様々な思いが交錯する中、本日「北京冬季五輪」開幕

オリンピック ブログ

本日2月4日は「立春」。
 
北陸地方の人にとっては、曇天続きの冬から穏やかな春へ向かうことを意味するこの日は、どこか気持ちも明るくなる日なのではと思うところです。
 
この流れから行けば、続けて明るい話題を書くべきかとも思いつつ、真逆の話題となることをお許しいただきたく。
 
昨日、私の関心事として取り上げました中国の人権侵害問題について、日本国内でも日本ウイグル協会など6団体が声明を発表したことを紹介したところですが、今度は中国から逃れた亡命ウイグル族の組織「世界ウイグル会議」の英国所長、ラヒマ・マフムト氏が、北京冬季五輪の開幕を前にこの人権侵害を「ジェノサイド(集団殺害)」と強調し、「人権を無視した残虐行為を犯す中国に五輪を開催する権利はない」と断言したことを報道で知りました。
 
また、「国際オリンピック委員会(IOC)は集団殺害を行った政権に(五輪開催の)名誉を与えてしまった」とも批判したとのこと。
 
マフムト氏は人権侵害の状況を世界へ発信するとともに、対中政策について英政府に意見しており、ジョンソン首相が昨年12月に表明した北京五輪の「外交的ボイコット」を強く進言したことも、こうした背景があってのことと理解するところです。
 
そして、その中国で今日開幕を迎える北京冬季五輪。
 
開幕を前に昨日、国際オリンピック委員会(IOC)は北京市内で総会を開き、バッハ会長は開会の挨拶で、昨年の東京五輪に言及し、「新型コロナウイルス禍という前例のない大会だったが、安全に圧倒的な成功を収めた」と成果を強調したうえで、北京大会は「国際社会の強い支持を受けている」として、「コロナ禍を克服し、大会が成功するための全てが整った」などと評価の言葉を述べたとのこと。
 
その後、中国の習近平国家主席がビデオメッセージで開会を宣言。
 
コロナ禍などを念頭に、「世界は激動と変革の新時代に突入している」とし、「中国は五輪運動で積極的な役割を果たし、一貫して五輪精神を擁護してきた。困難な時期を乗り切るため、安全で素晴らしい大会に向け最善を尽くす」と語ったとのことであります。
 
冒頭述べた人権侵害問題に対し、各国が外交ボイコットなどで批判の姿勢を表明する中で、バッハ氏の「国際社会の強い支持を受けている」、習近平氏の「中国は、一貫して五輪精神を擁護してきた」との発言は、正直私は理解できないでいるところです。
 
そこで、原点に立ち返り、「五輪精神」とは何なのか、オリンピック憲章【Olympic Charter(財)日本オリンピック委員会】を見てみると、こと「人権」に関しては、オリンピズムの「根本原則」にこのように記載されていました。
 
4.スポーツをすることは人権のひとつである。すべての個人はいかなる種類の差別を受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。オリンピック精神においては、友情、連帯、フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる。
 

 →→→オリンピック憲章全文はこちら
 
根本原則自体にはもちろん異論はありませんが、憲章の、しかも「根本」部分に定めていることと今起きていることを照らし合わせて考えた時に、ご両名の考えは、都合の悪いことに目を瞑った、自分勝手な解釈としか思えない訳であります。
 
「政治とスポーツは別だ」と言われれば確かにそれも五輪憲章のひとつですが、そうしたこともあってか、どこか自分の中で歓迎ムードになっていない北京冬季五輪。
 
さりとて、出場する選手に対しては別。
 
昨夏の東京五輪では、コロナ禍の国内開催に一部の勢力から批判の声が挙がり、その矛先は出場する選手にまで及びましたが、それは筋違いなことであり絶対にやってはいけないこと。
 
いかなる思いがあろうとも、このことだけは遵守すべきであり、それこそ五輪精神というもの。
 
様々な思いが交錯するなか開催される北京五輪でありますが、弛まぬ努力と鍛錬を続けてこられて出場される選手の皆さんの活躍をお祈りするとともに、直向きに競技する姿を心から応援したいと思います。