ALPS処理水の海洋放出を「事実上容認」

ブログ 原子力

「雨が降ろうが、風が吹こうがやる」との思いで続けている月曜朝の街頭演説ですが、実は先週お休みしました。
 
ちょうど先週月曜日は8月14日にあたり、各ご家庭で静かに御魂をお迎えするお盆に騒がしくするのもいかがなものかとの自己判断でそうさせていただいたことをご容赦いただく訳ですが、お盆明けの昨朝は再開。
 
朝から湿度の高い暑さのなか、約30分間、近況活動報告と敦賀でも「180円」の文字が現れているレギュラーガソリンの価格に関し、国民民主党は、政府が動くまで声(9月末までが期限の現行補助金の延長やトリガー条項の凍結解除など)を挙げ続ける旨、お伝えしました。
 
なお、国民民主党においては、昨日から玉木雄一郎代表と前原誠司代表代行の一騎打ちでの「代表選挙」が始まりましたので、その点に関しても注視いただければと思います。
 
さて、街頭演説でも少し触れました東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出の件に関しては、既に報道されているとおり、岸田首相は本日午前に関係閣僚会議を開催し、放出開始日を決定すると発表しました。
 
首相は開始日こそ明言しませんでしたが、政府は24日にも放出する方向で最終調整しているとのこと。
 
昨日は、その前提となる「全国漁業協同組合連合会(全漁連)」の「理解」について、西村経済産業大臣、岸田首相が相次いで面会し、「放出への理解」を求めましたが、これを高度な交渉というのか、正直、日本語は難しいと感じた次第です。
 
と申しますのも、首相との面談において、全漁連会長はまず、処理水放出については「反対であるということはいささかも変わりない」と述べたうえで、放出計画は国際的な安全基準に合致すると評価した国際原子力機関(IAEA)の包括報告書などに触れ、政府の支援策や科学的な安全性に関し「われわれの理解は進んできている」との認識を示しました。
 
これに対し首相は、漁業者支援などの十分な予算措置を求めた全漁連に対し、「(農林水産省の)水産予算とは別に、今後数十年の長期にわたろうとも政府全体で責任を持って対応する」と、政府が設けた風評被害対策300億円、漁業継続の支援500億円の基金を活用し、廃炉完了まで対策を続ける考えを伝えました。
 
この発言を受け全漁連会長は、「非常に重い発言だ」と評価。
 
報道では、十分な予算措置と安全性確保の継続を条件に、放出開始を「事実上容認した」とあります。
 
首相との面談に同席した西村経産相は終了後の記者会見で、「一定の理解を得たと判断した」と述べ、一方、同じく面会に同席した福島県漁連幹部は「約束は果たされていないが、破られたとは考えていない」と語ったとあります。
 
これまで「科学が風評に負けるのは国辱だ」と主張してきた私ですが、「反対であるということはいささかも変わりない」と前置きがあったうえでの一連のやり取りを伺うに、そのこと(科学>風評)を認識しつつも、「YES」か「NO」かの単純な答えで表せない、苦渋に苦渋を重ねた漁業関係者の方々の心中を察した次第です。
 
そして、「承知した」とまでは発しないものの、こうして関係者の皆さまが「一定の理解」と考えを示された以上、今後重要なのは、単に不安を煽る「風評加害」に加担してはならないということ。
 
今朝の朝刊各紙がどのように報道しているか、すべてに目を通した訳ではありませんが、とりわけマスメディアの存在は大きいことから、福島の復興を進めるうえにおいて、私たちは今後も表層的なことに惑わされることなく、科学で証明されたことをもとに思考し、対応をしていくべきと今一度認識する次第です。
 

【海洋放出を待つ、ALPS処理水が貯留するタンク群。これまでの、またこれからの関係者の皆様のご尽力に敬意を表します。】