「企業参入と市民生活の安全について」一般質問する

ブログ 敦賀市議会

12月6日から3日間に亘り行われた一般質問。
 
最終日の昨日は残る6人が登壇し、私もラストバッターとして質問を終えました。
 
今回、正直非常に難しいテーマであるが故、1項目に絞って取り上げた訳ですが、「批判ではなく解決」の念を強く持って、これまでと同様、是々非々かつ建設的に議論すべく臨みました。
 
その1項目とは以下。
 
1 企業参入と市民生活の安全について
 ⑴ 現状把握
 ⑵ データセンターの事例
 ⑶ 実効的な対策に向けて

 
敦賀市においては、原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業(いわゆる「F補助金」)による安価な電気料金、福井県・市の助成制度に加え、拡張する敦賀港の利用、北陸新幹線開業を見据えた交通利便性、さらには災害リスクの低さなどから、近年企業参入の意向、引き合いが増加しているなか、今定例会においてまさに、そうした趣旨を汲んだ第83号議案「『敦賀市環境保全条例』の一部改正」が提案されたところでありますが、私自身、約1年半に亘り関係してきた騒音問題の実事例なども踏まえ、本市において二度と発生させてはならないとの思いをもとに、今後より実効的な対策が講じられるよう質問した次第です。
 

【嶺南ケーブルネットワーク 議会チャンネル放送より】
 
「現状把握」では、今定例会にて「敦賀市環境保全条例」の一部改正を行うとした背景、土地利用調整条例や都市計画区域における用途地域を遵守するとの観点から、今現在までに問題は発生していないのか、さらには、実態として本市への参入希望企業は増加傾向にあるのか実績と傾向を伺いました。
 
答弁では、用途地域の使用に関し、例えば建築確認の要らない賃借物件の場合においては一部不適合案件を把握していることや、参入希望に関しては、ここ5年で増加傾向にあり、事業者と面談した件数は、平成30年の89件から直近では116件となっていること、その業種割合では情報技術分野が32%、次いで物流、製造と続くことを確認。
 
続いて、「データセンターの事例」に関しては、先ほど述べた自身が関与した実例として、令和4年5月にデータセンターとして市内で事業を開始した事業者については、同社建物に設置した排気ファンからの騒音に対し、周辺住民からの苦情の声が挙がり、事態の改善に向けた対応を続けたものの、総合的判断の中で、本年夏頃には事業撤退したものと認識していることを説明。
 
その上で、同社は、県・市の補助金なども見込み、本市に進出したものですが、最終的に、地域住民、行政、参入企業、物件を提供した関係者など、すべてにマイナスの影響を与えたものであり、とりわけ生活環境が一変した住民への影響は計り知れないものがあると受け止めており、こうした経験を踏まえ、一連の対応をした市として今回の件をどのように総括しているか伺いました。
 
総括に関しては、市民生活部長からあった、以下の答弁がすべてを物語っていることから、文字起こししたものを記載します。
 
(市民生活部長答弁)「騒音等の生活環境上の問題は、住民の方が大きな騒音だと思ったとしても、事業者が法令の規制基準値を満たしていることがあるため、規制の対象とならない場合には、法的根拠がない中で事業者への対応の働き掛けや住民の方にご理解いただくことが非常に困難であると認識しています。また、この事案を含め、環境上の問題が大きく発展するケースとしては、事業者の住民とのコミュニケーションの欠如に起因するものが多いことから、事業者の自主的な取り組みにより、住民とのコミュニケーションを図れるような仕組みづくりが必要であると感じました。さらに、市の対応として、法令の規制で対応できない場合であっても、民間と民間同士の問題とするのではなく、当事者の声に耳を傾け、一緒に解決に向けた方法を当事者に寄り添った対応をしていくことが必要と感じたところです。
市が間に入っても困難な事案でございましたが、こういう時にこそ、解決の糸口を探す努力を怠らず、住民の方とお約束した内容については実施することや、その都度連絡を行うことなど、丁寧な対応により、信頼関係を築くことが大切であり、こうした認識に立ち、今後の苦情対応や環境公害に対する取り組みに生かしていきたいと考えております。」
 
また、この事例に対する原因について、自身が考える3点(①補助金対象(予定)事業に対する市の関与度合いの不透明さ、②適地選定にあたってのリスクアセスメント不足、③地域住民とのコミュニケーション不足)を伝えたところ、市からも同様の考えある(リンクしている)との回答がありました。
 
最後は、ここまで確認した状況を踏まえた「実効的な対策に向けて」
 
これについても自身が考える6項目を意見。
 
「市全体の取組み」としては、条例改正の趣旨や取り組みに関する積極的な広報を、「組織的観点」からは、問い合わせを受け付けてくれる窓口の明確化や関係する部署が連携をして、解決に向けて取組む体制構築、併せて、今後懸念される外国人経営企業の参入に対しても、文化の違いや言語などに留意した対応を。
 
「企業参入に対する市の関与を強める観点」からは、「敦賀市サテライトオフィス誘致補助金交付要綱」を例に挙げ、第5条(補助金の指定申請)に追加した「3 事業者は、隣接する住民等に対して事業計画の説明を行い、意見を聴くとともに協議し、事業説明実施報告書を市長に提出しなければならない。」との定めを、少なくとも、市の補助金対象事業に関してはすべて、この項目を科すべきと意見したところ、これに関しては反映済みとのことでした。
 
「企業参入」に対しては、市から敦賀不動産業会に物件情報紹介の協力依頼をする際に、より周辺地域への影響も念頭に置いた適地(物件含む)を選定いただくための方策、さらにはバックアップ的な対策として、万が一、トラブルが発生した際に、事業所から発生する騒音・振動・悪臭等を改善するために事業者が実施する対策に対して、「操業環境対策補助金」(仮称:大阪府豊中市で例あり)を交付する制度を構築してはなどと提案。
 
6項目の提案に対しては、「実施する」や「徹底する」あるいは「他自治体を参考に検討する」とすべて前向きな回答をいただけたものと受け止めたところです。
 
こうして、一通りの質問を終えたところで、米澤市長が挙手の後、一連の対応に関するご自身の考えを述べられた上で、「これが100点ではない。今後も善処する。」旨の言葉がありました。
 
事例に挙げたデータセンターの件も市長に就任される以前から把握、住民の方と意見交換されていたことを私も知っていましたが、市長になられた後もまったくブレることなく対応された米澤市長には、心から敬意を表する次第です。
 
これを受け、私も結びの言葉でお返ししましたが、この時すでに残り1分を切っており、すべてを述べることができませんでした。
 
この場をお借りし、用意していた言葉を全文掲載させていただきます(太字の部分が言えなかったところ)。
 
結びになりますが、法規制の値を上回るか否かに関わらず、いわゆる「公害」(今回の場合は騒音)により、これまでの平穏な生活が一夜にして一変し、24時間悩まされるという事態に直面しました。
事業者が撤退したことにより、現在は終息したとありましたが、当事者の方は今でも幻聴が続くなど、決して終息した訳ではないということをご認識いただきたいと思います。
今回、こうして経験したことを主な事例に挙げ、意見しましたが、自由な経済活動と住民の安全を守るための規制は、相反するものであり、その両立を図ることは、ゴールなき永遠のテーマだと思います。
また、世の中に「ゼロリスク」はありませんが、リスクを可能な限り低減することはできます。
先ほど述べた通り、その「公害」が自分がお住まいのエリアで発生し、自分自身あるいは家族がその目にあったらとの「当事者意識」を忘るることなく、あらゆる知恵を絞り、米澤市長のリーダーシップのもと市民に「寄り添う」姿勢をもって、今後対応いただけますよう、切に切にお願い申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
 
敦賀市が将来に向け、持続的に経済発展するためにも重要なことと、今回1点に絞り質問しましたが、その背景には、騒音問題で苦しむ近隣住民、対応した市、そして私にとっても、ひとつの「けじめ」にせねばと強い思いがあったところ。
 
市も認識されているよう、これで決して終わりではありません。
 
敦賀では「二度と起こさない」との思いのもと、リスクを可能な限り低減する方策を、私も考え、今後も意見していく所存です。