2021年10月12日
北朝鮮拉致問題に対する断じて許されざる発言
「時間は作るもの。時間がないことを出来ない理由にするな」
社会人になってから様々な場で、幾度となく耳にした言葉ですが、それにしても今回ばかりはそれを言うのも気の毒に思うもの。
昨朝出勤する際、町内の路肩に軽トラが停車し何やら作業をしていたためその先を覗くと、何と衆議院選挙用のポスター掲示板を設置していました。
今回の首相就任から解散までの期間10日は、1954年12月10日に就任、翌55年1月24日に解散した第1次鳩山一郎内閣の45日を大幅に下回る最短記録であるとともに、10月14日の解散から19日の公示まで5日、31日の投開票まで17日間の短期決戦は、これまた現行憲法下では1983年第1次中曽根内閣での20日を抜き最短となるそう。
こうして過去最短の選挙日程となる中、常在戦場で当事者である候補予定者の皆さんはさて置き、気の毒に思うのは自治体職員。
先日、とある市の職員さんと話すとやはり、過去最短のタイトなスケジュールに大変苦慮しておられ、今回の掲示板設置も解散してからでは間に合わないことから、苦肉の策として、どの選挙かを示す部分(掲示板の右側)は目隠しをして事前の設置作業を行うとしたところ。
また、各配布物を始め、何と言っても投票所などへの職員さんの人員配置、投票立会人の選定など、準備することが目白押し。
それでも「時間がない」などの言い訳はなく、「やるしかない」との思いで準備に当たられる様子がお話しからも伺ってきた訳ですが、「過去最短」の裏で、こうして庁内横断的に対応をされている自治体職員がいらっしゃることを少し念頭に置いていただければと思うところです。
さて、昨日の話題としては、ここ福井県では、14日をもって新型コロナウイルスの注意報、警報を全面解除するとの明るいニュースがあった訳ですが、書き留めておきたいのは、北朝鮮拉致問題に関する国会議員の許されまじ発言について。
その発言とは、立憲民主党の生方幸夫衆院議員(比例代表南関東ブロック)が、9月に千葉県松戸市で行った会合で、北朝鮮による日本人拉致問題について「日本から連れ去られた被害者というのはもう生きている人はいない」、「横田(めぐみ)さんが生きているとは誰も思っていない。自民党の議員も」としたうえで、「拉致問題、拉致被害者は今、現在はいないと捉えられる、政治家は皆そう思っているということ」などと発言したとのこと。
また、死亡の根拠について問われると、「客観的情勢から考えて生きていたら(北朝鮮は横田さんを)帰す。帰さない理由はない」と説明。
「生きているのだったら何かに使いたい。1回も使ったことがないですから、残念ながら亡くなってしまっているから使いようがない」などと主張したほか、2014年の日朝首脳会談で北朝鮮が拉致を認めて謝罪し、帰国した5人の被害者について、北朝鮮に一度返すとした約束を日本側が守らなかったとし、「首脳同士で話をして決めたことも守らないなら、それはだめなのではないか」と述べたうえで、「日本国内から連れ去られた被害者は、生存者はいないのだと思う」と重ねて主張したとあります。
これに対し、家族会などによる抗議声明では「生方議員は人の命に関わる重大な人権問題について、日本政府の基本的立場を否定して、北朝鮮の主張に賛同している」と批判。
生方氏が所属する立憲民主党に対しては、「生方議員発言を党としてどう考えるのか、ぜひお聞かせ願いたい」としています。
また、拉致被害者家族会と支援組織「救う会」は11日、発言の取り消しと謝罪を求める抗議声明を出しており、声明では「すべての拉致被害者の救出のため心血を注いできた被害者家族、支援者、被害者自身の生命に対する重大な侮辱であり冒涜だ」と強く非難しています。
日本政府は〈被害者の「死亡」を裏付けるものが一切存在しないため、被害者が生存しているという前提に立つ〉(政府拉致対策本部「すべての拉致被害者の帰国を目指して ―北朝鮮側主張の問題点―」)という基本的立場に立っている。
生方議員は人の命に関わる重大な人権問題について、日本政府の基本的立場を否定して、北朝鮮の主張に賛同している。その上、自民党議員を含む関係者が皆生存者がいないと思っていると断定して、関係者の名誉を著しく傷つけている。
生方議員のこの発言は、すべての拉致被害者の救出のために心血を注いできた拉致被害者家族とその支援者また被害者自身の生命に対する重大な侮辱であり冒涜だ。
強く抗議する。発言の取消と謝罪を求めたい。
→→→救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)の声明文はこちら
全くもって、私もこの抗議声明と考えをともにするものであります。
奇しくも昨日11日行われた衆院本会議の代表質問で岸田首相は、北朝鮮による日本人拉致問題について「全ての拉致被害者の1日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組む。私自身、条件をつけずに金正恩朝鮮労働党総書記と直接向き合う決意だ」と答弁で述べた訳ですが、この生方氏はどういう気持ちで聞いていたのか。
横田めぐみさんの母、早紀江さんは「怒る気力もない」と落胆をあらわにしたとありましたが、心中をお察しするとともに、日本人が一致団結せねば取り返せぬこの問題、しかも早紀江さんを始め、ご家族の高齢化により「時間がない」状況にあることを思えば、北朝鮮に加担するような発言や姿勢は一切禁ずべきものと強く思うところであります。
その後、生方氏は11日午前に自身のツイッターで謝罪したそうですが、SNSで詫びて済む問題ではありませんし、発言が消えるわけではありません。
また、所属政党である立憲民主党の枝野幸男代表は、「大変間違った発言。私も大変驚愕し、激怒している」と述べ、拉致被害者や被害者家族、関係者に「党を代表し深くおわび申し上げる」と謝罪し、生方氏を厳重注意したとのことですが、厳しい処分や次期衆院選の公認見送りの可能性については、「まず、関係者に党としても本人としてもお詫びをすることが一番大事だ」と述べるに留めたとあり、断固たる態度でまでは示していません。
これでは、次期衆議院選挙でも、政党名をひた隠して選挙を戦おうなどと姑息な手段を考える陣営が一層、その戦略を強めることでしょう。
(政党政治あるが故、本来あるまじき戦略ですが)
政党のことはさて置き、繰り返しとなりますが、相手を利するこうした問題発言は、日本国民として許されざるものであるとともに、今一度この問題を「拉致被害者全員を返せ!」を国家の総意として示し、強い姿勢で北朝鮮に挑まねばならないと考える次第です。
そして、日本が抱える、決して風化させてはならない問題のひとつがこの拉致問題であることを最後に申し上げ、本日のブログを閉じさせていただきます。
【以前に参加した拉致被害者集会チラシ(奥に映るのがめぐみさん)とその意思を示す「ブルーリボンバッジ」。このバッジとともに、その意思はいつも私の胸にあります。】