2022年6月28日
議会は「言論の府」〜敦賀市議会6月定例会が閉会〜
「電力不足の国に将来はあるのか」
今冬に続き、昨日も心の底からそう思う事態が。
皆さんご承知の通り、昨日、東京電力パワーグリッド(以下、東電PG)供給域内での深刻な電力需給逼迫を巡り、経済産業省は同管内に「電力需給逼迫警報」を発令。
28日も電力の供給余力を示す供給予備率が5%を下回った場合に発令される「電力需給逼迫注意報」を継続すると発表しました。
また、東電PG、東北電力、北海道電力は29日についても、予備率が5%を下回る可能性があるとして、今年新設された「需給逼迫準備情報」を初めて発出する事態に。
私がさらに深刻だと思うのは、この事態は東電PG単独の話しではなく、複数のエリアで生じていることに加え、昨日も電力広域的運営推進機関(OCCTO)が、電気事業法第28条の44第1項及び業務規程第111条第1項の規定に基づき、東電PG供給区域の需給状況改善のため、13時30分、14時19分には東北電力ネットワーク(以下、東北NT)から東電PGに15:00から20:00の間、最大86.87万kW、20:00から24:00の間では最大134.63万kWを東北NT、中部電力パワーグリッド、北陸電力送配電、中国電力ネットワーク、四国電力送配電、九州電力送配電から電気の供給を行う旨の指示が出されこと。
つまりは、これだけのバックアップがあって何とかこの危機を乗り越えようとしている点にあります。
政府やメディアからは「節電」のことしか聞こえてきませんが、安定供給を死守すべく、現場で奮闘する「電力マン」のご尽力あっての今の電力供給であることを始め、恒常的な電力供給力不足に陥っている本質的問題は何なのかについてこそ追及し、責任の所在を明らかにすべきと考える次第です。
加えて申し上げれば、経済産業省の予測では、この夏よりも次の冬が一層厳しい需給状況とされています。
その冬に向けて供給力を増やさねばなりませんが、そう簡単に発電所が新設できないとすればやはり、手は既存の原子力発電所の審査を加速させるなど、1基でも多く稼働させることしかないと考える次第であり、「原子力を最大限活用」というのであれば尚のこと、政治がその姿勢を打ち出すべきと考えます。
このことは必ずやお伝えしたいと、ついつい前置きが長くなってしまいましたが、本題の敦賀市議会に関しては、昨日6月定例会が最終日を迎え、提出された全議案を可決、請願並びに陳情については全件不採択とする旨決し、閉会しました。
議員各位を始め、議案の準備から審査、審議に丁寧に対応いただいた理事者の皆さん、各部署の皆さん、そして何より運営を支えていただいた議会事務局の皆さん、大変お疲れ様でした。
次の令和4年第3回(9月)定例会は、9月5日開会、32日間の長丁場で開催されますので、これに至る期間を大切に、丁寧な活動報告に加え、ひとりでも多くの方の声、現場のリアルを把握のうえ、市政発展と課題解決に向け尽力する所存です。
さて、最終日の各議案採決の前には討論が行われる訳ですが、昨日私は第46号議案「令和4年度敦賀市一般会計補正予算(第3号)」について、自身の思いを込めて討論いたしました。
特に、市民の皆さんから様々な声のある「人道の港」関連については、世界的にも重要な役割を担う、敦賀にあった紛れもない史実であることを踏まえ、考えを述べた次第。
ついては、皆さんに知っていただければと、このブログでも討論での発言全文を掲載いたします。
議会は「言論の府」と言われます。
敦賀市議会が、その名に相応しき議会であり続けられるよう、引き続き議会の一員として尽力してまいります。
以下、討論発言全文。
市民クラブの山本武志です。
私は、会派を代表して、第46号議案 令和4年度敦賀市一般会計補正予算(第3号)の件について、委員長報告に賛成の立場で討論を行います。
まず、総務費における「庁舎整備事業費」9813万9千円については、3月定例会での議論の内容も踏まえ、EV急速充電器整備や10基のマンホールトイレ整備など、今後の庁舎使用における利便性や安全性などの機能向上を図るものとすることは理解するものの、市民及び職員からの改善要望に対応するための「庁舎改善工事」3千万円に関しては、現段階で詳細な実施項目までは確定していないとありました。相当数の要望事項の採用可否を今後検討していくとのことでしたが、市においては、優先順位の考えを明確にしたうえで、必要性や実施効果を十分に勘案しつつ実施事項の決定がされることを前提に認めるべきことにいたします。
次に、土木費における「駅西広場公園管理費」300万円については、本年9月に供用開始予定となる駅西公園に係る管理費用であり、とりわけ委員会審査でもありました芝生の管理に関しては、「当該エリアが敦賀駅前の一等地であるため、コストとクオリティを考慮したうえで、人の目で見てしっかりと管理していきたい」との市の考えは理解するものであります。そのうえで、今回、天然芝の部分で採用された「ティフトン」は、赤ちゃんが寝転んでも痛くないほどのフワフワとしたと高い回復力がメリットである一方、その繁殖力の強さ故、手入れに相当な手間を要することも特性のひとつとしてあります。市におかれましては、今後、今回提示された管理方法が適正か否かを検証するに留まることなく、現場実態を確認のうえ、「生き物(芝生)を大切にする」姿勢のもと、「市民の賑わいづくりの場」、「一等地のクオリティ」に相応しい管理方法を追求、対応いただけるよう求めておきたいと考えます。
次に、商工費における「人道の港敦賀事業費」904万9千円については、ゆかりの深いアメリカ、カナダへ使節団を派遣し、現地関係者との面談等を通じて、ネットワークの拡充及びアフターコロナを見据えた誘客促進を図るとありました。これに関しては、令和元年10月に同様の趣旨目的で訪米使節団が派遣され、渕上市長、当時の和泉議長始め6名が杉原サバイバーやユダヤ関係者との面談等を通じたネットワーク拡充が図られたところです。
前回の使節団以降、この事業を通じどれだけの誘客効果があったのかとの問いに対しては、私の調べたところでは、来館された主要な方は、前NY総領事・大使/現駐カナダ特命全権大使の山野内氏、そして5月8日には、米国ユダヤ人委員会(AJC)アジア太平洋研究所のシーラ・ローエンバーグ所長、ジェローム・ローゼンバーグ東京代表、ハナ・ルドルフ所長補佐かと認識しています。
コロナ禍であることを踏まえ、数の多い少ないはさて置き、山野内大使におかれては、来館に併せて開催された講演会の場で「これから赴任するカナダの方々との繋がりを広げること、また、敦賀にも行っていただけるよう呼びかけ、敦賀の希望に繋がる交流も行っていきたい。」とのお言葉があったほか、シーラ・ローエンバーグ所長からは、「中でも市民の証言は特に敦賀市民のやさしさが伝わる展示でした。 『一人の命を救う人は、世界を救う』というユダヤのことわざがありますが、まさしくムゼウムはそれにふさわしい展示をしています。敦賀を通って救われたサバイバーやその子孫を思うと、敦賀は偉大なことをした街であると考えます。」とのメッセージがありました。
さらに、5月28日には、タデウシュ・ロメル初代駐日ポーランド共和国大使に関するドキュメンタリー作品を制作するための取材チームがポーランドから来館され、ロメル大使と敦賀との関わりについて丹念に取材されました。作品は年明けに完成し、ポーランドの公共放送で放映される予定とあることや、6月22日には国連難民高等弁務官事務所のナッケン駐日首席副代表らが訪れ、副代表はご自身のツイッターで「ポーランド孤児とユダヤ難民の日本での最初の受け入れ地となった場所で、その歴史を世代を超えて語り継ぐために、ムゼウムの役割はとても大きいと感じました。世界平和のためには、このような取り組みが重要です。」と世界に発信されています。
私は、このように、既に世界に「敦賀」が果たした役割が伝えられること自体、大変大きな意義であり成果であると考えるとともに、世界各国から、敦賀にあった史実がこうして評価されることは、敦賀市民の誇りや活力につながること、人道でつながる関係をさらに深く、広く構築されていくことは、敦賀が世界のオンリーワンの港まち、国際都市として、今後発展していくための礎になるもの考えます。
ついては、混沌とする世界情勢の中にあって、人道の尊さが見直される中、このタイミングで使節団を派遣することの意味の重さ、即実性を求めるのみならず、中長期的な将来も見据え、敦賀の発展に向けて「種を蒔く」事業であるとの考えのもと賛成するものであります。
最後に、教育費の「食文化ストーリー創出・発信事業費」161万8千円については、先の反対討論において、議長が行く意味について考えが示されましたが、私は、二元代表制である市議会において、双方の長がともに行動をともにするということは、「市民の総意」をもって来られたと相手に理解されるものと考えます。
ついては、先の「人道の港敦賀事業費」の工程と合わせ、敦賀の「誇り」と「宝」である「人道の港」と「おぼろ昆布」を世界に伝えるため、市長並びに議長には、是非とも胸を張ってその役割を担ってきていただきたいと思います。
以上、縷々考えを申し述べましたが、本補正予算に挙げられている他の事業に関しても、コロナ禍における市民生活や地元企業を支援するもの、1年9ヶ月後に控える北陸新幹線敦賀開業関連の事業を含め、その必要性と妥当性があるものと評価をし、これをもって「第46号議案 令和4年度敦賀市一般会計補正予算(第3号)」の件について、委員長報告に賛成の討論といたします。
議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。
【閉会後の議場。次の定例会開会は9月5日となります。】