今ある資源を活かす最たるものは「原子力発電」

ブログ 原子力

燃油価格や物価は高騰、電力や水は不足と、日本経済にとってマイナス要因は尽きませんが、考えてみれば元々あった新型コロナウイルス感染の影響にウクライナ情勢もあって、ダブル、トリプル、さらにもう一発とパンチを打ち込まれている気がしてならない今日この頃。
 
そうした中、トヨタ自動車が29日に発表した5月の国内生産台数は前年同月比28.5%減の14万4204台で、3ヶ月連続で前年実績を下回り、減少率は1月(32.2%減)以来の大きさとのこと。
 
今度は、世界的な半導体不足や、新型コロナウイルス対策の中国・上海のロックダウン(都市封鎖)による部品調達難で減産を強いられたとあり、ここでも「不足」の文字が浮かぶところに、こうした部品の国内生産化、いわゆる自給率を高めることが重要性と考える次第です。
 
さて、「不足」と言えば、連日の記載でしつこいと思われるかもしれませんが、昨日だけでも「8度」に亘る電力供給指示が電力広域的運営推進機関(OCCTO)から発出された東京電力パワーグリッド(以下、東電PG)管内での電力需給逼迫。
 
昨日の最後、17時17分に出された指示を見ると「東電PGは、東北電力ネットワーク、中部電力パワーグリッド、北陸電力送配電、中国電力ネットワーク、四国電力送配電から6月29日の18:00から24:00の間、最大87.64万kWの電気の供給を受けること」とありましたが、一昨日も然り、その理由は「高気温により想定以上に需要が増加したことにより、東電PGエリアの供給力が不足し、最終的な需給調整手段となる揚水発電所の電気を大量に使用することにより、上池水量が枯渇し、需給ひっ迫に至ることが想定されたため、広域的な融通を行い上池水量の維持および回復を図ったものです。引き続き断続的に需給ひっ迫融通等を活用しながら上池水量を維持および回復する場合があります。」とありました。
 
つまりは、3月22日の需給逼迫の際、100%を超えているのに停電しなかった仕組みとして挙げられた、最終手段の「揚水発電」に必要な「水」を夜間の余剰電力を使ってポンプアップし、上池に溜めておくということを意味するものです。
 
実はこのシステムは、原子力発電がベースロード電源としてフル活用されていた際は、原子力の夜間余剰電力を用いて行われ、東電PGに関しては、福島第1並びに第2、そして当時、ひとつの発電所としては世界最大の出力を有していた柏崎刈羽がその役割を担っていた訳ですが、今やこうして他電力から電力融通を受けてポンプアップ(揚水)していることを、どこか虚しく感じた次第です。
 
加えて言えば、揚水発電所は「最終手段」としてではなく、昼間も使用していた訳であり、言わば、震災以降の11年で発電所の持つ機能や役割さえも変えてしまったと言わざるを得ないところ。
 
このような環境に追い込まれていることを考える矢先、28日には電力各社の株主総会が開かれ、東京電力ホールディングスの株主総会では、株主から「そもそも発電能力が足りていないのではないか」などの足元の電力需給に対する不安や不満の声が相次いだとのこと。
 
また、株主の東京都が休停止中の発電所の再稼働による、電力の安定確保を定款に明記することを求める議案を提案したほか、他の株主からも原子力発電所の再稼働など電力供給力の増強に関する質問が相次ぎ、電力の安定供給に対する関心は高まっているとありました。
 
エネルギー危機でそれどころでなくなっている「脱炭素」ですが、原子力発電は確立した脱炭素電源、純国産電源であり、少ない燃料で大きな出力を発電出来る電力の安定供給に寄与する存在です。
 
こう考えれば考えるほど、使える原子力発電所を眠らせたまま、需給逼迫だ節電だとあたふたする姿は、いかに滑稽か。
 
世界の国々は、この日本の姿をどう見ているのか。
 
中国やロシアや北朝鮮は、しめしめとほくそ笑んで見てると思うのは私だけでしょうか。
 

【昨夕の野坂の麓。沈む夕日を見て思うのは、この頃には役に立たなくなる太陽光発電。再エネか原子力かの不毛な二項対立から一刻も早く脱しなければ、日本は三流国に転落するとまで考えるのは私だけではないはず。】