理想論では済まされない中国の脅威と台湾問題

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昨日は、冷たい雨が降る一日となりましたが、午後からは鯖江市文化センターで開催された市町議会議員合同研修会に出席。
 
講演テーマは2コマあり、1コマ目は「議会BCPとコロナ禍における議会の役割」と題し、跡見学園女子大学教授の鍵屋 一氏より、2コマ目は、「衆院選挙と今後の政局展望」と題し、NHK放送文化研究所研究主幹の嶋田 敏男氏より、貴重なお話しを伺うことができました。
 
特に、「衆院選挙と今後の政局展望」では、まさに旬な選挙情勢からの見識を始め、今後留意すべき国際情勢への認識として、2022年の中国共産党大会を前にして浮上する台湾問題、さらには2049年の中華人民共和国建国100年を見据え、中長期的な課題の検討が重要と指摘されたことが強く印象に残りました。
 
なぜなら、私自身もこの問題を意識し、常に警戒と留意をしてきているからであります。
 
航空自衛隊による中国機に対する緊急発進の回数は、平成28(2016)年度には851回と過去最多を更新し、以降も引き続き高水準にあることや2020年4月から8月にかけては、中国海警船が尖閣諸島周辺の接続水域において111日間連続で確認され過去最長となったこと、また、同年一年間に尖閣諸島周辺の接続水域で確認された中国海警船の活動については、活動日数が333日、活動船舶数が延べ1,161隻となり、いずれも過去最多となっていることが既にデータで示されています。
 
このように中国は、尖閣諸島周辺において力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続しており、強く懸念される状況となっていることに加え、事態をエスカレートさせる中国の行動は、わが国として全く容認できるものではないとのスタンスであります。
 

【わが国周辺海空域における最近の中国軍の主な活動。日本列島を舐め回すかのように活動していることが分かります。(令和3年防衛白書より)】
 
なお、こうした懸念すべき状況に関しては、「令和3年防衛白書 〜日本の防衛〜」に詳細な記述があり、特に海空域における活動については“全般”として次のように認識されています。
 
以下、「防衛白書 第1部 わが国を取り巻く安全保障環境」より抜粋。
 
近年、中国は、いわゆる第一列島線を越えて第二列島線を含む海域への戦力投射を可能とする能力をはじめ、より遠方の海空域における作戦遂行能力の構築を目指していると考えられる。その一環として、海上・航空戦力による海空域における活動を急速に拡大・活発化させている。特に、わが国周辺海空域においては、訓練や情報収集を行っていると考えられる海軍艦艇や海・空軍機、太平洋やインド洋などの遠方へと進出する海軍艦艇、海洋権益の保護などを名目に活動する中国海警局所属の船舶や航空機が多数確認されている。このような活動には、中国海警船によるわが国領海への断続的侵入や、領空侵犯のほか、自衛隊艦艇・航空機への火器管制レーダーの照射や戦闘機による自衛隊機・米軍機への異常接近、「東シナ海防空識別区」の設定といった上空における飛行の自由を妨げるような動きを含め、不測の事態を招きかねない危険な行為を伴うものもみられ、強く懸念される状況となっており、また、極めて遺憾である。また、南シナ海においては、軍事拠点化を進めるとともに海空域における活動も拡大・活発化させており、力を背景とした一方的な現状変更の既成事実化を推し進めている。中国には、法の支配の原則に基づき行動し、地域や国際社会においてより協調的な形で積極的な役割を果たすことが強く期待される。
 
詳しくは、以下「防衛白書」をご覧ください。
 
→→→「令和3年版 防衛白書」はこちらから
 
一方、決して対岸の火事ではない中台関係に関しては、これまで中国による台湾侵攻の際の米国の防衛責任を明言しない「戦略的曖昧さ」を維持してきた米政府ですが、報道によれば、CNNテレビ主催の対話集会で、台湾が中国から攻撃された場合に米国は台湾を防衛するつもりかを問われたバイデン米大統領は、「その通りだ。私たちにはそうする責任がある」と述べた。とありました。
 
なお、米国は台湾へ特殊部隊を派遣し、軍事訓練を実施してきているほか、台湾への米国製の武器売却も進めており、大統領の発言は台湾防衛が米国内で常識化している表れと解釈して当然と考えるところ。
 
自由と民主主義を掲げる台湾が中国共産党政権の手に落ちれば、台湾の人々の自由や、民主主義は失われるうえ、中国軍基地が台湾に設けられれば、地域の軍事バランスは中国有利に傾き、日本は西太平洋地域で孤立、今まで以上に中国から軍事的、外交的圧迫を受けることとなり、冒頭の尖閣諸島を含む南西諸島の防衛は困難を極めることとが容易に想像できるもの。
 
台湾の蔡英文総統が、「台湾は地政学上の要衝だ」と繰り返し述べてきたのは、こうした意味合いを国際社会に強く呼び掛けるものであり、コロナワクチン提供などでも明らかな姿勢を示したよう、わが国においては、台湾を守る=自由と民主主義を守るためにも、日米同盟の強化を最優先事項としたうえで、対中抑止策に実効性を持たせねばならないと、一国民として強い覚悟を持つところです。
 
危機と脅威はすぐそこにあり、絵空事や夢物語を言っている場合ではありません。
 
エネルギー政策と同様、外交防衛政策に関しても極めて現実的なものでなければ、国民の生命と財産が脅かされるどころか、主権国家であり続けることにも赤信号が灯ることになる訳であり、この問題に私は強い危機意識をもって注視し、以降も考えていく所存です。