欧州の「Heat or Eat」を肝に銘じて

エネルギー ブログ

物価高が叫ばれるなか、総務省が20日発表した2022年12月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.1となり、前年同月比で4.0%上昇となりました。
 
これは、第2次石油危機の影響で物価が上がっていた1981年12月(4.0%)以来、41年ぶりの上昇率とあり、この後も企業が製品やサービスの価格にコスト増加分を転嫁する動きが続くと見られています。
 
また、品目別の上昇率では、エネルギー関連が15.2%で全体を押し上げており、都市ガス代は33.3%、電気代は21.3%上がったとあります。
 
奇しくも昨日は東京電力ホールディングスが、来週前半にも家庭向け規制料金の値上げを国に申請する方針で、申請する値上げ幅は3割程度となる見通しとありました。
 
既に、他電力においては料金値上げの審査に入っているところですが、火力発電の燃料価格高騰にギリギリまで耐えつつの対応であることをご理解いただきたく存じます。
 
そうしたなか、昨日は母体の原電総連にて「賀詞セミナー」が開催され、私も出席。
 
セミナーの冒頭、ありがたいことに組織内議員としてご挨拶の機会を頂戴し、敦賀の状況や自身の活動の一端を述べた次第です。
 

【原電総連執行部、各社経営を前にご挨拶】
 
その後は、「電力・エネルギー産業の課題と今後の展望」をテーマに、常葉大学名誉教授で国際環境経済研究所所長の山本隆三氏によるご講演を拝聴しました。
 
上昇するエネルギー価格、欧州エネルギー危機の原因、日本の安全保障、エネルギー危機を乗り越え脱炭素を実現するためには、など国際的な視点からミクロの点まで、データに裏付けされたお話しは大変説得力がありました。
 
とりわけ、太陽光や風力発電の分野では、パネルなど調達資材を中国が席巻していること、原子力の比率で化石燃料比率が決まること、日本と地域が生き残るためにはやはり、付加価値額が高く雇用が多い産業の育成、成長産業を早く見つける(原子力や水素など)こととありました。
 
また、敦賀市も取組みを進める水素製造については、今後成長が見込まれ、約20兆円規模の大きな新市場が作られるともあり、質問でも切り口を伺ったことから、自身の意見提起にも活かしていきたいと考えます。
 
さて、先に東電HDの料金値上げが3割と書きましたが、欧州では何とこれが3倍になっているとのこと。
 
脱石炭が招いた天然ガス依存(言い換えればロシア依存)によるところが非常に大きい訳ですが、この冬言われているのが「Heat or Eat」。
 
つまりは「暖房か食料か」ということで、暖房でエアコンを使えば食料が買えなくなる、逆も然りという状況を指すものですが、偏重したエネルギー政策は、ひとつ間違えればこうなるものと肝に銘じておかねばなりません。
 
最後に、欧州が天然ガス依存(ロシア依存)で抜けていた視点は、「独裁者が出てきたら、エネルギー資源を持っているほうが強い」ということ。
 
ウクライナ侵攻以降のプーチンの存在がまさにそれであり、視点の重要さは火を見るより明らか。
 
こうしたリアルな教訓を日本が生かすか殺すか。
 
まさに、これからの政治に掛かっています。
 

【講演の内容は、山本隆三先生の最新著者にも書かれておりますので、関心ある方はぜひお買い求めいただけば幸いです。】