トップリーダーの新年談話から思うこと

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例年、元旦の朝は、隣の実家でおせちをいただくのが慣例となっている我が家ですが、昨日はこれまでと違うことが。
 
それは、昨春から消防署にお世話になっている長男が元旦勤務のため不在ということであり、やはり家族の一員が欠けての元旦に寂しさを感じたところです。
 
そして同時に、こうして勤務している姿を思えば、警察など、まちの保安・安全のため従事する方々や医療やインフラを守るエッセンシャルワーカーを始め、年末年始に関係なく働いていらっしゃる皆さんには心より敬意を表するとともに、そのお陰でこうして穏やかに年始を過ごせていることを感謝する次第です。
 
なお、今朝帰宅する長男には、一日遅れのおせちとお雑煮で慰労してあげたいと思います。
 
さて、元旦の朝刊各紙を見ると各界リーダーの今年の抱負や見通しなどが多く掲載されており、興味深く拝見させていただいたところ、続くコロナ禍や脱炭素化に向けた社会の中においても、いかに変革をし乗り越えていくかとの視点が多かったように感じました。
 
まちづくりと同じく、企業理念として「変えてはいけないもの」(いわゆる伝統や企業文化)は大切にしつつ、環境に応じて「変革」していくことがやはり肝要なことと理解したところです。
 
また、視野を広げ、各国首脳の新年にあたっての談話などを拾い読みしていく中で、最も印象に残ったのは台湾の蔡英文総統が総統府で発表した談話。
 
これは、私が最も関心をもって見ている台中関係ということもある訳ですが、蔡総統はまず、中国の習近平指導部が軍事的圧力を強化していると非難したうえで「中国内部で軍事的な冒険主義が広がるのを防ぐべきだ」と要求。
 
同時に「軍事では両岸(台中)の隔たりは決して解決できない」と強調し、経済安定を脅かす軍事衝突を避け、平和的に緊張緩和を目指すよう呼び掛けました。
 
蔡政権は民主主義などの価値観を共有する日米欧と実質的な外交関係強化を推進していることは周知の事実のところですが、蔡総統は同じく談話で、中国による台湾統一圧力への警戒感を示し「自由と民主主義を国際社会とともに守る」、「今年も積極的に試練に立ち向かう」と述べ、中国に屈しない決意を表明しました。
 
こうして大国の脅威に屈することなく、領土と主権を守り抜くとの姿勢を貫く蔡総統の強いリーダーシップには尊敬の念すら覚える訳ですが、軍備拡張を進める中国の実際の軍事規模というのは凄まじいものがあることを12月26日に放映されたNHKスペシャル「台湾海峡で何が 〜米中“新冷戦”と日本〜」で知りました。
 
番組の中で紹介された東アジア海域における米中の軍用機、艦艇の規模の推移を示したものが以下となりますが、1999年時点では米が優位にあったのに対し、2021年では既に形成逆転、2025年予測ではさらに差は拡大するとしています。
 



【NHKスペシャル「台湾海峡で何が 〜米中“新冷戦”と日本〜」よりスライド引用】
 
海域で赤く染まった部分が米から見た防衛ラインを意味するとした場合(番組でははっきり言っていませんでしたが)、その数年後には太平洋にまで及ぶことが分かります。
 
番組の中では、習近平政権中の今後6年以内に台湾有事が発生する可能性は高いと米高官が述べていましたが、この図を見れば、我が日本も大国の脅威の範囲内、米からすると極めて重要な存在であることも一目瞭然な訳であり、つまりは「台湾有事=日本有事」であると認識し、備えねばならぬものと受け止める次第です。
 
昨日、天皇陛下は新年に際し、ビデオメッセージで国民へのお言葉を寄せられた際、結びのお言葉として、「本年が、皆さんにとって、明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできる良い年となることを心から願っています。新年に当たり、我が国、そして世界の人々の幸せと平和を祈ります。」と述べられました。
 
陛下のこの崇高な願いのお言葉と思いを同じくしつつ、それを実現するためにはやはり外交防衛のみならず、経済やエネルギー分野など、あらゆるオプションを総動員しての「超現実的」な政策をもってして対応せねばならないと考える次第です。
 
超高度な政治判断のもと対応される問題であり、私などが軽々に言うことではないことは重々承知をしておりますが、問題意識だけはしっかりと持って、引き続き自分ごととして思考していきたいと思います。