英が新たなエネルギー戦略。原子力発電所は今後最大8基を新設。

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福井県は昨日、杉本知事による会見を開き、独自に発令中の新型コロナウイルス感染に関わる「感染拡大特別警報」を期限の4月10日で解除し、11日から「警報」に切り替えると発表しました。
 
警報の期間は4月24日までとしており、入院患者数は減少傾向にあるとしつつ、一方で新規系統・新規感染者数は再び増加する兆候もあるとの見解を示しています。
 
特別警報から警報に引き下がったとしても、個々人の対策は変わらないかと思いますが、新学期も始まる中、これまで複数の保護者の方から聞いていた部活動に関しては、全ての部活動について感染対策を徹底したうえで、平日の時短解除、土日の部活動を解禁するとあったことにやや安堵。
 
今後も貴重な子どもたちの成長機会をコロナで奪ってしまうことのなきよう、収束方向に皆で努力していければと考えます。
 
さて、話題をガラリと変えますが、危機に直面し、現実的且つ迅速にエネルギー政策の舵を切る欧州各国ですが、またまた英国が新たな考えを発表。
 
英政府は、2030年までに原子力発電を大幅に拡大することを柱とする新たなエネルギー戦略を7日までに発表。
 
ロシアのウクライナ侵略や世界的なエネルギー価格高騰を背景に電力の自給を高めることを目指すとのことで、新戦略では、2030年までに最大8基の原子力発電所を新設し、2050年に予想される電力需要の25%を原子力で賄う計画とし、従来型よりも安全性が高いとされる次世代炉の「小型モジュール原子炉」を中心に新設するとのこと。
 
英政府統計によると、総発電に占める原子力発電の比率は2020年時点で16%とありますが、現在稼働中の原子力発電所は2030年代半ばには全て操業期間を終え、停止する可能性が高いため対策を急ぐとし、新規建設や技術革新で1割ほど引き上げるのが狙い。
 
建設地として、既に工事に入っている英南西部ヒンクリーポイントや、日立製作所が事業運営から撤退したウェールズのアングルシー島などの名前が挙がっており、英政府の採る政策は現状、さらに今後のエネルギー安全保障と国益を最優先するものと受け止める次第です。
 

【建設中のヒンクリーポイントC原子力発電所(2020年:Bloombergより)】
 
振り返って、状況が英と全くもって同じように思える我が日本。
 
ちょうど昨日知ったのは、経済産業省が原子力発電所の機器などの部品を生産する日本企業の海外展開を支援するとのニュース。
 
原子力発電所を建設する企業とのマッチングや現地で使うための規格取得を後押しする検討に入ったとのことですが、その背景には、国内で原子力発電所の早期建設は見込めず、官民で目指してきた原子力発電所全体の輸出も頓挫したことなどを受け、部品の輸出支援に政策を転換し、国内の原子力産業の維持を目指すと記事にはありました。
 
「国内で原子力発電所の早期建設は見込めず」とありますが、昨年10月のエネルギー基本計画策定段階で有識者や経団連など各団体、立地地域、立地議会などからあれほど「新増設・リプレース」の必要性を求める意見(原子力人材や技術の維持の観点を含む)があったことを「完全無視」し、一言も計画に書き込まなかったのは紛れもなく国であり、今回の件を聞き、思わず「何を言っているのか」と口に出してしまいましたが、根本的な問題に目を伏せ続けたうえのこの施策に呆れる次第です。
 
例えて言うなら、自動車産業で同じことを行った場合に、国内のトータルでの自動車製造システムや技能・技術はどうなるのか、優秀な国内技術の流出に加え、世界に誇る日本のものづくりを支えてきた現場の高いマインドまで失われやしないか。
 
これは原子力産業とて同じなのであります。
 
眼前の危機に世論を恐れず政策転換する欧州各国に対し、危機と分かっていながら世論の反発を恐れて(選挙を意識して)判断しない日本。
 
原子力発電の取扱いのみならず、問題が顕著化している電力システムを含めた見直し論議から逃げ続けた先にあるのは、国家全体の大きな代償であり、そうなってから嘆いても取り返せるものではないことだけは明らかであります。
 
「国民性だから」では看過することの出来ない局面であり、ここで判断しないことの影響は後々大きく響くものと強い危機感を覚える次第です。