2019年12月16日
「認知症ほっとけんまち敦賀」のチャレンジは続く!
12月定例会の一般質問で取り上げた「認知症みまもり対策」(ひとり歩き、行方不明対策)は、私が住む町内の方の経験談や自身の体験をもとにし、GPSを活用した早期発見対策の取り組みを要望したもの。
認知症に関しては、敦賀市が先進的に取り組みを進めているように、「地域全体で支え合う」ことが大変重要と私自身も考えるなか、昨日は、市民公開講座「安心して暮らせるまちづくりをめざして」と称して開催された「認知症サポーター養成講座」に参加してきました。
敦賀市の取り組みが浸透していることを物語るように、会場のあいあいプラザ1階ホールはほぼ満員。
多くの方の参加から、関心の高さを肌で感じました。
認知症の基本知識に関しては、嶺南認知症疾患医療センターの玉井先生から、敦賀市の取り組みと新たなチャレンジに関しては、市長寿健康課の寺川保健師から、熱のこもった分かりやすい説明がありました。
少し長くなりますが、講座にて伺った貴重な話しを共有する観点から、以下議事メモ的に記載します。
【認知症を理解するための基礎知識〜予防と早期発見、そして共に暮らしていくために】ー玉井先生ー
(1)認知症の取り組み経緯と
・認知症に関する国家戦略として2015年にオレンジプランが示される。
・国内の認知症者数は462万人。
・福井県はオレンジサポーター人数が全国2位。敦賀は啓発が盛んなまちとして有名。
・嶺南地域においては、発症の疑問から1年以内に8割の方が相談しにきている。
・認知症のことを隠しておくことやどこに相談していいかわからないというのもゼロ。
・認知症であるかどうかは、血液検査で分かるようになっている。
(2)認知症の種類
・認知症は脳の病気であり、誰でも発症する可能性がある。
・認知症の種類は原因によって大きく3つに分けられる。
・いわゆる「脳の中のゴミ」は、睡眠で解消されるため睡眠が大事。
・寝る時間より起きるタイミングを大切に。眠くなったらベッドに行く習慣が良い。
<種類ごとの特徴>
①脳にゴミの溜まる認知症
・前頭葉(アイデアが浮かばない)、海馬(物忘れ)、頭頂葉(迷子)の特徴あり、
・運動神経の症状は出ない。目も耳も運動も大丈夫。
・扁桃体、臭いのセンサーにはゴミが溜まらない。嗅覚を働かせることが大事。
・嫌なことばかりが記憶に残る可能性があるので、あまり怒ってはいけない。
(前頭葉)アイデアが浮かばない、二つのことを同時に処理できない、頭の切り替えや段取りが出来ない、ミスが多くなる、何でも人に頼るようになるなど。
(海馬)の障害は記憶の保存装置が壊れるため、新たなことは記憶されない。
(頭頂葉)立体的な感覚、距離感が分からなくなる、転倒が増える、徘徊(行動障害)につながる。
②血管障害の認知症
・やる気がなくなる(意欲低下)、感情を抑えられない、段取りが悪くなる。
③間接的に脳が障害される認知症
・内科的な病気。糖尿病は脳にも影響する。
・頭部の病気。正常圧水頭症(歩行障害、尿失禁、認知症)
・慢性硬膜化血腫。
加賀で認知症アジア会議が開催されるが、啓発の盛んなまち敦賀から色んなことを発信していきたい。
【笑顔あふれるまちづくり 〜認知症ほっとけんまち敦賀のチャレンジ〜】ー寺井保健師ー
敦賀市においては、①皆んなで学び、偏見なくして、②気軽に相談、③皆んなで見守り、支援の輪を広げることをキャッチフレーズとして、様々な取り組みを進めている。
◉敦賀市の高齢化の話し
・2000年から2019年で人口は3,000人減、高齢者人口は6,000人増。
・介護認定者は2.8倍になっている。
・介護要因の一番は認知症(全体の2割を占める)
・認知症になった時に家族や近隣、地域の人は助けてくれるかという不安が大きい。
・受け入れてくれる人、伝えられる相手がいることが大事。
<敦賀市の主な取り組み>
(1)認知症カフェ
・敦賀つながり、オレンジカフェだんね、オレンジカフェどんぐり、ぬくもり温泉カフェなどがあり、ミニ講話や映画上映、脳トレ、つるが元気体操などを実施。
・情報交換、交流・つながりの場、認知症相談の場となっている。
・敦賀市オリジナルの認知症教育映画「やさしく」の意味〜おばあちゃんは認知症だった〜は、市内の小学生が書いた作文を映画化したもので、教育映像社会教育部門の優秀作品賞を受賞した。
(2)認知症サポーター養成講座
(小中学校を対象に)
・今年10校以上で開催。生徒の殆どは、認知症が脳の病気であることを知っている。
・生徒による施設訪問やオープンスクールでの発表など学校独自の取り組みに展開。
(職域・団体を対象に)
・認知症サポーターを増やすことを呼び掛け。
・特に、認知症で困っているお客さん対応や地域で接する人が多い職域や団体に理解が深まっている。
(3)敦賀みまもりネットワーク
・早期発見、保護につながる地域ネットワークづくり。登録数100名、協力機関は154機関にも昇る。
(4)認知症対応模擬訓練
・地域全体での支援を高める意味から、対応する際の訓練を町全体に展開。
・他人事でなく自分ごととして捉えられるようになった、意識の変化ありとの声あり。
・認知症に優しいまちづくり、自分はどう考え、行動するか、皆んなで見守ることが大事(参加者の声)
(5)認知症ほっとけんパス
・認知症の進行度や症状に応じて、本人や家族が相談できる場所などを分かりやすく1枚(A3版)で記載。大変分かりやすい!
⑥サポート体制
・「地域包括支援センター」を市内に3ヶ所設置。総合相談支援、自立した生活を支援、高齢者の権利を守るなど、多方面から支援している。
・「嶺南認知症疾患医療センター」、「かかりつけ医」
・「認知症初期集中支援チーム」は、連絡を受けた後、訪問により本人・家族に聞き取りをし、チーム員会議により対応方法を確認のうえ支援を開始。ある程度の目標が達成できれば初期集中チームから医療機関などに「支援をつなぐ」。
・敦賀市では、この10年間で見直しをしながら支援を広げてきた。
・さらなる住民によるサポート体制を整備すべく、「認知症サポーターステップアップ講座」を令和2年1月30日(木)13:30〜15:30よりあいあいプラザにて開催予定。
・サポーターが考案した活動、他職種、他世代のサポータチームでつながった案をもとに活動!新たなチャレンジ宣言!
・笑顔あふれるまちづくりに向け、「認知症ほっとけんまち敦賀」のチャレンジは続く。
・地域住民同士がつながることほど強いものはなく、継続出来ることはない。
共有メモは以上となります。
一般質問前にも認知症の取り組みについては把握したところですが、本講座により改めて経過や体系的に取り組みを進めていることが理解出来ました。
先進的に進めている敦賀市でありますが、市が牽引役となり、地域とともに支援の輪を進めていくとの強い思いも感じることが出来、大変有意義な時間となりました。
これからは、私も地域の一員として、認知症サポーターのひとりとして、ますます高まる認知症支援の取り組みに参画していきたいと思います。