企画展「空のない星~ホロコーストの子供たち~」

ブログ 敦賀の歴史・文化

ゴールデンウィーク本番。
 
全国的に続く五月晴れの中、コロナ禍前に戻ったかのように賑わう観光地や高速道路渋滞のニュースを見る訳ですが、ここ敦賀も駅前や氣比神宮前、金ヶ崎緑地エリアには多くの人通りがあり、こうして目的地として訪れていただいたことを嬉しく感じるところ。
 
また、氣比神宮前交差点では整備した歩行空間にキッチンカー数台が並び、人の列があったほか、街を走っていて目に付くのは赤いシェアサイクル。
 
この季節は特にでしょうか、駅を降りた後の二次交通手段として手軽に利用されている方が多いようで、私自身の実感として、こうして官民連携での取り組みが功を奏していることを評価するところです。
 
さて、そのような気持ちの中、私が向かったのは「人道の港敦賀ムゼウム」。
 
こちらの施設の意味合いに関しては、これまで幾度となくブログにも取り上げているため、説明は割愛いたしますが、昨日の目的はムゼウムで開催されている企画展「空のない星~ホロコーストの子供たち~」を見に行くこと。
 
3月15日から開催されているこの企画展は、行こう行こうと思っていたものの一つで、ようやく実現したもの(やや大袈裟ですが)。
 
イスラエル大使館、人道の港敦賀ムゼウム主催、ヤド・ヴァシェム(世界ホロコースト記念センター)が企画・制作した企画展ですが、会場の2階企画展示室に行くと、10名程度であったでしょうか、熱心にパネルをご覧になっている姿が目に入りました。
 
「ホロコースト」とは、ナチス政権とその協力者による約600万人のユダヤ人の組織的、官僚的、国家的な迫害および殺戮を意味し、「焼かれたいけにえ」という意味のギリシャ語を語源とする言葉からも分かるよう、ユダヤ人を「劣った人種」であると見なしたゲルマン人の一方的な人権侵害であることはご承知置きのことかと思います。
 
この企画展は、そのホロコーストの中を過ごしたユダヤ人の子供たちにスポットを当てたもので、パンフレットには、「この展示は、当時の子供たちの絵や詩、手紙、おもちゃなどから、彼らの生活を垣間見る扉となるでしょう。そしてこの展示は、ホロコーストのような困難な状況においても、生命力や活力、創造性、想像力、そして楽観性を保った子供の能力を証明しています。」とありました。
 
ひとつ一つのパネルを順に読ませていただきましたが、家族や兄弟、勉強やおもちゃなど、様々な視点から、当時どのような心境で過ごしたのか、生き延びた子供たちの実際の証言と併せ表した内容は大変に重く、目を背けたくなるような史実が現実にあったことを胸に刻んだ次第です。
 
また、あるパネルにはこのような記載がありました。
 
「家族から無理やり引き離され、隠れ家や強制収容所に送られた子どもたちが両親なしで生き残るためには想像できないような困難が待ち受けていました。しかし、不可能と思える環境でもなお、子どもたちは遊び、物語を創作し、恐怖や希望を表す絵などを描きつつ生活していました。」
 
平和で平穏な世の中が当たり前にある世代からは想像出来ない「強さ」と「希望」を子供たちは持っていたことを改めて痛感し、企画展を後にした訳ですが、帰り掛けにムゼウムの職員さんと立ち話しをするに、コロナ禍ではありながらもここ最近は多い時で1日150人ほどの来館者があるそう。
 
皮肉にも、世界が「人道」とは何かを考える大きなきっかけとなったのが、ロシアのウクライナ侵略行為であることは言うに及びませんが、企画展で流れていたビデオ(ヤド・ヴァシェム制作)にもあったよう、こうした史実を一人でも多くの方に伝え、知って考えていただくことが大変重要なことであり、ここ敦賀ムゼウムにはその役割と使命があると改めて思った次第です。
 
結びになりますが、この企画展の開催は5月31日(火)までとなっています。
 
敦賀市民の皆さんはもとより、多くの方々にご覧になっていただければと思いますので、是非足を運んでいただければ幸いに存じます。
 

【ユダヤ難民を受け入れたこの場所だからこそ伝えられることがある】
 →→→「人道の港敦賀ムゼウム」のホームページも是非ご覧ください