永久閉鎖した「パリセード原子力発電所(米)」の再稼働を決定

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19日からの一般質問を前に休会中の敦賀市議会ですが、昨日午前中は広報広聴委員会を開催。
 
11月に開催する「議会報告会」の意見交換テーマやその後予定している「出前報告会」について協議しました。
 
1期目の4年間も属した本委員会は、フランクに建設的な意見を言い合える場。
 
この日も自由闊達な議論がされましたが、大事な広報広聴活動であり、前例踏襲ではなく、市民にとってより身近な議会となれるよう、委員の皆さんと知恵を絞り、改善を重ねていきたいと思います。
 
さて、ここ福井県嶺南地方にある関西電力の原子力発電所ですが、昨日は高浜発電所2号機が原子炉起動。
 
これで、関西電力が保有する廃止措置プラント以外の全7基が再稼働を果たしたことになりますが、この間のすべての関係者の皆様のご努力に心より敬意を表する次第です。
 
国内ではこれで12基目の原子力発電所再稼働ということになり、我が国の低廉な電力安定供給はもとより、地球温暖化対策に貢献するため、今後も順次、粛々と運転プラントを増やしていくことが必要と考えるところです。
 
さて、こうした国内の状況と照らし、一歩も二歩も先を行くのが米国。
 
原子力産業新聞では、米国のホルテック・インターナショナル社が9月12日、ミシガン州で2022年に永久閉鎖となったパリセード原子力発電所(PWR、85.7万kW)を再稼働させるため、子会社を通じて、同原子力発電所が発電する電力を州内のウルバリン電力協同組合に長期にわたり販売する契約を締結したとの記事がありました。
 
「永久閉鎖」した原子力発電所を再稼働させること自体、今の日本では考えられないことですが、ホルテック社は今年2月、同発電所の再稼働に必要な融資依頼を米エネルギー省(DOE)に申請。
 
米原子力規制委員会(NRC)のスタッフとは、すでに複数回の公開協議を通じて、同発電所の運転再認可に向けた規制手続について議論を重ねており、「パリセード発電所は閉鎖後に再稼働を果たす米国初の原子力発電所になる」と強調。
 
再稼働を必ず実現させて、ミシガン州の各地に無炭素エネルギーによる未来をもたらしたいと述べたほか、長期停止中の原子力発電所を数多く抱える日本や脱原子力を完了したドイツでも、同様の流れになることを期待すると記載されていました。
 

【閉鎖後の再稼働を決めたパリセード原子力発電所】
 
なお、ホルテック社で原子力発電と廃止措置を担当するK.トライス社長は、「パリセード発電所を再稼働させることで、ミシガン州は今後のエネルギー需要を満たしつつ地球温暖化の影響を緩和できるほか、高収入の雇用を数百名分確保し地方自治体の税収を拡大、州経済の成長にも貢献できる」と指摘しています。
 
日本で同じことを言ったら、「金のために閉鎖した危険な発電所を動かすのか!」と即座に反応するであろう姿が目に浮かびますが、さすが「超」がつくほどの「現実主義」の米国。
 
国も自治体も、そして規制側も、環境負荷や経済性を踏まえ判断していることが分かります。
 
この点に関しては、「文化の違い」で片付けてはいけませんので、エネルギーは国力の源とすればまず、いま持っているポテンシャル(停止している原子力発電所)をフルに発揮すること、さらには次世代革新炉の開発、実装を急ぐことに他ならないと考えます。
 
皆様方におかれましては、世界の「現実」を睨みながら、「理想論」では決して国益を利することはできないことを、ご理解いただければ幸いです。