日本原子力研究開発機構の「HTTR」が約10年半ぶりに運転を再開!

エネルギー ブログ

外にいると「溶けるような」という表現がピッタリの昨日の暑さ。
 
それもそのはず、敦賀の最高気温は34.9度(14時11分)まで上昇したとのことで、発電所へ向かう西浦の海水浴場には色とりどりのパラソルやテントが並び、コロナ禍を忘れさせるかの光景。
 
青い空に映える、「北陸のハワイ」水島を横目に車を走らせ、お昼休みには敦賀発電所の協力会事務所にて市政報告をさせていただきました。
 

【あまりの綺麗さに車を停め撮影。ハワイだけあって、やはり夏が一番似合うかも。】
 
お昼休みの中、報告会には、労組役員さんを中心にお集まりいただきましたが、昨日は女性参加の割合がいつもより高く、違った視点で聞いてもらえるということを嬉しく思いつつ、話しを進めさせていただきました。
 
参加された皆さんは、発電所構内でお勤めの方ばかりということで、若干最近の国のエネルギー政策に関する動きなども絡めながら、6月定例会で一般質問した、敦賀市が進める調和型水素社会やスマートタウンの内容や駅西地区開発、市庁舎建設の状況など市政のトピックスについて、いつものパワーポイント形式でご紹介。
 
伝えたいことを盛り込み過ぎて、意見交換する時間が短くなってしまったことは反省点な訳ですが、子育てに関するご意見、ご要望などもお聞かせ願いたいとお伝えをし、報告会を終えました。
 
引き続き、発電所で働く皆さんとは緊密な連携を図っていきたいと思います。
 

【市政報告会の様子】
 
さて、報告会とも関連するエネルギーの分野に関しては、ここ最近では関西電力の美浜発電所3号機の再稼働など、原子力発電でも軽水炉のことをお伝えをしてきた訳ですが、この7月30日には、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)の高温工学試験研究炉「HTTR」(茨城県大洗町、高温ガス炉、熱出力3万kW)が、約10年半ぶりに運転を再開しました。
 
「HTTR」は、2011年初頭の第13サイクル運転終了後、東日本大震災を挟み、新規制基準対応に伴い停止していたとのことですが、原子力機構では再開に向けて、2014年11月に新規制基準適合性に係る審査を原子力規制委員会に申請。
 
2020年6月に原子炉設置変更許可に至った後、安全対策工事が行われ、2021年7月に入り原子炉起動までに実施すべき検査を終了しこのほど運転再開し、今後は、運転状態において原子炉の性能を確認するための検査を順次実施、9月末には原子炉出力100%の状態での最終検査を行い本格運転となる予定とのこと。
 
これに関しては軽水炉と同じく、運転再開に向けて約10年の月日を掛けての原子力機構の皆さんのご尽力あってのものであり、心より敬意を表するところです。
 
「HTTR」、いわゆる高温ガス炉は、水素製造などの多様な産業利用の可能性が期待されており、開発に関しては、原子力産業分野の取組みの一つとして、「2050年カーボンニュートラル」に伴うグリーン成長戦略で、「2030年までに大量かつ安価なカーボンフリー水素製造に必要な技術開発を支援していく」とされているほか、7月21日に資源エネルギー庁が示した次期エネルギー基本計画の素案でも水素社会実現に寄与する有望性が述べられているもの。
 
「HTTR」の運転再開を受け、萩生田文科相は、「各種試験が順調に進み、高温ガス炉に関する技術が蓄積され、『HTTR』を活用した水素製造に係る要素技術開発を始め、各種分野への応用に向けた取組が進展することを期待」との談話を発表。
 
梶山経産相も、高温ガス炉が産業分野の脱炭素に資する可能性を述べたうえで、「カーボンニュートラルに向けた取組が進展することを期待」とのメッセージを寄せたとのことですが、こうした新たな技術の研究、検証を確実に進めていくことは、少資源国の我が国だから尚のこと、重要で必要なことと考える次第です。
 
原子力機構によれば、今後はより厳しい条件を付加した試験を段階的に進め、高温ガス炉に関する安全基準の国際標準化にも貢献していくとのこと。
 
こうして日本の原子力技術を将来に亘って活かしていくことを思えば、より一層安全性を高めた軽水炉建設を進めていくことも同義だと思う訳ですが、国としてはこちらはタブーのよう。
 
先の報告会でも述べたのですが、こと国の根幹に関わるエネルギー政策については、頭の中が「お花畑」のような夢物語では決していけないのであり、確実性を高めた真に現実的なものでなければならないとの思いが一人でも多くの方にご理解いただけるよう、引き続き自身の役割を果たしていく所存です。