2021年11月29日
オミクロン株の位置付けを「懸念すべき変異株(VOC)」に変更
前日の天気から一転、終日青空が広がった日曜日。
早朝の散歩で眺める野坂山は、頂上付近が薄らと白くなっており、北陸の冬がすぐそこまで近づいてきていることを感じました。
敦賀の慣習で「野坂山に3回雪が降ったら市内にも降る」と良く言われますが、今年はそうなる前に冬支度。
今週からは12月に入ることもあり、我が家の車もタイヤ交換。
ひとまず装備は安心の状態となりました。
自分が交換したから言うようで恐縮ですが、まだ終えられていない方は、不意の降雪に備えお早めの交換を。
【頂上付近(左端の三ノ岳付近)が薄らと白くなった野坂山】
さて、県内では新規感染者「ゼロ」が続く新型コロナウイルスですが、突如として現れてきたのが新たな変異株「オミクロン株」。
南アフリカで確認されたこの変異株は、既にイギリスやドイツでも感染者が確認されており、各国で規制強化がされるなど世界的に緊張感が高まっているところです。
日本においては、11月26日に国立感染症研究所(NIID)がこの変異株を「注目すべき変異株(VOI)」として位置づけ、監視体制の強化を開始していましたが、28日には国外における情報と国内のリスク評価の更新に基づき、オミクロン株を「懸念すべき変異株(VOC)」に位置付けを変更しました。
ニュースの見出しを見ると「オミクロン株の警戒度、日本も最高レベルに」などとありますが、実際にはこのように2段階の監視レベルを上位に移行したとの表現が正しいのかと思います(2段階の上位なので「最高レベル」で間違いではないのですが)。
こうして「最高レベル」と伝えるニュースやテレビでのコメンテータの発言を見るに、どこか不安を煽るような表現となっている気がしてならず、とかく感染症に関しては事実を淡々と伝えられないものかと思ってしまう訳ですが、そこでやはり大事なのは「確実な情報ソースを自分で確認」すること。
早速昨日もNIIDのホームページを確認すると、オミクロン株に関しては概略以下のように報告がされていました。
【オミクロン株について】
オミクロン株に共通するスパイクタンパク質の変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。nsp6における105-107欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある。ヌクレオカプシドタンパク質におけるR203K、G204R変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性を高める可能性がある。
※記号の意味合いまでは分からずとも性質は大体把握できる。
【海外での流行状況と評価】
◉2021年11月27日時点で、南アフリカで77例、ボツワナで4例、香港で2例、イスラエルで1例、英国で2例、イタリアで1例、ドイツで2例、チェコで1例が確認されている。
◉南アフリカにおいては、ハウテン州のCOVID-19患者数が増加傾向にある。南アフリカでは、公共の場での常時のマスク着用、夜間の外出禁止、飲食店の時短営業、集会の人数制限、酒類の夜間販売停止等の対策が継続されていた。
◉南アフリカハウテン州で2021年11月12日から20日までに採取された77検体すべてがB.1.1.529系統(オミクロン株)であった。11月以降に遺伝子配列が決定された新型コロナウイルスの検出割合では、B.1.1.529系統が増加傾向で、2021年11月15日時点では75%以上を占めていた。
◉香港で報告された2症例のうち1例は2回のワクチン接種歴があり、10月下旬から11月にかけて南アフリカへの渡航歴があり、症状はなかった。別の1例はカナダからの帰国者で、2回のワクチン接種歴があり、上記の症例と同じ検疫隔離用ホテルの向かいの部屋に滞在しており、発症を契機に検査を受け、陽性が判明した。
【国内での検出状況】
ゲノムサーベイランスでは、国内及び検疫検体にB.1.1.529系統に相当する変異を示す検体は検出されていない(2021年11月27日時点)。
【評価】
オミクロン株については、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだなく、また、疫学的な評価を行うに十分な情報が得られていない状況である。年代別の感染性への影響、重篤度、ワクチンや治療薬の効果についての実社会での影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。
◉感染・伝播性への影響
南アフリカにおいて流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されていることから、オミクロン株の著しい感染・伝播性の高さが懸念される。
◉免疫への影響
オミクロン株の有する変異は、これまでに検出された株の中で最も多様性があり、感染・伝播性の増加、既存のワクチン効果の著しい低下、及び再感染リスクの増加が強く懸念される。
◉重篤度への影響
現時点では重篤度の変化については、十分な疫学情報がなく不明である。
◉診断への影響
国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。
オミクロン株は国内で現在使用されるSARS-CoV-2PCR診断キットでは検出可能と考えられる。
そして最後に【基本的な感染対策の推奨】
個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される。
NIIDによる情報を見る限り、自分でできることは、このような事実と状況に注視をし、従来通りの感染対策を徹底するに他ならないと思う訳であります。
コロナ初期に水際対策で失敗したと言われる日本ですが、政府においては同じ轍は二度と踏まない覚悟で対応いただくとともに、公的立場にある者は特に、正しき情報を正確に伝えることに徹しないといけないと思う次第です。
要らぬ誹謗中傷や偏見を生まぬためにも、感染症の基本は「正しく怖がる」こと。
新たな変異株「オミクロン」を前に、過去に経験したことを生かし、今一度実践あるのみと考える次第。