「エネルギー基本計画」改定に向け、今後議論が本格化

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政治資金パーティー収入不記載事件を巡り、自民党の茂木幹事長は1日、4幹部を含む安倍派と二階派(志帥会)の議員ら39人を処分対象として党紀委員会の招集を要請しました。
 
不記載と判明したのは、安倍派と二階派の現職82人と、選挙区支部長3人の計85人で、処分対象となった39人以外は茂木氏が注意を行うとのこと。
 
処分は4日にも党紀委員会で決定するとありますが、結局、誰の判断でキックバックを再開したのかは分からずのまま。
 
処分はすれど、党自らが徹底究明し、真相を明らかにする姿と国民に映ったか否か。
 
この対応の是非、審判は、今後行われる選挙の結果のみぞ知るということでしょうか。
 
さて、その自民党総裁でもある岸田首相は、3月28日に「2024年度中を目途とするエネルギー基本計画改定に向けて、議論を集中的に行う」ことを表明。
 
現行の第6次エネルギー基本計画は2021年10月に閣議決定しており、エネルギー政策基本法に基づく3年ごとの見直し時期を間もなく迎え、今後、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会を中心に議論が本格化することになります。
 
首相は会見で、「エネルギーの輸入によって海外に数十兆円が流出している現状は変えなければならない」と、経済安全保障の観点からもエネルギー政策の重要性をあらためて強調。
 
なお、首相の言う「海外への流出」(国富の流出)とは以下グラフが実状となっています(東日本大震災以降の原子力比率低下に伴い、火力発電焚き増し→海外依存度の高い燃料量輸入増→原油価格高騰により一段とコスト増加)。
 

【日本の化石燃料輸入金額・輸入量の推移(「今後のエネルギー政策について」2023年6月28日 資源エネルギー庁資料より)】
 
また、国の動きとしては、2023年2月に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が閣議決定され、関連法が成立したほか、現在、電力政策関連では、総合資源エネルギー調査会において、電力システム改革の検証、元旦に発生した能登半島地震を踏まえた対応など、また、電力広域的運営推進機関(OCCTO)においては、将来の電力需給シナリオに関する検討が行われており、これらの検討結果が次期エネルギー基本計画の議論に資する状況にあります。
 
私の方は、2024年が計画の改定年にあたることを踏まえ、先の令和6年第1回(3月定例会)の代表質問にて「エネルギー政策」について質問。
 
主には原子力発電の取扱いについて意見したところですが、現エネルギー基本計画策定時にも異を唱えた「可能な限り原子力依存を低減する」との文言について。
 
経産省の説明によれば、「全体としての原子力依存度を低減するとしつつ、2030年の電源比率20〜22%の中で最大限活用する」との折衷案的な意味合いとなっているところ。
 
私からは、「GX実行会議で示されたことは、原子力を今後も力強く推進していくということであり、これは当然、〝可能な限り原子力依存を低減する”という文言は削除されるべき。」とし、全原協会長である敦賀市長からも国に進言していただきたいと意見。
 
これに対し、市長からは「〝可能な限り低減”というのはまさに、GX基本方針の中で転換されたというふうに認識しているんですが、これは転換したからこそ基本計画のほうにも反映されるべきだと私も思います。」との答弁がありました。
 
この文言に拘るのは、政府がGXで転換を図った原子力政策を真に国の基本政策で謳うか否かが問われるからであり、この点は次期エネルギー計画論議の中のポイントとして声を挙げていきたいと考えます。
 
いずれにしても、現在問題となっている「自然エネルギー財団」の例の如く、一部の団体、一部の議員の主張ばかりが通ることのなきよう、厳に公平公正な委員構成のもと、資源の少ないわが国において、「S+3E」(下図参照)の基本的考えのもと検討が進められるよう切に求める次第です。
 
<以下、参考資料>

【経済産業省 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツより】
 

【2030年度におけるエネルギー需給の見通し(エネルギーミックス)と2022年速報値との比較:引用元は上記に同じ】