「氣比神宮」が「日本百名月」に認定登録される

ブログ 敦賀の歴史・文化

コロナ禍で一気に広まったのは「オンライン」ですが、やはりコミュニケーションは「フェイスtoフェイス」に勝るものなし。
 
昨晩は、若狭町レピアにて開催された連合福井嶺南地域協議会並びにF-TOP21敦美支部主催の議会報告会に出席し、敦賀から高浜までの組合役員が集う中、久しぶりに対面で、皆さんの表情を拝見しながらお話しさせていただくことが出来ました。
 
タイムスケジュールの関係上、私の持ち時間は5分少々でしたのでコンパクトにせざるを得ませんでしたが、限られた時間の中で9月定例会での質問内容や市政のトピックスを報告させていただきました。
 
今回は、広い会場で人数も絞っての開催ということで、まだまだコロナ対策に留意をしながらとなりますが、いずれにしても「活動の原点は職場の声にあり」をモットーに「オンライン」と「フェイスtoフェイス」のハイブリッド型で自身の活動も進めていきたいと思います。
 
そうしたことあり、大変前向きに過ごせた一日でしたが、ここ敦賀ではもうひとつ明るいニュースがありました。
 
夕刻、スマホに「日本百名月に氣比神宮、福井県内で初の認定」とのタイトルで福井新聞の速報メールが届き、メールを開くと「日本百名月に敦賀市の氣比神宮が15日、登録された。61号目で、福井県内からは初の認定となる。登録名は”氣比神宮にのぼる月”」とありました。
 
何やら喜ばしいことであることは分かるのですが、そもそも「日本百名月」とは何かさえ知りませんでしたのでネットで調べると、一般社団法人 夜景観光コンベンション・ビューローが認定する「日本百名月」とは、近年、「夜景観光」の発展に伴い、中秋の名月にちなんだ観光目的の観月イベントも増え続け、月の魅力を伝える書籍やメディア等でも扱いも増加し注目される一方で、関係する事業者は各々でプロモーションを行う等と広がりがなく、観光集客に直結するコンテンツとしても発展途上という課題があったことから、そこで、特に後世に残したい名月を、一定基準のもとに「日本百名月」として認定・登録し、スケールメリットを生かすことはもちろん、名月観光に従事する事業者連携より新たなる価値の創造を目指すこととなったとのことでした。
 
なお、認定・登録された「百名月」は、昨日現在で「68」。
 
位置付けを理解したうえで、敦賀で月といえば、以前から度々ご紹介している「名月や北国日和定めなき」で、松尾芭蕉が元禄2年(1689年)旧暦8月、「おくのほそ道」の道中で詠んだ句が有名ですが、残念ながらこの月は、楽しみにしていた中秋の名月が「見れなかった」ことを詠んだ句。
 
一方、同じく敦賀で詠んだ「月清し遊行のもてる砂の上」は、実際に「月を見た」句で、敦賀の地を訪れた芭蕉が、宿屋の主人に「明日(中秋の明月の日)も晴れるか」と問うと、主人は「北陸の天気は変わりやすいので、月見なら今晩のうちに」と伝え、芭蕉はその夜に氣比神宮に参拝。
 
月明かりに照らされた神前の白砂が、遊行上人二世の他阿が参詣往来の妨げを防ぐために沼地を埋めた功績と知り、詠んだ句であり、「おくのほそ道」では「けいの明神(氣比神宮境内)に夜参す」と記されています。
 
このように、氣比神宮は俳人・松尾芭蕉ゆかりの地としても知られており、中鳥居正面には芭蕉像と句碑が建立されてもいる訳ですが、敦賀の方以外のために、この氣比神宮については、大宝2年(702年)に建立され、ご祭神は伊奢沙別命、仲哀天皇、神功皇后、日本武尊など7柱。
 
明治時代には官幣大社となり、高さ約11メートルの大鳥居は奈良県・春日大社、広島県・厳島神社と並ぶ「日本三大木造鳥居」の一つで、国の重要文化財に指定されています
 
境内には、神宮造営中に湧き出た1300年の歴史ある水をたたえる「長命水」や、南北朝争乱時代に南朝後醍醐天皇を奉じ、氣比大明神の神旗を掲げたという「旗掲松」など、見どころも多数あり、地元の人々からは親しみを込めて「けひさん」と呼ばれています。
 
その「氣比神宮にのぼる月」が、単に景色の美しさのみならず、こうした歴史的エピソードも添えて「日本百名月」に選ばれたことは、改めて大変喜ばしいことであり、年間130万人が訪れる(コロナ以前)この氣比神宮の魅力をさらに高めるものとしてアピールしていければと思うところです。
 
芭蕉さんのように、氣比神宮で月を見るため敦賀に来られ、そのまま飲食、宿泊へと経済効果も高めていけるといいですね。
 
仕事柄、ついついそう結びつけてしまうのでは、「風情がない」と芭蕉さんに叱られるかもしれませんが…。
 
最後に、夜景観光コンベンション・ビューローのサイトでは、氣比神宮のページをこう結んでいました。
 
「月光により神々しく照らされる氣比神宮。松尾芭蕉も眺めたであろう景色を今に伝えている。」
 
澄み渡る、秋の夜空に輝く月。
 
332年前にこの地で詠んだ芭蕉さんに思いを馳せ、たまには夜の氣比神宮に参ってこようかと思います。
 

【認定登録第61号「氣比神宮にのぼる月」(日本百名月HPより)】