東芝ESSが革新軽水炉「iBR」を発表

ブログ 原子力

三連休明け、週始めの朝は街頭活動からスタート。
 
いつも通り、車を停めさせていただく「つるが薬局」さんにご挨拶した後、晴天のもと8時までの約30分間、マイクを握らせていただきました。
 
話しながら見ておりますと、ワチャワチャとじゃれあいながら登校する男子中学生の姿を微笑ましく感じたところですが、思えばもうすぐ「夏休み」。
 
梅雨が明けないまま夏本番を迎える勢いですが、暑さに負けず頑張りたいと思います。
 
さて、先の6月定例会の一般質問では「次世代革新炉」を現実的に進めるための施策のひとつとして、事業者が予見性を高めるため〝政府の直接投資”による事業環境整備の必要性を国に求めるべきと意見し、〝直接”か否かは置き、ファイナンスの面で重要であることは、米澤市長と意見が一致したところ。
 
その際、例として英政府がサイズウェルC号機建設に「直接投資」した約1100億円の話しをしましたが、英政府では「小型モジュール炉(SMR)」の導入に向け、開発技術を競うコンペを実施すると発表。
 
その中で、官民合わせ、関連事業に数十億ポンド(数千億~1兆数千億円)の投資が行われる可能性があることが明らかになりました。
 
もちろん、エネルギー安全保障の強化につなげるのが狙いでありますが、技術革新に向け、国が資金面でも前面に出て後押しする姿勢は、まさに「国策」として進める意思を表すものであり、日本においても是非、こうした形で国の意思を示して欲しいと考える次第です。
 
また、国内における次世代革新炉(とりわけ革新軽水炉)に関しては、三菱重工が「SRZ-1200」の開発を進め、一歩リードするところですが、7月11日には東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)が、報道関係者らと意見交換を行う「東芝技術サロン」を開催する中で、革新軽水炉「iBR」のコンセプトを紹介したとのこと。
 

【革新軽水炉「iBR」のイメージ(東芝ESS提供)】
 
紹介されたコンセプトでは、堅牢な建屋、静的メカニズムを取り入れた安全システムを採用し、さらなる安全性向上と安全設備・建屋の合理化を同時に達成するほか、再循環流量により原子炉出力の調整を容易化することで再生可能エネルギーとの共存も図るとありました。
 
後段の部分はつまり、太陽光など再生可能エネルギーによる発電量に合わせて、原子力発電所側で負荷調整をするとの意味であり、これまでの発想とは異なるもの。
 
「再エネとの共存」の言葉がそのことを表していると解釈した次第ですが、この先、どういった炉に設計していくのか楽しみなところでもあります。
 
なお、敦賀発電所1号機では東芝、日立、敦賀発電所2号機では三菱重工の方とお仕事させていただいた私ですが、こうして国内のプラントメーカーが息を吹き返し、日本の原子力技術が世界に誇るものであることを証明することになればと強く願い、応援する次第です。
 
奇しくもウクライナ侵略により、世界のエネルギー事情が劇的に変わったことによって、欧米各国が原子力発電に再び舵を切ることになった訳ですが、これがなければ恐らく、世界の原子力は中露に席巻されていたことでしょう。
 
中露が原子力の技術も人材も握ってしまっていたと思うと恐ろしくてなりませんが、そう思えばやはり、今こうして欧米、そして日本が原子力を進めることは、世界の安全保障上のバランスを取る意味でも極めて重要です。
 
そうした意味も含め、既に開発を進めるGE日立とともに、東芝、三菱重工が揃い踏みで、「次世代」に向けた技術革新が進むことを切に期待する次第です。