敦賀のサプライズ花火は「粋な計らい」と言えるのか

ブログ まちづくり

本来、太陽がギラギラ照りつける夏真っ盛りの時期のはずですが、ここ2日間は家でもエアコンなしで過ごすほどの涼しさ。
 
敦賀観測所の気象データを見てみると、それもそのはず、何と昨日の最高気温は26.3度(15時03分)でした。
 
ここ数日降った雨の影響もあるのかもしれませんが、晴れ間が覗いた時の空や、虫の鳴き声、稲穂の垂れ具合、どれを見てもどこか「秋」を感じる風景。
 
「梅雨明けが早かった分、夏も終わるのが早いんや」と、妙に説得力のある声も耳にするところでありますが、ひとまず体調管理には注意を払っていきたいと思うところです。
 
さて、送り盆の昨日、夜は敦賀観光協会が企画制作した「#おうちで敦賀花火2021」をYouTubeにて視聴しました。
 
昨日のブログでもご紹介しました通り、この企画は、例年であれば、この時期に敦賀の夏の風物詩として開催される「とうろう流しと大花火大会」を中止としたことを踏まえつつ、それでも「毎年ご来場いただいていた方も、今まで会場に足を運べなかった方も、今年のために制作した特別なCG花火をお楽しみください!」(敦賀観光協会HPより)との思いを込め、WEBで配信するというもので、昨年に続き2回目のこと。
 
CG花火のほうは19時30分開始ということで、ビール片手に約20分間、コンピューターグラフィックであることを忘れるかのような映像と音、ナレーションや揺れるとうろうまで再現され、気比の松原で見ているかのように楽しませていただきました。
 

【実際の映像はこのような感じで、音も再現されていて大変リアルなものでした】
 
見逃された方におかれては、YouTubeのアーカイブで見れますので、是非ご覧になってみてください。
 
→→→「#おうちで敦賀花火2021」YouTubeアーカイブはこちらから
 
そして花火が終わり、最後の「来年こそは是非、気比の松原にて、とうろう流しと大花火大会が開催できますように」の字幕で余韻に浸っていると、今度は外から「ドーン」という音が。
 
もしやとケーブルテレビにチャンネルを移すと、何とリアルに花火が打ち上がっている様子が打ち出されていました。
 
気比の松原沖で、10分間くらいだったでしょうか、勢い良く打ち上がる花火に聞こえてくる歓声や拍手。
 
このリアル花火は何かと検索してみると、RCNみねっと(嶺南ケーブルネットワーク)のTwitterでは「敦賀観光協会が医療従事者の方達への感謝と敦賀市民へのガンバろう!のメッセージを込めて打ち上げました。」と説明されていました。
 
正直私は、この花火に違和感を感じた訳ですが、理由の一つは、他の有志団体ならともかく、同観光協会がリアルが出来ないからとCG花火を企画制作したのに、結局リアルを実際に打ち上げるのでは、せっかくの意義が台無しになってしまうこと(どこか自己矛盾が生じてはしないか)。
 
そしてもう一つ大きいのは、観光協会がこのようなことを市にも断らず実施することは考えにくいことからすると、実施判断は、いつ、どのような形でされたのか。
 
しかも「サプライズ」と言いながら、どこかから漏れ聞こえ、実際松原には観客もいたようであることを踏まえると、危機管理の観点から、本当にこのコロナの感染状況が高まる中で実施して良かったのかという観点。
 
また、趣旨に「医療従事者や敦賀市民」とあるのに対し、本当のサプライズで告知も何もせず(医療従事者の方には何かお知らせしていたのかは不明)、市民の中でも音の聞こえない地域では知る由もない状況で、その思いは伝わるのか。
 
観光協会と言えど公的資金(税金)が投入されている以上、その事業は、市民に対して少なくとも公平な機会となるよう配慮せねばならないと思うところ、その観点はどう考えられたのか、そして費用対効果を考えた場合、幾らの費用が投じられたのか。
 
などなど、疑問が次々と浮かび、複雑な心境になった次第。
 
考え過ぎだと思われるかもしれませんが、そこまで考えるには、コロナ初期の令和2年第4回定例会(6月定例会)にて、私自身、「コロナだからと全てのイベントを中止するのではなく、市民とともにコロナを乗り越えるという観点から、コロナ禍でも出来得る方法も検討していくべき」と提言した訳ですが、この定例会では、私と同じような趣旨で、この大花火大会の中止も例に「何もかもなくなるんじゃなく、市民の心のよりどころというものがありますから、そういったところも考えてやっていただきたい。」と市長の考えを問うた議員がおられました。
 
そして、その際の渕上市長の答弁は、以下の通りであった訳です(敦賀市議会HP 会議録より抜粋)。
 
市長(渕上隆信君) 議員おっしゃるように、花火大会、非常に残念だと私も思っています。時期をずらしてやれないかなとか、規模を縮小してやれないかなという議論もしたんですけれども、花火大会の夏のプログラムというのがありますので縮小してやることはできないというふうに聞いておりますし、これをキャンセルして別の時期にというのは別のお金がかかるということを伺っていますので、ちょっと難しいと思います。
また、サプライズのイベントというのは、サプライズで初めて3密が避けられるというふうに考えていますので、そういう意味では行政でやるのはなかなかその辺は難しい。広報しなかったとか費用対効果はどうなんだとか、そういうところがありますので、行政でサプライズをするのは非常に難しいというふうに考えています。
 
この定例会以降、私にとっては、この答弁がイベント(特にサプライズもの)に対する市のスタンスと認識していた訳ですが、一体こことの整合性はどう考えているのか。
 
私自身、人にプレゼントをする際も、あらかじめ欲しいものを聞いたり、告知などをせず、不意に驚かせる「サプライズ」を選択する性分ですが、それは「サプライズは粋」と思っているからであり、これに照らすと、このリアル花火は「粋な計らい」と評価して良いのか。
 
SNSでは既に、賛否(どちらかと言えば「賛」が多数を占めていますが)の声が挙がっていますが、私は危機管理を含む、議員の視点にて本件の経過等を調査のうえ、自身の考えを整理しておきたいと思います。