日本の海域広域研究船「かいめい」が海底掘削で世界記録

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昨日、新聞で敦賀市長の動静を見ると、市道西浦2号線「色浜トンネル(仮称)」工事貫通式とありました。
 
敦賀発電所に向かう途中にこのトンネルの工事現場があることから、工事開始からタイムラプスに映るかのように進捗を見てきましたが、既に貫通まで辿り着いたとは、土木技術、掘削技術の高さに驚くところです。
 
工事は、令和4年春の開通に向けて進む訳ですが、西浦地区の更なる交通事情改善や原子力防災の観点からも、安全第一で着実に作業を進めていただくようお願いしたいと思います。
 
さて、掘削技術の関係でスケールの大きな話といえば、日本の研究船が海底掘削で世界記録を出したとのニュース。
 
国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する海域広域研究船「かいめい」が、これまでの歴史で一番深い海底掘削記録で、その深さ8,023mまで掘削したとのこと。
 

【海域広域研究船「かいめい」(JAMSTECホームページより引用)】
 
これまでの最高記録は約50年前、アメリカの掘削船「グローマー・チャレンジャー」がマリアナ海溝で掘削した水深7,034mだそうですが、これを1,000mも上回る記録になるとのこと。
 
「かいめい」は、最大長40mの大口径(110mmφ)の長尺ピストンコアラーを搭載している海底掘削装置を使って秒速1.1mの速さで掘削を続け、これまた何と水深8,023mまで到達したのは2時間40分だそう。
 
JAMSTECによると、国際深海科学掘削計画(IODP)の一環として、欧州海洋研究掘削コンソーシアム(ECORD)が主導するIODP第386次研究航海「日本海溝地震履歴研究」に、この「かいめい」を提供し、ECORDと共同で研究航海を実施するとあり、「かいめい」がIODPの国際的な枠組みのもとで運用されるのはこれが初めてとのこと。
 
当該航海では、日本海溝の海底堆積物を連続的に採取し、過去に起きた地震の痕跡を調べおり、これにより、日本海溝の巨大地震の特徴や発生のプロセスなどを知るほか、今後起こりうる地震の最大規模や発生頻度の推定につながることが期待されるとしています。
 

【IODP第386次研究航海のコア採取予定地点。これを見れば目的は一目瞭然ですね。(JAMSTECホームページより)】
 
また、「日本海溝地震履歴研究」には日本を含む12か国から35名の科学者が参加しており、「かいめい」による研究航海で採取された柱状の地質試料(コア)は、JAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」のに運び込まれ、2021年秋頃、国際研究チーム全員が「ちきゅう」に集合して詳細なコアの分析を行う予定となっています。
 
調べてみると、単に世界記録の掘削に留まらず、近年では東日本大震災を経験した地震国であるが故、こうしてより高度な技術、世界一流の研究者によって超難題を解明しようとしていることに感銘を受けた次第。
 
随分前に、白い襟を立てた蓮舫議員が行政仕分けで「2番じゃダメなんですか」と、科学技術研究に充てる予算は無駄と言わんばかりの態度を取ったことは今でも記憶に残っているところですが、こうした世界に誇る科学技術によって、得られる成果はまさに国益に資するもので、極めて大きいもの。
 
各方面で世界に一歩劣ると揶揄される状況にありますが、こうして世界に誇る技術が日本にはまだまだあることを誇らしく思うとともに、今一度研究開発基盤を整え、世界に冠たる技術立国として名を馳せる国となるよう願って止みません。