敵は炭素、原子力ではない

ブログ 原子力

東に進路を変え進む台風14号の影響からか、夜半から強い風が吹く敦賀ですが、昨日はお隣石川県で地震発生。
 
ちょうど、ニュースでは気象情報が流れる時間の18時42分頃、石川県能登地方を震源地とする最大震度5弱(マグニチュード5.1)とのことで心配しましたが、大きな被害は無かったようで安堵。
 
能登半島といえば、北陸電力の志賀原子力発電所がありますが、所在する志賀町は震度2で、原子力規制委員会からの情報提供メールでもプラント状態「異常なし」との報告。
 
しかしながら、日本気象協会のホームページを見ると、その後も震源地付近では3度、震度1〜2程度の余震が発生していることから、隣県のことであるが故、まだあるかもしれないとの想定のもと過ごしたいと思います。
 
さて、原子力の関係でいえば、一昨日の15日、原子力規制委員会は中国電力島根原子力発電所2号機(BWR、82万kw)の原子炉設置変更許可を正式決定しました。
 
これで新規制基準に適合していると判断されたプラントは全国17基目、BWRでは約1年半前に合格した東北電力女川原子力発電所2号機以来、5基目となります。
 
なお、中国電力が島根2号機の原子炉設置変更許可を申請したのは2013年12月で、そこから約7年9カ月の期間を経て、ようやく「合格」にたどり着いたことは、電力会社の方々を始め、関係各位の粘り強いご努力の賜物と思うところであり、心より敬意を表するところです。
 

【島根原子力発電所2号機を紹介する動画(中国電力ホームページより)】
 
 →→→島根発電所の状況や安全対策設備の紹介動画はこちらから
 
合格の同日、中国電力においてはプレスリリースもしているところですが、併せて同社の清水社長からは、「当社といたしましては、今後も安全性の更なる向上を不断に追求していくとともに、当社の取り組みを分かりやすく丁寧にお伝えしてまいります。」とのコメントが出されています。
 
この思いは、清水社長のみならず、全国の原子力発電所で働く者の思いに通ずるものでもあり、とりわけ「安全性向上を不断に追求」の部分に関しては、「原子力安全にゴールなし」との強い覚悟で取り組み続け、国民の皆さんから一層信頼される関係を構築することが、将来に亘り原子力発電を活用するとの合意形成に向け欠かせないものであることを、この機に今一度認識しておくこととします。
 
これまでも随分と述べてきていることではありますが、今日からは自民党総裁選、その後には衆議院選挙と続く中で、エネルギー・原子力政策が取り上げられるのだろうと思いますが、こうして長い時間を掛け、あらゆるリスク評価など慎重に慎重を期した審査を経て合格した原子力発電所の再稼働はもとより、エネルギー資源に乏しい日本が今後も発展していくためには、いわゆるベストミックスしかない訳であり、超現実的な政策でなければならないことは明白。
 
そのことすら分かっていない方、分かろうとしない方は論外として(KK両大臣?)、少なくとも国家の根幹に関わるこの分野において、現実的に考えていただける候補者、政党を選択していくべきであると重ねて強く思うところです。
 
なお、先日、日本自動車協会会長の豊田章男社長(トヨタ自動車)が、「敵は炭素、内燃機関ではない」と述べたとありましたが、その言葉を借りれば、「敵は炭素、原子力ではない」となるのかと。
 
我が国のエネルギー政策の考え方のベースは、安全を大前提とし、経済性、安全保障、環境、これらを同時達成していくことだとは誰もが仰いますが、どうも一部政治家やメディアは、「敵は原子力、炭素ではない」と言っているようにしか思えませんので、敵を見間違え国力を衰退させるようなことは絶対にあってはならないとの思いのもと、ここは私も、豊田会長と同じ気持ちで「何が本質的な問題なのか」を主張していきたいと考えます。