今年の漢字は「税」

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この時期恒例の「今年の漢字」に「税」が選ばれました。
 
毎年「今年の漢字」を発表するのは、公益財団法人 日本漢字能力検定協会ですが、改めて同協会のホームページを拝見すると、1995年から漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として始めたものとのこと。
 
毎年年末に一年の世相を表す漢字一字を全国から募集し、最も応募数の多い漢字を12月12日(いい字一字)の「漢字の日」にちなんで、京都・清水寺で森清範貫主の揮毫により発表しています。
 
一年の出来事を清めるとともに、新年が明るい年になることを願い、清水寺にて奉納の儀式を行っており、今では、年末の風物詩の一つとして人々に愛される行事となっているとありました。
 

【豪快に書き上げられた「税」の文字(yahooニュースより引用)】
 
ここ最近を振り返ると、2019年は新元号にちなみ「令」、2020年の新型コロナ感染では「密」、2021年は東京オリンピックの「金」、2022年はロシアのウクライナ侵略による「戦」と、明と暗を交互に表してきたものと認識したところですが、今年の「税」は暗にあたるのか。
 
1年を通して増「税」議論が活発に行われ、多くの国民が不安に感じた一方、所得「税」と住民「税」の定額減「税」が実施されることが示され、国民が関心を寄せる検討・議論が多くなされたこと、インボイス制度やふるさと納税にまつわる話題も取りざたされたことが理由に挙げられていましたが、「税」が選ばれるのは2014年以来2度目とのこと。
 
そこで、2014年は何があったのか調べてみると、日本漢字能力検定協会のHPには以下の説明がありました。
 
1.消費「税」率が17年ぶりに引き上げられ「税」について考えさせられた年
 
2014年4月、消費税率が1997年以来17年ぶりに5%から8%に引き上げられました。消費税率アップを前に多くの生活者は日用品などの消費財の買いだめや自動車・家電などの高額商品の駆け込み消費を行いました。消費税が8%になってからは、日用品や電車・バス・タクシー運賃、電気・ガス・水道など公共料金も実質値上がりし、家計への負担が増加、国民生活に大きな影響を及ぼすこととなりました。経済負担の増加を目の当たりにし、生活者の金銭感覚は一層シビアに。税について考えさせられる1年となりました。
 
2.「税」に関わる話題が政財界で多く取り沙汰された1年
 
消費税の増税は、年金や医療費などの増え続ける社会保障費の財源確保のためであることは理解できます。一方で、消費税率アップの影響もありGDPは落ち込み、税金の有効な使い方を決める側であるはずの国会議員や県議会議員による“政治と金”問題が頻発しました。また、2015年10月に引き上げ予定だった消費税率10%への増税は先送り。米大手格付け会社が日本国債を格下げしたことも話題となりました。
 
驚くほどに現在の状況と似ており、17年が経過しても同じことを繰り返しているのかと愕然とした次第です。
 
とりわけ、後段の“政治と金”については、政治資金パーティー券のキックバック(裏金)問題がもう少し早く明るみになっていたら、今年の漢字は「裏」になっていたのではと思うほどであり、国民の政治に対する不信、不満をまたもや増大させた関係者の責任は極めて重いと考えます。
 
他党のこととはいえ、こうした行為は、パーティー券を購入してくれた支援者の気持ち、期待を「裏」切ることにもつながるものであり、まずは事実関係の説明責任をしっかり果たしていただきたいと、同じ政治の場に身を置く立場から申し上げておきます。
 
さて、こうして選ばれた「今年の漢字」について、揮毫された森貫主は「今年の漢字の『税』を見せていただいて、非常に厳しい日本の情勢を感じている。私自身は子どものころから野球で遊んでおりましたので、『虎』やろなと内心思っておりましたけども、ふたを開けてみたら『税』という字だった。国民が非常にシビアに税の行方を見ておられ、税の意識が非常に強い、ということを感じました。来年こそは、『和』と書ける世の中になってほしい」と話したとのこと。
 
今年も気付けば、あと2週間あまり。
 
来年こそは、明るい漢字が選ばれるよう願う、漢字の日となりました。