杉本知事が関電の使用済み燃料搬出計画を容認

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再生可能エネルギー由来でCO2を排出しない水素は「グリーン水素」、原子力発電由来は「ピンク水素」や「イエロー水素」などと呼ばれますが、敦賀市では以前より、自立型水素ステーションでの「再エネ由来水素」製造を行うほか、関西電力(以下、関電)と共同で「原子力由来水素」にも取り組んでいるところ。
 
先日は、後者に関し、実際に製造した「原子力水素」をカードル(容器)に充填のうえ、原子力発電所の発電機冷却などへ利用する実証を開始すると発表。
 
「全国初」の取り組みで、実証は2024年3月まで実施するとのことでしたが、「調和型水素社会形成計画」を掲げる本市として、こうした実証を通じて、水素サプライチェーン(供給網)構築実現の検討に資することを期待する次第です。
 
さて、原子力並びに関電に関しては、関電が保有する原子力発電所から出る使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県外搬出を巡る議論が、今週に入り急加速。
 
10日には、資源エネルギー庁と関電の幹部が県庁を訪れ、副知事並びに県議会に対し、青森県六ケ所村の再処理工場への令和17年度までの使用済み燃料の搬出計画、フランスへ燃料200トンを搬出する時期、中間貯蔵施設の確保を掲げたロードマップを提示したほか、発電所敷地内での乾式貯蔵設置についても考えを明らかにしました。
 
これに、県議会の最大会派などからは一定程度理解する意見が挙げられたことに加え、杉本達治 福井県知事からは「原子力発電所を安定的に稼働させるうえで、必要な量を搬出する考えが示された」との考えが示されていたところ。
 
そして、昨日13日、杉本知事が敦賀市内で西村康稔 経済産業大臣、関電の森望社長と個別に会談。
 
森社長は「私自身が先頭に立って、必要な搬出量を確保する」などと伝え、続いて面談した西村大臣が「使用済み燃料対策に政府一丸となり、政府の責任で取り組んでいく」と話したことに対して杉本知事からは、(関電の)計画を受け入れ、「来年以降の3基稼働に理解を示させていただきたい」と表明しました。
 

【西村経産大臣(右)に受け入れ方針を伝える杉本知事(手前左)<福井新聞WEBより引用>】
 
これにより、関電が使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵の県外立地を年内に確定できなければ、運転開始から40年超の県内の原子力発電所3基(美浜3、高浜1、2号機)を停止するとの約束、停止は事実上回避されることとなりました。
 
これまで難航していた課題が、この4日間で一気に決着がついたことに違和感を覚える方もいらっしゃるかと思いますが、これがまさに「政治判断」ということなのでしょう。
 
杉本知事が国と関電の説明を受け入れる姿勢を強めた背景には、立地地域の経済を原子力発電が支えているだけでなく、歴史的に国のエネルギー政策を担う福井県として、国や関電との信頼関係を維持するとの思いがあったことと推察するところですが、この課題が早期に解決することを願っていた私としては、この結果を大いに歓迎、安堵した次第です。