「鶴の一声」でずれ込む規制料金引き上げ時期

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昨日の敦賀市議会は、今年度補正予算案審査のため予算決算常任委員会を開催。
 
全体会での基本質疑に続き、各分科会に分かれての審査を行いました。
 
来週28日からは、令和5年度当初予算(骨格)の審査に入りますが、引き続き丁寧に対応してまいります。
 
さて、昨日審査した補正予算にも、物価高騰を踏まえた補助に関する事業がいくつか含まれていましたが、総務省が24日に発表した1月の全国消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比4.2%上昇の104.3となり、1981年9月以来、41年4ヶ月ぶりの高水準になったとのこと。
 
止まらない物価高騰が国民生活に影響を与えるなか、気になるのは、現在、各労使間で交渉中の春闘。
 
こうした高水準の物価高に賃上げが追従しなければ、結果「実質賃金」は下がるばかりであり、ひいては消費が冷え込むばかりか、少子化対策や高齢者の年金受給額などにも影響する、日本の根幹にある問題の解決につながらないものと考えます。
 
トヨタやホンダなどが既に、賃上げの機運を作るべく満額回答の方向となっていることも踏まえ、各産業の経営側には是非ともの英断をお願いする次第です。
 
そうしたなか、何とも納得のいかない話しが。
 
東北、北陸、中国、四国、沖縄の電力大手5社が経済産業省に申請した家庭向け規制料金の引き上げ時期が、4月から5月以降にずれ込む見通しであることが24日、分かったとのこと。
 
岸田首相が昨日午前の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、「4月(実施)という日程ありきではなく、厳格かつ丁寧な査定による審査を行ってほしい」と西村経産相に指示したことを受け、経産省は各社による燃料費の見積もりや経営効率化に向けた取り組みを厳格に審査するための十分な期間を確保するとありましたが、これは、旧一般電気事業者(旧一電)の経営を「真綿で首を絞める」ようなこと。
 
電力各社は、これまでも燃料調整費上限に達するなかで、ギリギリの経営を続けてきており、もう限界の状況で行った値上げ申請に対し、「鶴の一声」で先延ばしされるのでは堪ったものではないと、こうした政府の対応に、私は憤りすら感じるところです。
 

【電気料金上昇の推移:東電エナジーパートナーの例(jiji.comより引用)】
 
原子力発電所の停止で火力比率が高まるなか、世界規模のエネルギー資源高騰により、調達価格が上昇していることが値上げの主要因ですが、政府が進めた電力自由化の中にあって、何故いまだに旧一電だけが料金規制の対象なのか、またいわゆる新電力の撤退が相次ぐ状況において、逆ざやになりながらも顧客を救ってきたのも、供給力不足による電力需給逼迫のなか、必死で安定供給を守ってきたのも、大規模自然災害にあっても、一刻も早い電力復旧をと、命懸けで作業にあたってきたのも、すべて旧一電の皆さんであり、こうして国民生活や経済活動の生命線でもある電力を懸命に維持してきたことなど無かったかのような「鶴の一声」の真意は一体何なのか。
 
元をただせば、こうした電気料金値上げも、海外のエネルギー資源への依存度を高めざるを得ない状況を作った(原子力なきままの再エネ拡大→代替電源としての火力比率増→燃料調達費増)のは国の政策によるものであるとともに、再エネには約4兆円/年にも及ぶ賦課金が徴収(これも国民負担)されていることを忘れてはなりません。
 
いずれにしても、電力各社とも「乾いた雑巾」をさらに、コストを絞りに絞って申請した規制料金引き上げであることを、このブログをご覧の皆さんにだけはご理解いただきたい。
 
その思いだけお伝えし、本日のブログを閉じます。