敦賀市の「ふるさと納税がなかったら問題」

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ご覧になった方も多いかと思いますが、昨日の福井新聞「論説」のタイトルは「敦賀のふるさと納税 頼らぬ財政で変化に備え」。
 
ふるさと納税額全国8位(2022年度)の敦賀市で、寄付額に依存しない財政運営に向けた検討が進められている。ふるさと納税制度は不確実な要素が多く、額が安定しないのが理由。国の動向を注視するとともに、市として効率的な財政運営を徹底させ、変化に備えたい。
 
との書き出しから、
 
市の予算で2019年度はふるさと納税がなくてもすべての歳出が賄えていた。しかし、歳入の中で寄付金の占める割合は年々大きくなり、昨年12月時点の2023年度決算見通しでは、市税など毎年見込まれる歳入だけで道路や公共施設の維持管理といった通常経費を賄うのは困難な状態となった。
 
と続き、ふるさと納税のルール改正による影響や地方財政上の扱いへの懸念、電源三法交付金の背景や公共の建物が多い特有の事情が財政に大きな影響を与えていることなどが列記され、結びには、「市は(中略)経費削減に努めるが、従来事業の見直しも考えられるだろう。積極的に情報を公開し、市民の理解を得ながら進めたい。」と括られていました。
 
 →福井新聞論説「敦賀のふるさと納税 頼らぬ財政で変化に備え」(2024年4月18日)はこちら
 
なお、総務省が2023年8月1日に公開した、2023(令和4)年度の「ふるさと納税」自治体別寄付金額で敦賀市は「10位」。
 
いわゆる納税寄付額ランキングにおいて、敦賀市は2022年度の8位から2つ順位を落としたものの、2021年度は9位と「トップ10」入りの常連となっていることは凄いこと。
 
寄付件数は50万1,071件(+1.12倍)、寄付額は87億4,881万円(1.13倍)にも及び、全国から大変多くの方にご寄付いただいたことに心より感謝申し上げる次第です。
 
※( )内は、いずれも前年度比
 

【(参考)令和4年度におけるふるさと納税受入額の多い20団体(総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和5年度実施)」令和5年8月1日 自治税務局市町村税課資料より抜粋)】
 

 
そうしたなか生じているのが「論説」にあった財政状況で、こちらは本年2月の「中期財政計画」説明会の際に市長自ら説明された、「ふるさと納税がなかったら問題」と称されるもの。
 
再掲となりますが、「ふるさと納税がなかったら問題」とは、今現在の敦賀市の財政が「※1 通常歳入」で「※2 通常経費」を賄えず、「ふるさと納税」を充てないとやっていけない状況にあるということ。
 
※1 通常歳入:市税・譲与税等の一般財源、通常経費の特定財源及び電源関係交付金などの歳入
※2 通常経費:毎年実施する通常的な事業にかかる経費
 
一方の「※3 政策経費」については「※4 政策歳入」に加え、こちらも「ふるさと納税」を充てていますが、国費等も活用し大規模プロジェクトの実施は可能としています。
 
※3 政策経費:臨時的な大規模事業にかかる経費
※4 政策歳入:政策経費の特定財源(国や県からの補助金など)
 
この「なかったら問題」については、先の議員説明会で市長より、今後は人件費や物件費が増加する見通しを踏まえつつ、第一段階として、まずは「通常経費」に「ふるさと納税分」を充てずに運営できる状況をめざすとの考えが示されていることも踏まえ、3月定例会の自身の代表質問で大きく以下の点について確認したところ。
 
(質問)現在の財政状況に関して、しばらくは通常経費にふるさと納税を充てざるを得ないことは認識しているが、実際、不足するとされる金額はいくらか
 
(答弁)令和6年度当初予算においては、通常経費にふるさと納税を原資としたふるさと応援基金繰入金を約10億円充当しており、これが不足額になる。なお、中期財政計画上の計画期間において、この不足額は今後さらに拡大する見込みである
 
(質問)ふるさと納税がなくても通常経費の全てを賄えるようにするという、当面の目標の第1段階達成に向けては、歳出削減や事業見直しなどにて対応していくのか、方策を伺う。
 
(答弁)目標の第1段階を達成するためには、議員御指摘のとおり通常経費の見直しが重要であり、政策決定や予算編成のプロセスを一元化して迅速な意思決定が図れるよう、企画政策部に財政課を移してスピード感を持って対応していきたいと考える。具体的な取組内容や達成目標年次については、来年度をめどに財政改善に向けた方針を策定し、お示ししていきたい。
 
いずれにしても、「ふるさと納税がなかったら問題」の解決に向けた方策に関しては、来年度に財政運営方針を策定する中で示されるとのことでありましたが、市長が積極的にこの問題を提起しているよう、(論説も含め)市民の皆さんに対してもオープンになったことは、財政運営の透明性や「見える化」の観点から良かったと思う次第です。
 
いずれにしてもこの問題。
 
決して行政任せにするのではなく、最終的な決定権者は議員、議会側にあるとの責任を強く認識し、自らも知恵を絞らねばと考えるところです。