「古き良きもの」と「新しきもの」が重なる歴史的な日

ブログ 北陸新幹線 敦賀の歴史・文化

2023年10月1日は、敦賀市にとって歴史的な日となりました。
 
まずは、地元粟野地区はもとより、敦賀を代表する貴重な文化財のひとつ「柴田氏庭園」。
 
市ホームページの紹介では、
 
近世敦賀の有力農民であった柴田権右衛門(ごんえもん)が築いた屋敷です。敦賀一の名峰野坂山を借景とする美しい池泉庭園(ちせんていえん)と武家調の屋敷構えや書院が特徴で、甘棠館(かんとうかん)と称されています。往時には小浜藩主の休憩所になっていました。
昭和7年に庭園と書院が、平成19年には屋敷地全体が国の名勝に指定されているほか、市指定記念物ともなっており、芸術的・歴史的価値を高く評価された貴重な文化財です。
 
とあります。
 
その「国指定 名勝柴田氏庭園」は、平成22年までに崩壊の危険があった土蔵と通用門の緊急修復を完了して以降、策定された保存管理計画に基づき、平成27年からは大規模な保存・修復が行われ、8年もの月日を掛けた作業が完了。
 
昨日リニューアルオープンしました。
 
オープンに合わせ10時からは記念式典が行われ、幸いなことに私は、市議会の文教厚生常任委員長としてお招きいただき、出席する機会に恵まれました。
 

【オープンを祝し、甘棠館前にてテープカット】

【参考:修復工事中の甘棠館(同館展示室にて)】
 
式典の後は、市の学芸員さんに甘棠館内や庭園をご案内いただきましたが、柴田氏庭園の特徴は何と言っても「借景」。
 
借景とは、「庭外の風景を景観として利用すること」とありますが、度々私の投稿に登場する、敦賀のシンボルマウンテン「野坂山」と庭園が見事に調和し、当時に思いを馳せることができました。
 

【蘇った見事な野坂山の借景】

【庭園側から見た風景。池への映り込みが美しい。】
 
その後、12時30分からは柴田氏音頭の披露、そして13時には一般開放され、行列ができるほど多くの方が訪れ、リニューアルオープンを祝い、価値観を同じくできたことを大変嬉しく感じた次第です。
 
平成24年3月に敦賀市教育委員会が策定した「国指定名勝 柴田氏庭園 保存管理計画書」の序文には、「敦賀の宝である柴田氏庭園を将来にわたって維持継承していくための基本的な方針を定めたものです。」としたうえで、次のように記載されています。
 
「今後は、この計画を基本として管理を徹底していくとともに、整備事業を推進してまいります。課題はまだまだ山積しておりますが、庭園や建物の修復、周辺環境の整備を通じて柴田氏庭園が末永く美しく保たれ、そして敦賀を代表する名勝地として、市民の皆さま、そして敦賀を訪れる多くの皆さまに親しんでいただけるよう努めていく所存です。」
 
この言葉の通り、文化財は敦賀の宝。
 
「柴田氏庭園」を地元の誇りに、次代に継承していかねばと。
 
なお、10月1日からの入館、施設利用などの詳細は、以下のページをご覧ください。
 
 →敦賀市HP 柴田氏庭園(甘棠館)はこちら
 
そして、もう一つの出来事は、北陸新幹線。
 
9月23日から始まった走行試験は、新幹線電気・軌道総合検測車「イーストアイ」の運行から始まり、同26日には営業車両「W7系」が初めて県内区間を走行したところですが、昨日は午前1時50分に白山総合車両所(石川県白山市)を出発。
 
福井県内の芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の4駅にて、それぞれ県民から熱烈な歓迎を受けました。
 
ここ敦賀駅は16時より「北陸新幹線W7系 敦賀駅入線歓迎セレモニー」が行われ、抽選により選ばれた、敦賀市民を始め嶺南地域にお住まいの500人の皆さん、並びに期成同盟会、関係者の方々が新幹線敦賀駅ホームに集い、興奮のなかW7系の入線を迎えました。
 
市内中学生らで構成する吹奏楽団が演奏する「銀河鉄道999」の曲がまたいい味を出しており、いよいよ敦賀にやってきた新幹線に感動した次第。
 
その感動は、言葉で表現するより動画を見ていただいた方が良いと思いますので、以下ご覧ください。
 


【W7系が敦賀駅ホームに入線した歴史的瞬間】
 
私が生まれた1972年に期成同盟会が発足し、翌年に敦賀までの整備新幹線計画が策定されてからちょうど半世紀を経て、こうして入線したことに、これまでご尽力いただいた関係者の皆様に心より敬意と感謝を申し上げる次第です。
 

【記念に私も1枚】
 
こうして昨日は、古き良きもの「柴田氏庭園」のリニューアルオープン、そして新しきもの「北陸新幹線」のふたつが重なる日でしたが、それぞれ歴史的な出来事であるとともに、いずれも敦賀市民の誇りとして、今後は次代、未来に向かって継承していくもの。
 
敦賀の「宝」を守り、活かし続けていくのは、現世を生きる私たちの使命と役割であると、深く胸に刻む一日となりました。
 

【柴田氏庭園 甘棠館前にて気比史学会 糀谷好晃会長と。横に並ぶと、歴史をつなぐ気概、継承する重みを感じました。】