に関しては、処理水の安全性に関してIAEAの2年にわたるレビュー結果が今年7月に示されたことに言及。
 
処理水の海洋放出に関する日本の取組みは関連する国際安全基準に合致していること、人および環境に対し無視できるほどの放射線影響となることが結論として示された点を強調しました。
 

【IAEA総会で発言する高市大臣(日本原子力産業協会のX(旧Twitter)より引用)】
 
高市大臣はまた、日本は安全性に万全を期した上で処理水の放出を開始しており、そのモニタリング結果をIAEAが透明性高く迅速に確認・公表していると説明。
 
放出開始から一か月が経過して、計画通りの放出が安全に行われていることを確認しており、日本は国内外に対して科学的かつ透明性の高い説明を続け、人や環境に悪影響を及ぼすことが無いよう、IAEAの継続的な関与の下で「最後の一滴」の海洋放出が終わるまで安全性を確保し続けるとの決意を表明しました。 
 
同大臣はさらに、日本の演説の前に中国から科学的根拠に基づかない発言があったと強く非難。
 
この発言に対し、「IAEAに加盟しながら、事実に基づかない発言や突出した輸入規制を取っているのは中国のみだ」と反論しており、「日本としては引き続き、科学的根拠に基づく行動や正確な情報発信を中国に求めていく」と訴えました
 
国際会議の中で「中国のみだ」と主張したことは、かなりのインパクトがあったと思いますが、中国を孤立化させることで、日本の正当性を明らかにできたのではと、高市大臣の態度と発言を大いに評価するところです。
 
なお、4年ぶりに行われたオープニングセレモニーでは、日本原子力産業協会の新井理事長による乾杯が行われ、福島県浜通り地方の日本酒が来訪者に振舞われるなどしたとのこと。
 
日本政府の固い決意と合わせ、旨い福島のお酒の味が、各国の皆さんの印象に残ったのであれば、なお幸いに思った次第です。
 

【2回目の海洋放出を前にIAEAが公表したコメント。今回の総会を通じ、世界の共通認識になったものと思います。】