日本の半導体生産のルネサンス

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この週末は、29日(木)に締切が迫る代表質問の発言通告書作成に集中していますが、与えられた質問時間※37分にどこまで詰め込むか、想定QAをしながらの文章化は結構時間を要するもの。
 
※代表質問の質問時間は、基本の持ち時間30分に会派所属人数×2.5分が加算される(=3人会派の市民クラブの質問時間は37分)
 
考えが煮詰まった時のリフレッシュは朝夕のきゅう(我が家の愛犬)との散歩で、昨日も凛とした空気、郷土の風景を眺めているとヒントが浮かぶもの。
 
通告書は7割完成といったところですが、議会のほうは、週が明ければ丸々2日間を当初予算審査に充てることもあり、早目に仕上げたいと思います。
 

【昨夕の一コマ。何てことはない田舎の景色ですが、妙に癒されました。】
 
さて、話しは変わり、産業分野での「ルネサンス」といえば、東日本大震災前にあった「原子力ルネサンス」を思い出すところですが、昨日は「半導体のルネサンス」。
 
世界最大の半導体受託製造(ファウンドリー)である台湾積体電路製造(TSMC)は24日、熊本県菊陽町で建設を進めていた第1工場の開所式を現地で開き、日台の官民首脳が出席するなか、挨拶に登壇したTSMC創業者の張忠謀氏(モリス・チャン)は「半導体製造の日本におけるルネサンスの始まりと信じている」と祝いの言葉を贈りました。
 

【TSMC第1工場開所式の様子(日刊工業新聞より引用)】
 
このTSMC。
 
台湾で創業され、世界の半導体受託生産の半分以上を占める巨大企業であり、時価総額はおよそ63兆円で世界で9番目に価値ある企業。
 
半導体を手掛ける主要なライバル企業「インテル」や「サムスン電子」よりも上に位置し、日本企業の中で時価総額トップのトヨタ(およそ23兆円)の倍以上であることを考えれば、凄さが分かりやすいのかと思います。
 
第1工場の規模もビッグで、敷地面積約21.3ヘクタール(東京ドーム約4個分)。
 
2024年末の稼働を予定しており、回路線幅12ナノメートル(ナノは10億分の1)などのロジック半導体を生産。
 
国内にロジック半導体の大規模供給拠点ができることで、半導体サプライチェーン(供給網)の強靱化につながると期待されています。
 
併せて、TSMCは熊本県内に回路線幅6ナノメートルなどのロジック半導体を生産する第2工場の建設を決めていて、同日、開所式に出席した斎藤健経済産業相は、第1工場と同様に巨額の財政支援をすることを表明しました。
 
なお、両工場の総設備投資額は200億ドル(約2兆9600億円)を見込み、日本政府の支援は併せて約1兆2000億円となるとのこと。
 
九州では受注を目指す他の半導体関連メーカーも競って設備投資を行っており、経済産業省九州経済産業局によるとTSMCの熊本進出に伴う九州企業の設備投資計画・立地協定(令和3年4月~5年12月末時点)は計74件、計2兆5500億円を超えるという。
 
こうして期待が高まるとする一方、課題は深刻な人手不足。
 
第1工場だけで約1300人が勤務しており、第2工場も稼働すれば計3400人が働くことになるとのことですが、九州各地の半導体関連人材は今後10年間にわたり年間1000人ほど不足するとの予測もあるとのこと。
 
「今も理系人材は奪い合い。この傾向はしばらく続く」と有識者の言葉がありましたが、行き着くところはやはり、人口減少の問題と認識した次第です。
 
また、1企業に1兆円を超える直接支援をする政府ですが、例えば、原子力の次世代革新炉開発に投じようとする開発支援は10年で約1兆円。
 
本気度に差がある気がしてなりません。
 
もちろん、国内における半導体産業の拡大や技術革新を大いに期待するところですが、これを支えるのは「安価で安定した電源」。
 
我が国の科学技術発展、ものづくり世界一への復権を目指す意味においても、政府におかれては長期の電力受給計画を立てた上で、これこそ逆算で原子力発電を始め、電源立地を国を挙げて進めるべきと考える次第です。