2022年5月18日
「嶺南原子力フォーラム」にて「石川和男氏」のご講演を聞く
最近は、ロシアの軍事行動のせいか、どちらかと言えば暗い話題が多い中、昨晩は胸の澄くような話しを聞く機会がありました。
その機会とは、美浜町生涯学習センター「なびあす」で開催された「嶺南原子力フォーラム」での講演。
同フォーラムとしては2回目となる「勉強会」では、元通商産業省(現経済産業省)、現在は社会保障経済研究所代表をお務めの石川和男氏をお招きし、「世界におけるエネルギー危機と原子力の必要性」と題した講演を拝聴しました。
この石川和男氏に関しては、日テレ系の「スッキリ」やフジ系の「ネプリーグ」などの番組に出演しているほか、最近ではBSテレ東で「危機のカナリア」というご自身の冠番組を持たれるなど、メディアにも登場していることから、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、私は常日頃から石川氏のTwitterをフォローしており、エネルギー関連の話題を中心に、切れ味鋭い、至極真っ当な意見を主張されているのを拝読しているところ。
開演前には控え室に出向き、直接ご挨拶をさせていただきましたが、番組やTwitter通りの明るく屈託のない方で、暫し談笑もさせていただいた次第です。
ご講演では、まずロシアとの関係に触れ、我が国の原油やLNG、石炭の輸入におけるシェア、先進国のロシアへの依存度について説明があり、石炭輸入の48%をロシアが占めるようなドイツでは、現実問題として切っても切れない関係にあることに始まり、日本のエネルギーミックス目標や3月22日にあった東京電力ホールディングス管内であった電力需給逼迫関連では、圧倒的に供給力が不足する環境において原子力発電を早期に再稼働させるべきと力強く主張されました。
また、電気料金高騰や再生可能エネルギーへの「規制的資金移転」(制度設計に伴う国民負担)の問題に加え、最後には、オイルショック以降の世界のエネルギー供給の推移では、1973年当時、24.8%あった原油のシェアが、2918年では2.9%となっている点を例に、エネルギーの世界は長い時間を掛けて変化するものであり、拙速に変化させようとすることはスローガンとしては良いが、現実的ではないとの意見には大いに納得した次第です。
なお、強く再生可能エネルギーの優位性を主張する勢力は何故か「1+1」の答えが3や5になるとし、つまりは太陽光発電の出力を原子力発電所1基分相当などと例えるのは、瞬時の発電量と容量とを履き違えた全くのデタラメであり、科学の世界は「1+1=2」でしかないと仰っていたことも印象に残りました。
これを裏付けるかのように、少ない燃料、小さい面積で大容量のエネルギーを生み出すことの出来る原子力発電の優位性(例:110万kw級の原子力発電所1年分と同じ発電量を得るためには、太陽光だと山手線一杯、風力では山手線の3.4倍の面積が必要)も述べられましたが、まさにこうしたそれぞれの特性を理解した中で、資源の少ない我が国におけるエネルギーミックスを考えないといけないとの言葉に、深く頷いたところです。
こうして約75分間のご講演、その後の質疑でのご回答も含め、我が国のエネルギー事情の本質的な課題を突いた、歯に衣を着せぬお話しは、会場の共感を呼ぶ内容であったと感じた次第。
【講演中の会場の様子】
現在は、経産省の大臣官房臨時専門アドバイザーも務める石川氏ですが、このエネルギー危機に対応していくには、理想論は全く役に立たない訳であり、現実論をストレートに述べるこうした有識者の存在が益々重要になると考えます。
石川氏の今後引き続きの発信力に期待するとともに、昨日拝聴した力強い言葉を胸に置き、私自身も真っ当なエネルギー政策に向かうよう理解活動に励みたいと考えます。
最後に、石川和男氏のTwitterを参考までリンクいたしますので、Twitterをされている方は是非、「胸の澄く」ツイートをご覧になってみてください。
→→→石川和男氏のTwitterはこちら