キーワードは「居場所づくり」と「ネットワークづくり」 〜地域共生社会推進セミナーに参加〜

ブログ まちづくり 北陸新幹線

北陸新幹線敦賀開業から1週間の昨日。
 
敦賀市を中心に、嶺南地域や南越前町までの経済団体、自治体議員らで構成する「北陸新幹線敦賀開業促進期成同盟会」の祝賀会がサンピア敦賀にて開催され、関係者一同で開業を祝い合いました。
 
当初の目的を果たした本同盟会はこれにて役割を終え、今月末をもって解散することが決まっていますが、1972年に前身の組織を立ち上げてから約半世紀。
 
改めて、悲願達成に向け取組まれた諸先輩方に感謝する次第です。
 
その後は、「令和5年度 第2回 地域共生社会推進セミナー」のため、あいあいプラザへ。
 
こちらは先般、このブログでもご案内したものでありますが、会場に着くと既に多くの市民の方がお集まりになっており、関心の高さを感じたところです。
 
セミナーでは冒頭、池澤副市長からのご挨拶の後、福祉保健部地域福祉課地域共生社会推進室係長の藤井氏より、敦賀市の「地域共生社会推進の取組みについて」ご紹介がありました。
 
ざっくりとしたメモで恐縮ですが、お話しの内容は以下のとおり。
 
<地域共生社会とは何か>
簡単に言うと、困った時はお互いさまの精神で気軽に助け合いができる社会。
 
<地域共生社会が求められる背景>
制度の狭間に落ちるケースの存在(8050問題、ヤングケアラーやダブルケアなど)が増えてきていること
①敦賀市のひきこもりは約744人(15〜39歳:315人、40〜64歳:429人)
②人口減少・少子高齢化による地域社会の担い手不足
③家族の支援力の低下(高い高齢者の単身、夫婦世帯が増加している)
④地域で支え合う力の低下。敦賀市のアンケートでは「近所付き合いは挨拶程度」が44.8%。また、孤独や孤立を「常に」、「しばしば・時々」、「たまに」あると回答した割合は30.9%。年齢別では30代が多いとのこと。
 
<敦賀市の取り組み>
・2022年11月「第4回地域共生社会推進全国サミットinつるが」の開催。参加者627人(市内260人、市外367人)
・重層的支援整備事業を令和5年から実施(包括的相談支援事業、多機関協働事業)。つるがつなぐ会議も開催。
・アウトリーチ(自宅訪問等)による支援は、述べ件数で107件(令和6年1月末)。
・チームアプローチ支援の「つるがつなぐ会議」関係では、件数18件(同)。
 
<地域共生社会の実現に向けて>
・専門職によるつながりを続ける支援+地域住民の気に掛け合う関係性をいかに構築していくか。
 
また、その後は、市内で活動されるお三方からの事例紹介に続き、パネルディスカッションが行われ、敦賀市福祉保健部特任部長の大原氏をコーディネーターに、敦賀温泉病院理事長、一般社団法人青空代表理事、社会福祉法人二州青松の郷所長の3名が登壇。
 

【パネルディスカッションの様子】
 
Q&A方式にて、3つのテーマについて話しがありました(こちらもざっくりメモで恐縮です)。
 
Q1:敦賀市の地域共生社会を考えるにあたっての「強み」、「良さ」、「特徴」は何か
A1:認知症サポーターが多いこと。福井県は全国で2番目に認知症サポーターが多い県で、嶺南が特に多い。日本の認知症啓発は世界で一番。認知症に対する意識が高く、初期で対応できれば重症化しない。
また、近所付き合いの話しがあったが、自分の住んでいる地域で行っている独居老人宅へのお弁当配布活動では皆さん協力的。きっかけがあれば支え合いができると感じている。
 
Q2:地域共生社会実現のために何が必要か。あるいは何が課題か。
A2:コロナ禍で一層感じたが、地域の交流行事が必要。また、例えば、高齢者対象のサロンに妊婦さんが参加すれば、経験あるお年寄りと不安を抱えた妊婦さん(若い人)のつながりや見守りができるのではないか(子育てや災害対策にも有効)。
包括して言えば、分野や世代を超えてつながるネットワークづくりが必要。
 
Q3:敦賀の地域共生社会の理想像は。
A3:多様性社会の中で、周りの人が、「〜すべき」論で圧力をかけることなく、子育てや認知症などに関しても、それぞれ置かれた背景を知ることが大事。また、自立を求められるが、誰かに助けてもらうこと、一人で頑張り過ぎないことも大事。話せる相手がいることが重要。
制度が縦割りでなく横の連携をもって。自分ごととして支え合うことに参加してもらうこと。基盤・プラットフォームづくりができれば、支え合いもスムーズにできる。
 
こうした話しがあった上で、コーディネータの「まとめ」にあったキーワードは、「①居場所づくり」と「②横のつながり、ネットワークづくり」
 
しかと認識した次第です。
 
主催された福祉保健部の皆様、企画から運営まで大変お疲れ様でした。
 
セミナーを終え、帰りに新幹線駅東口に寄ってみると、駐車場はほぼ満車ながら、多くの声を伺っている「みどりの窓口」や「自動券売機」の混雑は、この時間(16時前)まったくありませんでした。
 
こちらは開業からまだ1週間。現場の実態や課題については、自分の目で確かめていきたいと思います。
 

【ほぼ満車の駅東口駐車場。ぐるり回ると何と「岩手」ナンバーまで。】
 
こうして、ふたつのイベントを終え感じたのは、インフラなどハード整備と地域共生などのソフト面がバランスよく、うまく噛み合ってこそ、「安心で住みよいまち」であるということ。
 
当たり前のことかもしれませんが、その当たり前のことを意識して、引き続き皆さんの声を伺っていきたいと思います。