志賀原子力発電所に関する北陸電力の発信は「最新情報」へのアップデートだ

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約12,700戸。
 
これは、今朝5時現在における能登地区の停電戸数ですが、北陸電力送配電ではこれまで、医療機関、福祉施設、各地域の避難所など、重要施設を優先して停電復旧を進めてきています。
 

【北陸電力送配電のXポストより引用】
 
写真をご覧いただく通り、傾斜約1,150本、折損約310本(1月10日までの判明分)の電柱に代え、新たに電柱を建てていく途方もない作業であることが分かりますが、避難所(100名以上)については、電源車等のアクセスが困難な9箇所を除き、すべて送電を完了したとのこと。
 
応援に入っていただいている他の電力会社、関係会社の皆様のご尽力に改めて敬意を表する次第です。
 
一方、能登半島地震で被災した北陸電力志賀原子力発電所を巡っては、経済産業省が10日までに、発表の訂正が相次いだことを受け、同社に対し正確な情報発信を行うよう指示したとのこと。
 
確かに、北陸電力においては5日、志賀原子力発電所2号機の変圧器から漏れた絶縁油の量について、当初発表した約3500リットルを約1万9800リットルに訂正したほか、発電所敷地内にある取水槽の水位の数値なども訂正しており、これにSNSや一部の新聞では、「信用ならん」、「被害を小さく見せようとしているのでは」などといった流布がされている訳ですが、まったく履き違えた捉え方であり、事実無根と考えるところ。
 
国民民主党においては、先の能登半島地震を巡る与野党党首協議の中で、「偽情報の拡散抑制と事実に基づいた発信の強化」とし、「特に原子力発電所関連情報については、北陸電力だけに頼るのではなく、政府や規制委員会からも正確かつ最新の情報を積極的に発信していただきたい」と求めていますが、その玉木代表は11日、この経産省指示に対し、以下のXポストをしています。
 
(以下、ポスト全文を引用)
確かに正確な情報発信は重要です。ただ、この経産省の指示は、危機管理の観点からは必ずしも正しくありません。危機時に情報の正確性を過度に求めてしまうと情報の伝達スピードが格段に落ちるからです。
 
「悪い情報ほど早く伝える」は危機管理の基本です。それに、北陸電力の「訂正」は、時間が経ってより正確な情報が得られたときに、追加情報として情報を付加しているものが多いのが実情です。プレスリリースの添付資料を見ると分かりますが、情報の新旧対照表も載せています。むしろ、それを理解せずに危機を煽るような一部報道が行われていることが問題ではないでしょうか。
 
経済産業省におかれては、北陸電力をはじめ現場からの情報発信や報告が萎縮することのないよう十分に注意していただきたいと思います。
(引用終わり)
 
発言すべてを太字にしたいくらい、私の言いたいことと同じな訳ですが、現に北陸電力においては、アップデートした最新情報を透明性をもって公開し、丁寧な説明・解説を続けています。
 
※玉木ポストでも出てきた「比較表」は以下となりますので、ぜひご覧ください。
 
 →北陸電力HPの志賀原子力発電所関係プレスリリース(1月9日)はこちら
 

【上記プレスに掲載されている発電所の現況。一目で確認でき分かりやすい。】
 
なお、原子力規制委員会は10日の定例会合で、能登半島地震による北陸電力志賀原子力発電所などの被害状況や対応について、各発電所の使用済み核燃料プールの冷却や、放射性物質を閉じ込める機能に問題はないとしています。
 
原子力発電所に関しては、この地震を利用して危険なものだと印象操作し、不安を煽る報道がされている感が否めないところ(昨日の福井新聞でさえ、センセーショナルな印象を受けました)ですが、経産省においては、これら報道や世論に萎縮して、さも自分たちに責任がないかの如く、電力会社に指示して終わらせるのではなく、また「北陸電力だけに頼る」ことのなきよう、科学的根拠のもと積極的な発信に努めていたくようお願いする次第です。