2021年10月3日
夢物語、幻想の「再エネ100%」
9月定例会閉会後、最初の週末は快晴。
まずは滞っていた家のことをと、外では草むしり、中では書類の分別と、身の回りの整理を行いました。
当たり前のことながら、整理整頓をするというのは、気持ちの整理にもなるということで、心もスッキリ。
常にこのような状態にしたいものです。
そしてこの日、14時からは美浜町生涯学習センター「なびあす」で開催された「嶺南原子力フォーラム」に出席。
本フォーラムを主催する実行委員会・発起人代表は、山口治太郎前美浜町長で、敦賀、美浜、大飯、高浜の原子力発電所立地地域の議員を始め、関係者の皆さんにお声掛けされ開催されたとのことでした。
冒頭、山口前町長、先般、自民党国対委員長に就任された、地元選出の高木毅衆議院議員よりご挨拶があり、お二人の切り口はやや異なるものの、今後も日本には原子力発電が絶対に必要と、力強くお話しされました。
また、その後は、東京大学公共政策大学院特任教授の有馬純氏より、「カーボンニュートラルを巡る内外動向と原子力政策の課題」と題した基調講演を拝聴。
パリ協定の仕組みから始まり、世界各国の地球温暖化対策の状況、日本の2050年カーボンニュートラルや2030年CO2排出量46%削減(2013年比)の位置付けやコストの問題、そして第6次エネルギー基本計画案についてなど、多岐に亘る内容を要点を絞ってお話しいただき、改めて置かれている環境と自分の考えの正当性を確認することが出来ました。
こちらは、これまでのブログでも取り上げてきたことではありますが、とりわけ、
◉カーボンニュートラルを目指す欧米は「使える脱炭素オプションを総動員」していること
◉同じく、カーボンニュートラルを目指す国の中には原子力発電を将来に亘って活用する国の割合が高く、「脱原子力は国際的潮流ではない」こと
◉第6次エネルギー基本計画策定論議の過程であった、2050年カーボンニュートラルに向けた複数シナリオのうち、「再エネ100%」は、現状より電力コストが約4倍に跳ね上がるため「夢物語」であり(他のシナリオでは約2倍)、エネルギー安全保障の面からいっても「幻想」に過ぎないこと
◉脱炭素化に向けては、原子力の活用と新増設・リプレースが必要
◉原子力利用のためには、「核燃料サイクルと「最終処分」が不可欠であること
以上の点は事実に基づく内容であり、改めて認識を強めておきたいと思います。
また、まとめでは、
◉国内資源を有さず、海外との連携線を持たない日本は、脱炭素化のために持てるオプションは全て使うべきであり、国産技術である原子力の長期活用は、エネルギー安全保障、温暖化防止、経済効率の面で合理的な手段
◉「40年上限」の規制見直し、「原子力依存度の可能な限り低減」の方針見直し、原子力の新増設をオプションとして位置付けるべき
◉「原子力」か「再エネか」の不毛な二者択一論から脱却すべき
※原子力推進の方で再エネを否定する人は聞いたことがないが、再エネを推進する方は、ほぼ原子力を否定する
◉放射線廃棄物の最終処分は不可欠で、これまで原子力発電を利用してきた現代世代の責任
「エネルギーの議論を不健全にしている」二者択一論から脱却しなければとの言葉もあり、全くもって共感。
自分自身も決して「再エネ否定論者」ではなく、追求するのはあくまでも「現実的なエネルギーミックス」であることを理解いただかなくてはならないとも感じた次第。
【基調講演にて、ポイントを分かりやすく説明される有馬教授】
こうして基調講演も終わり、最後には、新増設・リプレースを含むエネルギー政策の修正を今後も求めていくこと、原子力立地の立場からも理解醸成など、最終処分の問題に関して取り組みを進めることなどを含むアピールが提案、拍手をもって採択の後、閉会となりました。
世界の潮流の話しを思えば、先日は、中国政府が環境対策として、石炭を主燃料とする火力発電所の抑制に動いたことが主な要因で、全国の約3分の2の地域で電力供給の制限が実施される異常事態となっていることや産業活動にも大きな影響が出ているとのニュースがありましたが、欧州では、冬の需要期を控え天然ガス価格が高騰し、消費者の生活や電力会社の経営を圧迫しているとのこと。
気候変動対策を強化する欧州諸国で脱炭素化が進む中、CO2排出量が比較的少ない天然ガスの需要が急速に拡大しましたが、主な供給元であるロシアが天然ガスの輸出を制限しているとの疑惑も広がっており、欧州は新型コロナウイルス禍から経済を回復させる計画が狂いかねない事態に直面しているとあります。
基調講演でもあったよう、多くの欧州諸国はCO2の排出量が多い石油や石炭から脱却する過程で、発電燃料を天然ガスに切り替え、風力発電などの再生可能エネルギーの活用を増やしている状況にあるものの、イギリスなどでは最近穏やかな天候が続き、風力発電が十分に機能せず、その不足分を補うために天然ガス発電で対応しており、その影響で9月に入り、価格が急騰。
新型コロナ対策の規制緩和により、電力使用料が増えたことも価格を押し上げる要因となったようです。
こうした状況は、対岸の火事ではなく、この日本でも、このままのエネルギー政策では起こり得ることでもあります。
そう思えば、カーボンニュートラルを目指し、「使える脱炭素オプションを総動員」する欧米でもこのような状況となるのに、主力化どころか2050年「再エネ100%」を目指すとする政策を打ち出した政党がありました。
第6次エネルギー基本計画策定論議の中でも、先に述べたコスト或いは安全保障の関係などから「論外」とされ、有馬教授の言葉を借りれば「夢物語」であり「幻想」の「再エネ100%」。
掲げるのは自由ですが、達成への道筋やS+3Eの同時達成をどう考えるのか、是非聞いてみたいものです。
この先行われる衆議院選挙において、この福井2区、とりわけ嶺南地域においては、エネルギー政策が大きな焦点になることから、立候補される方、所属政党の考えのどちらが現実的か、しっかり見極めていかねばなりません。
最後は横道に逸れましたが、昨日お聞きしたポイントを今一度念頭に置き、自身もエネルギー政策に対する国民理解の一助となるよう、微力ながら尽力していきたいと考えます。