節電要請の冬をいつまで続けるのか

エネルギー ブログ

11月とは思えない温かい日が続いていただけに、冷たい北風が妙に寒く感じられた昨日。
 
天気予報では、11月30日(水)から12月2日(金)に掛けて、北日本の上空に真冬並みの強い寒気が流れ込む予想となっており、30日以降は北海道で雪雲が発達しやすくなる影響から、東北や北陸、中国地方などでも、山沿いを中心に雪となる恐れがあるとのこと。
 
師走入りを合図に、いよいよ冬本番といったところですが、防寒着の着用に加え、スタッドレスタイヤへの履き替えなど、早目の準備で体調や安全に留意したいと思います。
 

【強い寒気が流れ込む予想の日本列島(ウェザーニュースより)】
 
さて、天候と同じく、厳しい冬を迎えるのは電力需給。
 
電力供給の余力を示す供給予備率は、最低でも3%は必要ですが、今冬が厳しい寒さとなった場合、東京電力ホールディングスと東北電力管内の来年1月の予備率は4.1%とギリギリの水準となることが予想されています。
 
このように、今夏に続いて電力需給が逼迫する恐れがあることから、12月1日から来年3月31日までの期間、政府は全国の家庭や企業を対象に、全国で数値目標を定めない節電を求めることとしています。
 
慢性的な電力需給逼迫の主要因は、厳しい暑さ寒さや、特に冬場は悪天候で太陽光発電が機能しないことではなく、ベースロード電源である原子力発電所の長期停止に加え、電力自由化や脱炭素の進展で、各発電事業者の経営判断により火力発電所の休廃止が相次いでいることなど、構造的な「供給力不足」が根幹にあることを忘れてはなりません。
 
つまりは、気候の問題ではなく、これまで採ってきた国の政策によって生じている状況であると認識する次第です。
 
今冬を迎えるにあたり、政府は節電要請だけではなく、休止中の運転期間の長い火力発電所を再稼働させて電力供給を増やす計画ですが、想定外の故障リスクに加え、ロシアによるウクライナ侵略に伴い、ロシア産の液化天然ガス(LNG)の対日供給が滞る恐れがあるとの報道もあり、さらに予断を許さない状況にあります。
 
こうした緊張感の中、安定供給に全力を尽くす電力関連産業の職場の皆さんには敬意と感謝を表する次第ですが、「電力の安定供給」は国民生活と経済を支える「国家の血液」であります。
 
政府におかれては、こうした事態を一刻も早く打開すべく、今週にも経産大臣から提示されるとある、GX実行会議での検討指示に対する原子力発電の今後の取扱いを含め、「真に現実的なエネルギー政策」となるよう、使命感をもって対応いただくことを、冬将軍の到来を前に改めて切に求める次第です。